タバコ産業から研究費をもらった学者の論文は警戒を要する

研究報告:科学者がタバコ産業から研究費をもらうと研究結果の信頼性が損なわれる。

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◆ タバコ産業から研究費をもらった著者の論文は警戒を要する ◆

2006-05-02 18:10:21 | Weblog
◎◎ 科学者がたばこ産業から研究費をもらうことによりその研究結果の信頼性が損なわれている ◎◎

これはBSEや鳥インフルエンザ、政治や経済を巡る問題でも同様である(資料4資料5資料6資料7)。

平山雄による受動喫煙の害の発見とタバコ産業関係者による隠蔽とタバコ対策の妨害、健康増進法の制定までの歴史を詳しく解説

作成 平山雄先生をしのぶ会

■■ Hong とBero が曝露したタバコ産業関係者の陰謀 ■■

2002年12月、HongとBeroが発表した論文(1)は、1981年に受動喫煙と肺癌の関連を発見した平山雄の論文に対抗するため、タバコ産業が受動喫煙と肺癌の関連を否定する論文に関与していたことを発見した。
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/325/7377/1413


■■ 医学者はタバコ事件で何をしてきたのか ■■

すでに1950年代から喫煙とがんの因果関係はさまざまな研究により示されてきたが、その後さらに喫煙による健康被害により医療費全体が増大し、またニコチンによる麻薬に匹敵する依存症についても明らかになってきた。またタバコは正常な使い方をして人体に健康被害を及ぼす唯一の商品であるとも説明されだした。それにも関わらず、わが国では情報の公開が遅れてきた。そこで重要な役割を果たしてきたのが学者たちであり、この役割を担ってきた学者の数は膨大である。受動喫煙の問題が明らかになってきた頃、東京女子医科大学 香川順教授と帝京大学医学部 矢野栄二教授は、米国などのタバコ会社から多額の研究資金を受け取り、受動喫煙による害を否定するための研究を行った。これら学者達による一連のプロジェクトは、タバコ会社の内部文書により明らかになり、2002年12月、BMJ(イギリス医学雑誌)に研究の結果が発表された。

津田敏秀著『医学者は公害事件で何をしてきたのか』 
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/8/0221410.html

■■ タバコ会社が資金提供していた受動喫煙の害を否定する論文 ■■

たばこ産業は日本における調査の実施および後援に関わってきている。マーケティング調査および喫煙率調査の実施に加えて、たばこ産業がたばこ規制活動に影響を及ぼしうる調査の進展に関与しているという証拠がある。
Hong とBero 1)が述べているように、今となっては歴史的に有名な1981 年に日本の研究者平山雄が発表した研究に対抗するため、たばこ産業は積極的な戦略に着手した。平山の研究の結論はヘビースモーカーの妻で喫煙しない者が肺がんを発症する危険性は非喫煙者の妻で喫煙しない者より2 倍大きいというものであった。同氏の研究は新たな科学的根拠を切り開き、室内空気清浄化へ向けての規制にも役割を果たした。平山の研究に反駁するための研究への資金提供にたばこ産業がいかに関与し、同時にその関与を秘密にしていたかをHong とBero は記述していた。Hong とBero は、業界が「日本のパートナー研究」への関与を隠蔽しようといかに画策したかを論じた業界の内部文書をいくつか引用している。例えば以下の1991 年の書状を2 人は引用している:

‥‥(BAT の)Chris Proctor 博士がこの作業を監督していたが、特にこれが日本の研究であるため、博士の存在は目立たないものとする必要があり、出版物に現れないようにしなければならない‥‥。

たばこ産業の「日本のパートナー研究(“Japanese spousal study”)」は、たばこ産業のコンサルタントであるP. N. Lee を著者とし日本人研究員への謝辞とたばこ産業の資金提供への漠然とした謝辞を示して刊行された。事実、たばこ産業の関与を秘密にしておきたいという希望は、その科学的代弁者としての科学的信頼性を維持しようとする業界の戦略であり、しばしば見受けられるものである。世界の多くの地域において、科学者がたばこ産業に関与することによりその研究結果の信頼性が損なわれていることをたばこ産業は認識している。

