DREAM/ING 111

私の中の「ま、いいか」なブラック&ホワイトホール

立喰師列伝★押井守のライフワークにして究極の悪ノリ♪芸術

2006-05-08 | ドラマ・映画・演劇・アート
というわけで(?)、
渋谷パルコ
までダンナと観に行きました。

立喰師列伝

歴史の闇に、炎でその名を刻んだ者たちがいた。
あらゆる飲食店を震撼させた伝説の仕業師たち。
人は彼らを「立喰師(たちぐいし)」と呼んだ。


押井守監督・脚本・演出の最新アニメーション映画。
制作発表時から、ほとんどのファンが「期待はしない・・・が見に行く」
という反応をした実写系映画。

アニメーションとされていますが、実写ベースの
『スーパーライヴメーション』なる
新ジャンルらしいです。(『ミニパト』手法のパタパタアニメ)
モノトーンの色彩とともに、非常に実験的な映像となっています。
見慣れるまで、独特の動きと止めのバランスで、すっごく違和感あるんですが、
そういう不協和音な気持ち悪さも狙ってるんだろうなぁ・・・

で、公式サイトのイントロダクションでは「コメディ作品」となっていますが
ヒトクセ・フタクセありな「笑い」の裏の裏を読ませるような構造で、
すっきり・すんなりとは笑わせてくれません。w
あ、たまにベタなヤツ(アニメネタ他)が用意されてるのですが、
かえって警戒して(?)誰も笑わない、という、なんとも屈折した雰囲気でございました;
しっかり笑ったけど・・・<オイ!

全体として「あーこういうことやりたかったんだ」というのは、すっごく伝わってきました。
で、なんというか・・・これは
押井流「3丁目の夕日」であり「“昭和的なもの”の分析」であり「“戦後感”の具象化実験」であり「ぎゅうぎゅうにつめこんだタイムカプセル」であり「極めて私的な青春日記」なのではないか、と思いました。
あと「英訳できない純国産作品」(京極夏彦氏と同様に)を狙ったのかな?
どこを切っても押井っぽい。で、なんかものすごーーーーくリアルに60年代青春なにおいが(手法含め)・・・
そうそう・・・一言で言って「非常に胡散臭い」映画です。w

簡単にいうと、『カリスマ的・無銭飲食者の系譜』
戦後の闇市から高度成長期を超え、平成にいたるまでの、彼らの暗躍を、
食文化を軸に、時代のトレンド&趨勢をからめて描いた、まさに『列伝』。
その歴史観が、なんともおどろおどろしくも、コアを掴んでるのだな。

で、主役の立喰師たち&店主を演じる役者が、また・・・知る人ぞ知る、
てか、知らないと面白くもなんともない<オイオイオイ・・・
と、いうなんとも傲慢の極みなキャスティング・・・w

代表的な皆様をあげておきましょう。
で、いきなり1人目・・・吉祥寺怪人・・・って知らんぞー;;;
・兵藤まこ(声優)
・石川光久(プロダクションI.G. 代表取締役)
・鈴木敏夫(プロデューサー/スタジオジブリ代表取締役社長)
・樋口真嗣(『平成ガメラ』『キャシャーン』特撮監督/『ローレライ』『日本沈没06』監督)
・川井憲次(作曲家・押井作品多し)
・寺田克也(イラストレーター)
・河森正治(『 超時空要塞マクロスシリーズ』監督・メカニックデザイン
・神山健治(TVアニメ版攻殻機動隊SAC監督)


個人的関心は最後の2人で、個人的には満足な演技でした(笑)。
神山監督ってば、完全いじめられキャラ・・・素敵すぎる♪

あ、あと、リアル登場はしませんが、山寺宏一氏は、この映画のために
3日間缶詰めでナレーターはじめ9人の声色を使い分けておられます。
で、そのしゃべりが生半可ではない・・・
で、聞いてるうちに眠くなるという、強力な催眠効果が(コラ!
ところどころ意識がトンじゃいましたが(え?)、
語りだけで様々な状況や思いを描ききる手腕は、感涙ものですぅ。

えーと・・・うまく語れましたでしょうか?

