わたしの眠りの底には
たくさんの小さな子が眠っている
夢をみているわたしの
その夢のなかでは小さな子が夢をみている
小さな子の夢のなかでは
もっと小さな子が夢をみている
夢は夢を生みつづけているようだ
かすかな呼吸音が幾層にも聴こえる
眠りは果てしなく深い
眠りの底はどこだろう?
小さな子たちが
知らないままに飲みこんでしまった
微細な死の種は無言
幾世紀もの間 ただ無言
危うい眠り
でもわたしはどうやら目覚めた
そして小さな子の
幾層もの夢の扉を
一つづつ開けてゆくのだが
小さな子はまだ目覚めてくれない
記憶と名付けられた夢
目覚めとともにかすかな記憶を引きよせて
そこからまた一日が始まる。
朝を迎えられなかった幾多の小さな子たちよ
わたしは今朝も目覚めました。
「おはよう おかあさん」
一日ごとに少しづつ大きくなってゆく
小さいまま海の藻屑になった子の分まで
小さいまま乳のないまま飢えていった子の分まで
泣き声を抑えられて窒息した子の分まで
生きるため
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