Tobacco Free*Japan:ニッポンの「たばこ政策」への提言
http://www.tobaccofree.jp/


■■ 受動喫煙と肺癌の関連は1981年に発見されていた ■■

1981 年、日本の研究者である平山雄は喫煙者と結婚した喫煙しない妻の間で受動喫煙と肺癌の関連を調べた日本のコホート研究を発表した(2)。この研究はヘビースモーカーの妻はノンスモーカーの妻と比べ肺癌を発症するリスクが最大2倍になり、そのリスクには量反応関係があるというものであった。
http://whqlibdoc.who.int/bulletin/2000/Number%207/78(7)classics.pdf

平山雄の研究は驚くほど多数の批判的論争を引き起こしメディアなどで最も頻回に引用され影響力があった。この影響力ある研究に対してタバコ会社がどのように対応したかをHongとBeroは明らかにした。

■■ 要点 ■■

タバコ産業は受動喫煙と肺癌の関連を示した1981年の平山雄の発見に対抗するため“Japanese spousal study”というプロジェクトを実行した。タバコ産業の内部文書には、タバコ産業が“Japanese spousal study”への関与を隠すために実施した多数の戦略が記載されている。タバコ産業は、タバコ産業が設置したCenter for Indoor Air Research という組織を通じてプロジェクトに資金を提供した。これはタバコ産業の関与を隠すためだった。この企画には2人の日本人研究者が関与していたが論文はタバコ産業のコンサルタントの名前で発表された。

■■ タバコ産業に提案された企画書  ■■

"非喫煙日本人女性の環境タバコ煙暴露に関する企画書" 1991年8月12日。

2人の日本人科学者が研究に従事する。香川順教授、疫学者、医師、呼吸器専門家、現在 東京女子医科大学衛生学公衆衛生学教授である。彼の研究室は尿中コチニンを測定したことがある。香川教授はサンプル分析と科学レポートの著者を担当する。

矢野栄二教授、疫学者、呼吸器専門家、東京の帝京大学公衆衛生学教室に所属。矢野栄二教授は調査会社と接触しデータの収集と分析を担当する。

PROPOSAL FOR AN APPLIED RESEARCH STUDY TO INVESTIGATE EXPOSURE TO ENVIRONMENTAL TOBACCO SMOKE IN NON-SMOKING JAPANESE WOMEN.
Bates Number: 2023544523/4530


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◆ 研究方法 ◆

2006-05-02 18:08:02 | Weblog
これまで世界のタバコ対策は多大な努力(資料1資料2資料3)にもかかわらず遅々として進展しなかったが、HongとBeroの研究によりタバコ対策が一気に前進した。

■■ Japanese spousal studyとは ■■

米国カリフォルニア大学のHongとBeroはタバコ産業の内部文書が保管されたウェブサイト
(http://bat.library.ucsf.edu/ )の文書を分析し、タバコ産業が平山雄の受動喫煙研究と米国環境保護局による健康リスク評価に対抗するため Japanese spousal study と呼ばれるプロジェクトを企画したことを発見した。
ETS Division weekly highlights [week of November 12, 1991]

■■ Japanese spousal studyの目的 ■■

Japanese spousal study の目的はタバコ産業の広報活動に利用できる都合のよい論文を作ることであり、タバコ産業が資金提供を行った。
British American Tobacco Documents Archive

■■ 矢野栄二氏が企画したJapanese spousal studyの費用は24万3千ドル ■■

このJapanese spousal study は日本の研究者、矢野栄二氏と香川順氏がタバコ産業の研究機関であるCenter for Indoor Air Research (CIAR)に提出した企画書から始まった。(1991年4月16日)

矢野栄二氏がタバコ会社に提出した企画書
http://bat.library.ucsf.edu/pageview?a=img&tid=rtj10a99&total=5

矢野栄二氏(帝京大学 公衆衛生学)からJapanese spousal study計画の企画書を受理したことを述べたタバコ文書(1991年4月9日)。タバコ会社は彼の企画に資金提供することを決定した。
ETS Division weekly highlights [April 9, 1991] RJ Reynolds.