見に行ってよかったか?って?
はい!満足です。
好きなこと好きな人たちと好きなようにやってる本人の悪ノリが楽しい♪
歳を重ねて、ますます元気に遊べるって、最高だよなー、と思います。

で、押井作品でかつこの手のサブカル系蘊蓄だと、
ヲタダンナは最強のパートナーで、質問攻めにしても平気。
(んとに、つまらないことや細かいこと、良く知ってるし、観てるなぁ・・・)

でもって、ダンナはDVD買うみたいっすよー(笑
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12 コメント

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エッ (zippa-zappa)
2006-05-08 17:06:15
楽しかったんですか?

トリップしかけましたが、いや、楽しかったかな~?



いや、この映画は、押井戦後史観映画ですよね。

って、まあ、吉本隆明とか、あの辺が元ネタだったり。



個人的には、デ●ズニーラ●ドが。

ディ●ニーラン●のことばかり考えて…あのあたりが面白かったような。



ちなみに、原作では、ロッテリアではなく、マ●ドナル●

でした。



あっ、あとパン屋再襲撃とかも面白かったかも。

関係ないけど、牛肉が調達できなさそうな、予知野屋さんは、この先どうなるのか心配。
返信する
zippa-zappa様 (なるもにあ)
2006-05-09 01:39:55
>楽しかったんですか?

もちろん楽しかったですよ?

観てる方々の超・微妙な空気が♪・・・<オイ!

やっぱ、こういう映画は絶対に映画館で観なくては!と

思いました。(笑



>吉本隆明とか、あの辺が元ネタだったり。

隆明氏、大活躍でしたね!

なんか内容がウソっぽく見えるのが凄い!(のか?



>ディ●ニーラン●のことばかり考えて…あのあたりが面白かったような。

変な警告音(というのかな?)が笑えました。

ドッペルゲンガーなネタもいいですよね。

あの空気はまさに春樹節で、私も面白かったです。



あと、さらりとリチャード・ブローディガンの名前が出たのが嬉しかったり。

(ドラッグ文学ヲタ;

ベタなガンダムネタも笑えますが・・・



>ロッテリアではなく、マ●ドナル●でした。

そうだったのかー。ロッテリアはよく許しましたよね。天晴!



>あっ、あとパン屋再襲撃とかも面白かったかも。

チェーン店ネタは、サプライチェーンマネジメントへの

嘲りみたいな部分もあって、個人的にすっごくウケました♪



見終わって、やたらお蕎麦やカレーが

食べたくなりましたぉ!(単純?;
返信する
シネクイント・リニューアル! (たまやん)
2006-05-10 00:07:03
TBありがとうございました。たまやんです。



パルコのシネクイントでご覧になったんですね!

3月に渋谷に遊びに行った時は工事中だったのですが、どんなもんな

リニューアル具合だったのでしょうか。

(もともと椅子も音響も最高な劇場でしたが)



うわー、なるもにあさん元ネタ詳しいですねえ。

パン屋再襲撃は表紙まで似せてあって面白かったです。



ディ●ニーラン●のピー音は毎回違うのも良かった!
返信する
たまやん様 (なるもにあ)
2006-05-10 01:59:10
おいでくださって嬉しいです!

なかなかまともなレビューに出会えない

(やっぱ「寝た」とか「わからない」とかが多いですねー)のでw

たまやん様の記事を見たときは嬉しかったですw



「楽しいんだけどどう楽しんでいいか分からない映画」と

レスしておられましたが、すごくいいキャッチかも♪



>シネクイント

キレイでしたよー!椅子のクッションがすごくよかったです。



>うわー、なるもにあさん元ネタ詳しいですねえ。

ダンナがヲタなので、こういう蘊蓄映画はうるさいくらい

ネタ説明されちゃうんです(号泣



お芝居や映画をたくさんご覧になってるようで

楽しかったです。またお邪魔させていただきますー

こちらにもぜひ遊びにいらしてくださいね?



※トップ記事にてブログ実験を行っています。

 『たまやん様にとってブログとは?』

 お時間ある時にでもご参加いただけたら嬉しいです。
返信する
お邪魔します (くも)
2006-05-10 10:39:08
コメント&TBありがとうございました!

