Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

黄金銃を持つ博士

2017年12月10日 | 読んでいろいろ思うところが

水道橋博士「藝人春秋2」(文藝春秋)

上巻「ハカセより愛をこめて」/下巻「死ぬのは奴らだ」を読む。

前作の「藝人春秋」から4年。

「週刊文春」で連載されていたものをベースに、

博士が007よろしく、芸能界に潜入したスパイに扮して

とんでもない熱量で芸能界にうごめく人々を活写する。

 

 

 

文章の一行一行。

言葉の一語一語。

 

魂が宿っているというか、芸があるというか。

落語や漫談のような、マクラこそないけれど、

怒濤の展開のあとに「これしかない」というオチの付け方。

 

こんな文章、命を削らないと書けないと

思わせるほどの力がみなぎっていて、

それでいて、爆笑させたり、泣かせたり、考えさせられたりと、

博士の術中に見事にはまってしまったと気づいたときには、

すでに上下巻とも読み終わっていたという。

 

まるで本人が眼の前にいるかのようなリアリティというか空気感。

タモリが、デイブ・スペクターが、みのもんたが、

寺門ジモンが、江頭2:50が、石原慎太郎が、猪瀬直樹が、

昭英が、大瀧詠一が、立川談志が、

もちろん博士の師匠の高田文夫が、

そしてビートたけしが、喋り、語り、叫び、

その人間くさい素顔が読む者にぐんぐんと迫ってくる。

 

ナンシー関にオマージュを捧げたという、

江口寿史のイラストも素晴らしく、

今回の刊行を長いこと待っていた甲斐があったなあ、と。

 
コメント
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