矢野栄二氏らがCIARに提出した企画書には、このプロジェクトの費用が24万3千ドルと記載されている。これは当時のレートで、3645万円という大金である(1ドル=約150円,1990年)。つまりタバコ会社にはとても魅力ある企画だった。
http://bat.library.ucsf.edu/pageview?a=view&tid=rtj10a99&total=5&page=5

■■ タバコ会社の科学者は平山雄の研究が正しいことを知っていた ■■

タバコ会社が雇った科学者は平山雄の研究を検討し「平山雄は優れた科学者であり平山雄の研究は正しい」と結論した。つまり彼らは受動喫煙と肺癌との関連を認識していたのだ。しかし、タバコ産業の研究者は受動喫煙の害を発表することはなかった。

http://whqlibdoc.who.int/bulletin/2000/Number%207/78(7)classics.pdf

■■ タバコ会社はJapanese spousal studyへの関与を隠そうとした ■■

1988年に設立されたCIARは、タバコ産業が出資した組織であり、CIARが資金提供するプロジェクトはタバコ産業の幹部によって選定されていた。Philip Morris の研究開発チームのRobert Pages 氏とT S Osdene 氏からPhilip Morris シニア・バイス・プレジデントであるSteven Parrish 氏へのメモには、矢野栄二らの企画について次のように記述されていた。

これはCIAR が資金提供すべきプロジェクトではない。CIAR が資金提供する理由はタバコ産業の関与を“隠す”ためだろう(4)。

ある人がこのプロジェクトを隠すためにCIAR を利用したいようだ。これは急を要す非常に重要な企画だと考えている(5)。

■■ 目的は平山雄の信用を失墜させること ■■

また、Philip Morris の社員Robert Pages氏 からSteven Parrish氏へのメモには、Japanese spousal study を実施する計画が次のように述べられていた。
  
2人の日本人が研究者である。BAT社のChris Proctor氏が研究ディレクターになるだろう...私は、それが非喫煙日本人女性の環境タバコ煙曝露がヨーロッパや米国の女性とそれほど違わないことを示す- 平山雄の支持者の主張に対抗するデータを作る非常に良いチャンスになるだろう(6)。

この文書はタバコ産業が平山雄の結論に対抗するため、日本の研究を欲していたことを記述している。対抗する研究が日本人の手によって日本で作成されれば信用されるだろうと考えたのだ。タバコ産業は平山雄の信用を失墜させたかったのである。

タバコ産業はJapanese spousal study への関与を隠そうとした。次のメモにはPhilip Morris のT S Osdene氏とRobert Pages氏がSteven Parrish氏にProctor氏 の関与を隠すつもりであると述べている。

また、私の考えだが、Dr Chris Proctor 氏がこの仕事を監督してもよいが、彼の存在は目立たないようすべきであり、いかなる発表の中にも姿を見せないようにしなければならない。なぜなら特にこれは日本の研究だからだ(5)。

彼らがタバコ会社に提出した多数の論文は、結論が全て同じであり、彼らは受動喫煙曝露が肺癌のリスクを増加させるという証拠は無いと結論した(7)。
http://tobacco.health.usyd.edu.au/site/gateway/docs/pdf2/pdf/CB_MIS_00006B.PDF

■■ 平山雄の研究を“科学的根拠に乏しい”と結論 ■■

彼らの論文の最大の発見はコチニン測定により非喫煙者と回答した女性106 人のうち22 人が誤分類されていることを発見したことだった。この論文は平山研究が誤分類バイアスを持つ可能性があり“科学的根拠に乏しい”と結論した(7)。
http://tobacco.health.usyd.edu.au/site/gateway/docs/pdf2/pdf/CB_MIS_00006B.PDF

■■ 同年 平山雄博士 逝去 ■■

彼らが論文を発表した1995年 平山雄は亡くなった。享年72歳。平山雄氏の講演は「特別講演 喫煙の健康影響と禁煙の効果」として、第9回全国禁煙教育研修会で読める。
http://user.shikoku.ne.jp/manabeto/hirayama.htm
平山雄は受動喫煙の害について次のように述べている。「私は1981年1月、British Medical Journal に高度喫煙者を夫に持つタバコを吸わない妻は高い肺がんのリスクを持つ、という論文を出した。夫がタバコを吸えば吸う程妻の肺がんの危険性は高くなると発表した。10年後、25の研究が各国から発表されたが、その内20は同方向の成績を示した。関係が出なかったものは、乳がん発症を比較調査したためである。私たちの研究では、乳がんも例外ではないという成績が得られている。」