なるもにあさんの記事、読ませていただきました。

かなり詳しい解説や感想だったので、びっくり

しました。私なんて、まだまだです(苦笑)

宮崎監督のご子息がこの作品を見て、次はエンター

テイメント作品を作って欲しいと自身のブログに

書いてましたが、私も次回はそれを期待します。



また、ちょくちょくお邪魔したいと思います。

ちなみに私は20代の働いたり働かなかったり

してる奴です。では!

返信する
くも様 (なるもにあ)
2006-05-10 22:13:54
おいでくださって嬉しいです!

たまやん様のレスにも描きましたが、

なかなかまともなレビューに出会えないのでw

くも様の記事も非常に貴重です!



『押井監督の「語り」ではなかったかと思います。』

『本当に自分のやりたい事だけをやったという感じの作品』

ってホントにそうですよね!



そのワガママぶりをどこまで許せるか・愛せるかが、

この映画の評価を分ける部分かもw



>宮崎監督のご子息

ゲド戦記が楽しみですね!



バラバラなテーマで好き勝手やってるブログですが

年齢・性別超えた情報交流をめざしてます。

どんどん遊びにいらしてくださいませ。

&私もまたお邪魔させてくださいね?



※トップ記事にてブログ実験を行っています。

 『くも様にとってブログとは?』

 お時間ある時にでもご参加いただけたら嬉しいです。

返信する
Unknown (コウイチ)
2006-05-10 23:38:38
こんばんわ。

コメントありがとうございました。早速お邪魔させていただきます。



>好きなこと好きな人たちと好きなようにやってる本人の悪ノリが楽しい♪



これ本当に羨ましいと思いました。



ライブモアや予知野屋のネタが出てくるあたりからの雰囲気の方が自分の生きた時代にマッチしてる感じでしたけど、ケツネコロッケのお銀とかの時代の方が観ていてどこか惹かれてしまいました。こういう時代があったんだなあって……。



ブログ色々と読ませていただきます~。

それでは~。
返信する
コウイチ様 (なるもにあ)
2006-05-11 07:08:57
おいでくださって嬉しいです!



読ませる文章がお上手ですね♪

押井初見とのことでしたが、最初がこの映画、というのは

いろいろな意味で凄いなぁ、と思いましたです。

&よく押井色をつかまれてるなぁ、と



『こういうのを観ると作りたいものを作れる環境っていいなあ』

この映画って、絶対そう思わせるのを狙ってる、

と確信しつつありますw



ケツネコロッケのお銀は、雰囲気ありましたねー。

「コロッケもほしいな」が忘れられません。

60年代安保な時代描写も鮮やかでした。



過去記事含めて、お気軽にコメントいただけたら

ありがたいです。よろしくお願いいたします。



※トップ記事にてブログ実験を行っています。

 『コウイチ様にとってブログとは?』

 お時間ある時にでもご参加いただけたら嬉しいです。
返信する
胡散臭い香りを嗅ぎたい気もしますが… (ちゃとと)
2006-05-12 08:43:13
観るか観ないか悩んでいるうちに、終わってしまいそう;

多分、元ネタ分かんないだろうしなぁ…。

ダンナさまの実況解説レンタルできます^^?

世間の評価は低い(半数近くが5段階の1!)ですが、やはり信頼するなる様を信じて…。

あと、私の友人もDVD買うと言ってました!ぎゃは(≧∇≦)同い年(ということは、1960年代を知っている;)の男性です。

私、庵野監督の実写映画「式日」は寝てしまったんですが、今回は大丈夫かしら?
返信する
ちゃとと様 (なるもにあ)
2006-05-12 16:42:33
ダンナとの一致した意見は、

「映画館で観なかったら、寝るよねー」というものです(びみょー;;

てか、私は何度か意識失いかけてます。

山寺氏の声がね、もう環境ビデオ並み<ほめてます。



ヲタ解説でよければいつでもお貸ししますよー♪

もれなく「やりすぎ、くどすぎ、自分勝手」の三大特典付きです♪(いらん!



>私の友人もDVD買うと言ってました!

おお!!!!!数奇者・・・?(オイオイ



実は・・・「もう一度観たい」と思ってる自分に気づき

心底びっくり、と同時に「ヤバイんじゃないか、コイツ」と思ってるなるもにあです(汗;。



まぁ、ある意味『元気な団塊世代・プロパガンダ映画』といえるのかも?
返信する

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