■■ Peter Lee を単独著者として発表 ■■

帝京大学の矢野氏との作業終了後、Japanese spousal study の研究をBritish Medical Journal に発表するためPeter Lee 氏に投稿を頼みたい。我々は今朝Lee 氏と相談し彼はこれに同意した。最終的な承認を待っている。(8)

彼らの研究はInternational Archives of Occupational and Environmental Health 誌に、Peter Lee を単独著者とし、矢野栄二氏と“タバコ会社の資金提供”への感謝の言葉を添えて発表された。
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/325/7377/1413/F3

■■ 隠れ著者、“ゴースト”著者 ■■

Hongらは、「隠れ著者や“ゴースト”著者は他の営利企業による助成研究でも発生する」と述べている。研究に関与した者が隠されると、その研究の信頼性を評価することが出来ない。


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◆タバコ文書とは◆

2006-05-02 18:06:14 | Weblog
■■ タバコ会社が30年もの間、国民から隠し続けてきたこと ■■

タバコ文書をご存知だろうか? 団藤保晴氏の「インターネットで読み解く!」には、タバコ文書について次のように述べられている。

 損害賠償責任は、当事者が当然果たすべき注意義務を怠ったり、不法行為をした場合に発生する。米国のたばこ会社が迫られているのは、自ら製造している製品が有害であることを知っているのに、隠して販売し続けた点だ。ニコチンの中毒性や、たばこの副流煙に多量の発がん物質が含まれているとの指摘を否定し続けてきたのに、実は自らの手で調べていた事実を表面化させ、損害賠償訴訟の有力証拠になっているのが「タバコ文書」である。'94年5月、たばこと戦っていた研究者、カリフォルニア大のグランツ教授の元に、大箱に詰めた4,000ページに及ぶ文書のコピーが匿名の人物から届けられた時点に始まる。

 ビル・トッテン氏による長いストーリーから一部引用する。「そこにはタバコがいかに健康に有害かという決定的証拠が記されていた。ニコチンは中毒性の物質でありタバコが癌の原因になること、そしてそれらのデータをタバコ会社が30年もの間、国民から隠し続けてきたことがその文書から明らかだった。94年4月の議会で、タバコ会社7社のCEO(注:経営最高責任者)たちがタバコの中毒性や癌との関係について知らなかったと証言したことを考えると、これは特に大きな意味を持つ」。

 グランツ教授は「タバコ文書を大学の図書館に保管することにした。それでも閲覧を望む人が後を絶たず、図書館にはたちまち行列ができてしまった。そのため図書館の副館長は文書をCD-ROMに入れ、それをWebに載せようと考えた。これで文書が保護され、誰もがアクセスできるようになるからだ。この行動がタバコ文書の問題の性質を変えることになった」。クール、ラッキーストライクなど有名銘柄の製造元として知られ、この文書の所有者だった「B&Wはここで文書の返却を求めると共に、一般への公開中止と閲覧者リストの提出を求めたが、図書館がこのいずれも拒否したため、B&Wは訴訟に踏み切ったのである。図書館で誰が何を閲覧したかを調べるのは通常許されるべきことではない。しかし、文書の返却を拒否されたタバコ会社は図書館に探偵を張り込ませ、文書の置かれている特別収集室に出入りする者を監視させたのである」
 「タバコ文書」の出版差し止め請求は、'95年6月のカリフォルニア州最高裁判決で退けられ、カリフォルニア大学の手でLegacy Tobacco Documents Library (LTDL) ( http://legacy.library.ucsf.edu/ )としてインターネット上に公開されることとなった。


■■ Japanese spousal studyは環境タバコ煙を発癌性物質に指定した米国環境保護局(EPA)の対策を妨害するために利用された ■■

http://bat.library.ucsf.edu/data/y/l/b/ylb30a99/ylb30a99.pdf

■■ WHOは平山雄の研究を絶賛 ■■

WHOが2000年に発表したBulletin of the World Health Organizationは平山雄の研究について「平山雄の研究は時の試練に耐えて持ちこたえている」と絶賛した。
http://whqlibdoc.who.int/bulletin/2000/Number%207/78(7)classics.pdf

■■ 受動喫煙の害を否定した研究者はタバコ会社と関係があった ■■

論文を読む際には、どこの大学の誰が書いた論文か、著者はタバコ会社と関係がある人物かどうか、そしてタバコ会社から研究費助成を受けたかどうかをまず確認しよう。

■ 論文の著者とタバコ会社との関係を調べるには? ■

タバコの害を研究した論文を評価するには、著者とタバコ会社との関係を確認する必要があるのは言うまでも無い。論文の著者がタバコ会社と関係があるかどうかはタバコ文書を保管しているウェブサイトで簡単に確認することができる。

例えば、British American Tobaccoのタバコ文書を調べるには
British American Tobacco Documents Archive
で調べることが出来る。

この他にもタバコ会社のタバコ文書を保管しているサイトがいくつかある。
ASH/ Web Links/ Industry Documents

■■ 渡辺文学氏 プロジェクトの中止を要請 ■■

2003年3月31日 渡辺文学 禁煙ジャーナル編集長は、受動喫煙の害を否定するためのプロジェクトは現在も継続されており、彼らが作成した論文は日本のタバコをめぐる各地の裁判で受動喫煙の害を否定する証拠として提出されており、このプロジェクトを1日も早く終了するよう要請する記事を禁煙ジャーナル誌に掲載した。
http://www.tbcopic.org/index.htm

◇違法行為の通報者は公益通報者保護法によって保護されています。◇

■■ 禁煙団体はタバコ産業から研究費を受け取らないよう呼びかけ ■■

また、全国の禁煙団体もこの事態を重く受け止めて緊急アピールを行い、タバコ産業からの助成金を受け取らないよう呼びかけた。
http://www.nosmoke-shutoken.org/02events/reports/030531/2003appeal_2.htm

【2003「世界禁煙デー」緊急アピール】

医学部、研究所、研究者は、タバコ産業からの助成金を受け取らないで下さい!

 近年、アメリカをはじめとする諸外国では、訴訟の立証過程において、あるいは内部告発により、「タバコ産業から資金提供を受けた研究者が、研究結果を歪曲し、あるいはタバコの真の事実を隠蔽している」との事実が数多く明らかになってきました。
 この流れを受け、世界の医学界では、「タバコの害を研究する研究者は、タバコ産業から資金提供を受けてはならない」とのルールか定着しつつあります。
 なかでも、世界中の良心的な医師を代表する世界医師連盟は、1998年の『タバコ関連勧告』のなかで、「医学部、研究所、研究者は、タバコ産業からの助成金を受けてはならない」と明言しています。
 −方、わが国においては、タバコの害を意図的に過小評価する「研究」をマスコミが好んで取り上げる状況が続いています。
 さらに、タバコ病訴訟をはじめとする各種の裁判においては、タバコ産業から直接、間接に資金をもらっている研究者が証言台に立って医学界の常識とはかけ離れた「学説」を展開し、裁判の進行を著しく妨げる例が多々見られます。
 日本たばこ産業(株)=JTは、これら研究者に間接的に資金を提供するために「喫煙科学研究財団」なる団体を設立し、毎年多額の資金を多くの「研究者」に提供しています。
 また、日本国内にとどまらず、受動喫煙研究の金字塔ともいうべき平山雄博士の研究を貶めるために、多国籍タバコ企業の「捏造研究」に荷担する日本人研究者も、何人か存在しているようです。("British Medical Journal" vol. 325,14. December. 2002 http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/325/7377/1413
 一般人の常識に照らせば、「お金をくれる人の不利になるようなことはしない」というのは当然のことであり、タバコ産業から資金をもらって行われる研究の客観性には疑問を抱かざるを得ません。
 これを裏付けるように、「タバコ産業から研究資金をもらった研究者は、受動喫煙の害を否定する論文を書く傾向が著しい」との論文がアメリカの権威ある医学雑誌に掲載されています。("The Journal of the American Medical Association"
Vol. 279 No.19,May 20,1998) 
私たちは以上の事実を踏まえ、「世界禁煙デー」の今日、このアピールを発表します。
 医学部、研究所、研究者は、タバコ産業からの研究助成金を受け取らないで下さい。
 
2003年5月31日
【「緊急アピール」賛同団体】
 タバコ問題首都圏協議会/全国禁煙・分建推進協議会/非喫煙者を守る会/北海道分煙社会をめざす会/たばこ病訴訟弁護団/たばこ病訴訟を支える会/嫌煙権確立をめざす人びとの会/きょうと分煙生活舎/たばこれす/兵庫県喫煙問題研究会/日本禁煙推進医師歯科医師連盟兵庫支部/タバコの害を考える会・鹿児鳥/日本禁煙筐師連盟鹿児島支部/鹿児島禁煙支援研究会(順不同)

■■ 日本公衆衛生学会も対応 ■■

受動喫煙の害を否定する論文を発表した人物が、実はタバコ会社と関係があり、タバコ会社に多額の研究費を要求していたことも判明して世界中の研究者が騒然となった。これについて日本公衆衛生学会は「たばこのない社会の実現に向けた行動宣言」を発表し、たばこ産業及びその関連機関との共同研究、及び同産業等から研究費等の助成を受けた研究を行わないよう呼びかけた。
http://www.jsph.jp/tabako.htm

■■ 受動喫煙の害発見から22年。ようやく健康増進法が施行される ■■

2003年4月、受動喫煙対策を定めた健康増進法が施行され我が国の受動喫煙対策が一気に前進することとなった。しかし、平山雄が受動喫煙の発癌性を発見してから実に22年も経過してしまった。もし、タバコ文書の研究が進まなければ、タバコ会社の研究員が発表した受動喫煙の害を否定する論文に惑わされ、我が国のタバコ対策は更に遅れていたことだろう。以下、厚生労働省健康局長の言葉を引用する。

健康増進法第25条の制定の趣旨

受動喫煙による健康への悪影響については、流涙、鼻閉、頭痛等の諸症状や呼吸抑制、心拍増加、血管収縮等生理学的反応等に関する知見が示されるとともに、慢性影響として、肺がんや循環器疾患等のリスクの上昇を示す疫学的研究があり、IARC(国際がん研究機関)は、証拠の強さによる発がん性分類において、たばこを、グループ1(グループ1〜4のうち、グループ1は最も強い分類。)と分類している。さらに、受動喫煙により非喫煙妊婦であっても低出生体重児の出産の発生率が上昇するという研究報告がある。
 本条は、受動喫煙による健康への悪影響を排除するために、多数の者が利用する施設を管理する者に対し、受動喫煙を防止する措置をとる努力義務を課すこととし、これにより、国民の健康増進の観点からの受動喫煙防止の取組を積極的に推進することとしたものである。
(平成15年4月30日  厚生労働省健康局長 受動喫煙防止対策について)
http://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/houkoku/judou.html

■■ 医学者は何をしてきたのか ■■

タバコ会社と関係のある著者の研究報告は信頼性があったためしがない。もし、彼らの目的が平山雄研究の検証という正当なものであれば、タバコ会社に金銭を要求することなく厚生科学研究費などを申請すべきだった。彼らは自らの研究を通じて受動喫煙の害を認識していたのだからタバコの害を隠すことなく公表すべきであった。しかしタバコ対策の妨害は今も続いており、彼らの論文はタバコを巡る世界中の裁判で利用され多くの非喫煙者を苦しめている。

タバコ会社の研究者による論文には次の言葉がふさわしい。

「原因物質が究明されないかぎり因果関係があるとは言えない」。さまざまな公害事件や薬害事件において無数の被害者たちは疫学の視点から非常識としか言えない論理で切り捨てられてきた。多額の研究費の支給を受けて加害企業の側に立った医学者たちの発言や行動を,多数の資料や記録をもとに検証し,その言動を生んだ学界構造と官僚機構の改革を提言したい。

参考 津田敏秀著『医学者は公害事件で何をしてきたのか』 
http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/8/0221410.html
定価 2,730円(本体 2,600円 + 税5%) 2004年6月29日刊
ISBN4-00-022141-8 C0036


■■ 公益通報者保護法と制度について ■■

◇違法行為の通報者は公益通報者保護法によって保護されています。◇

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◆参考文献◆

2006-05-02 16:38:07 | Weblog
1) Hong MK, Bero LA. How the tobacco industry responded to an influential study of the health effects of secondhand smoke. BMJ 2002;325:1413–6.
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/content/full/325/7377/1413 

2)Non-smoking wives of heavy smokers have a higher risk of lung cancer. BMJ 1981; 283:1464-1466.
http://whqlibdoc.who.int/bulletin/2000/Number%207/78(7)classics.pdf

3)Philip Morris. Proposal for an applied research study to investigate exposure to environmental tobacco smoke in non-smoking Japanese women. Covington and Burling. 5 Apr 1991. Philip Morris documents website. Bates No 2023544477_4481.
http://tobaccodocuments.org/pm/2023544477-4481.html

4)Pages R. Re: Japanese spousal study and Chris Proctor as the `behind the scenes' study director and potential CIAR funding [letter]. Philip Morris. 15 Apr 1991. Philip Morris documents website. Bates No 2023544456.
http://legacy.library.ucsf.edu/cgi/getdoc?tid=bqz91a00&fmt=gif&ref=results&title=JAPAN%20ETS%20EXPOSURE%20ASSESSMENT%20STUDY&bates=2023544456

5)Osdene TS. Investigation of exposure to ETS in nonsmoking Japanese women. Philip Morris. 16 Apr 1991. Philip Morris documents website. Bates No 2023544449.
http://legacy.library.ucsf.edu/cgi/getdoc?tid=oan87e00&fmt=gif&ref=results&title=INVESTIGATION%20OF%20EXPOSURE%20TO%20ETS%20IN%20NONSMOKING%20JAPANESE%20WOMEN&bates=2023544449

6)Pages R. Re: Japanese spousal study and Chris Proctor as the `behind the scenes' study director and potential CIAR funding [letter]. Philip Morris. 15 Apr 1991. Philip Morris documents website. Bates No 2023544456.
http://legacy.library.ucsf.edu/cgi/getdoc?tid=bqz91a00&fmt=gif&ref=results&title=JAPAN%20ETS%20EXPOSURE%20ASSESSMENT%20STUDY&bates=2023544456

7) Yano E, Kagawa J. Confounding factors in epidemiologic studies of spousal smoke exposure in Japanese women. Covington and Burling. 21 Apr 1992. RJ Reynolds documents website. Bates No 510627012_7023.
http://dlxs.ckm.ucsf.edu/cgi/getdoc?tid=ttz53d00&fmt=gif&ref=results&title=CONFOUNDING%20FACTORS%20IN%20EPIDEMIOLOGIC%20STUDIES%20OF%20SPOUSAL%20SMOKE%20EXPOSURE%20IN%20JAPANESE%20WOMEN.&bates=510627012/7023
(accessed 29 Jan 2002).

Yano E, Kagawa J, Lee PN. Confounding factors in epidemiologic studies of spousal smoke exposure in Japanese women. Covington and Burling. 27 May 1992. RJ Reynolds documents website. Bates No 509810529_0541.
http://dlxs.ckm.ucsf.edu/cgi/getdoc?tid=bow63d00&fmt=gif&ref=results&title=CONFOUNDING%20FACTORS%20IN%20EPIDEMIOLOGIC%20STUDIES%20OF%20SPOUSAL%20SMOKE%20EXPOSURE%20IN%20JAPANESE%20WOMEN.&bates=509810529/0541
(accessed 29 Jan 2002).

Yano E, Kagawa J, Lee PN. Lack of validity of marriage to a smoker as a marker of environmental tobacco exposure among Japanese non-smoking women. Covington and Burling. 8 Jul 1992. RJ Reynolds documents website. Bates No 509810603_0630.
http://dlxs.ckm.ucsf.edu/cgi/getdoc?tid=cow63d00&fmt=gif&ref=results&title=LACK%20OF%20VALIDITY%20OF%20MARRIAGE%20TO%20A%20SMOKER%20AS%20A%20MARKER%20OF%20ENVIRONMENTAL%20TOBACCO%20EXPOSURE%20AMONG%20JAPANESE%20NON-SMOKING%20WOMEN.&bates=509810603/0630
(accessed 29 Jan 2001).

Lee PN. Limitations of studies of lung cancer and environmental tobacco smoke exposure in Japanese non-smoking women. PN Lee Statistics and Computing. RJ Reynolds documents website. Bates No 508728884_8905.
http://dlxs.ckm.ucsf.edu/cgi/getdoc?tid=pxz83d00&fmt=gif&ref=results&title=LIMITATIONS%20OF%20STUDIES%20OF%20LUNG%20CANCER%20AND%20ENVIRONMENTAL%20TOBACCO%20SMOKE%20EXPOSURE%20IN%20JAPANESE%20NON-SMOKING%20WOMEN.&bates=508728884/8905
(accessed 29 Jan 2002).

8)Proctor C. [letter to tobacco industry executives to change authorship] Philip Morris. 26 Jul 1993. Philip Morris documents website. Bates No 2023544546.
http://legacy.library.ucsf.edu/cgi/getdoc?tid=opn34e00&fmt=gif&ref=results&title=JAPANESE%20SPOUSAL%20STUDY&bates=2023544546

9)Lee PN. "Marriage to a smoker" may not be a valid marker of exposure in studies relating environmental tobacco smoke to risk of lung cancer in Japanese non-smoking women. Int Arch Occup Environ Health 1995; 67: 287-294
http://bat.library.ucsf.edu/pageview?a=view&tid=tge51a99&total=8&page=1&a=view&tid=tge51a99&total=8&page=1

10)Tobacco Control Reference
http://blog.goo.ne.jp/notobaccoday

11)Sono IH (Kobe, Hyogo). An open inquiry was sent to Mr. Eiji Yano, Teikyo University (in Japanese,) http://blog.goo.ne.jp/notobaccoday/e/56ceda83e6bcffb23be59e4c3cb799af (accessed 13 July 2003, retrievable as supplement file 2 with a machine translation into English).

12)Watanabe B. Tabako Mondai Joho Senta (Information Centre for Tobacco Problems) 13 Feb, 2003. Tokyo. (in Japanese) http://blog.goo.ne.jp/notobaccoday/e/0573df5a37693f5fd1519661959bbbd8 (accessed 13 July 2003, retrievable as supplement file 3 with a machine translation into English).

13)Kiriake Y. A project to conceal hazardous effects of passive smoking. Tokyo Local Court 1998 (wa) No 10379 Damage Compensation Claim for Tobacco Diseases. Evidence (Kou) No. 112. February 14, 2003 (Also available at http://www.geocities.co.jp/Beautycare-Venus/6700/sojyou/kou38.pdf )

14)Kakezono H (Kashima, Saga). An open inquiry to president of Teikyo University: On the rotten practice of Yano, Professor in Medical School (in Japanese). March 17, 2003. To be retrievable as supplement file 5 with a machine translation into English).

15)Yamaoka M (Sumoto, Hyogo). A confidential letter to President of Teikyo University: An inquiry to the research of a faculty in your school (in Japanese). April 21, 2003. (To be retrievable as supplement file 6 with a machine translation into English).

16)Watanabe B. A paper to conceal the harm of passive smoking: Did Professor Yano, Teikyo University make commitment? Kin-en Journal (Journal for Smoking Cessation) No 148. 1 March 2003. Tabako Mondai Joho Senta (Information Centre for Tobacco Problems) Tokyo. (in Japanese; retrievable as supplement file 4 with a machine translation into English).

17)Tsuda T. Igakusha ha Kogaijiken de Nani wo Shitekitanoka (How have the Medical Academes acted toward Environmental Problems?). Tokyo: Iwanami-shoten, 2004.


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