日々の戯れ

鈴柩の頼りない脳細胞に代わる記憶

二重結合(分子模型)

2007-06-19 | 分子模型図鑑

長鎖不飽和脂肪酸の回に

二重結合が登場したので

もうちょっとだけ二重結合の勉強をしよう

 

普通の結合では分子内の部品達は

結合軸を中心にかなり自由に回転運動している

 

しかし二重結合になると

増加した余分な結合のおかげで

その回転が阻害されることになる

その結果

cis体

Dsc06751

trans体

Dsc06752

上の二つの構造は違うものとなる

回転することができれば同じ形になるだろうに

回転できないから別の物質とされるのだ

 

上のように曲がっていくような構造をシス(cis)

(二重結合を軸に同じ側に置換基がある)

下写真のように真っ直ぐな構造をトランス(trans)

(二重結合を軸に反対側に置換基がある)

と呼ぶ

 

このシス-トランス異性体は

我々の体でも巧妙に役立てられている

cis-レチノール 

Photo_216

これは以前ビタミンAとして紹介したレチノールである

このレチノールは眼球の網膜にあり

酸化されたレチナールという形で

網膜のタンパク質と結びついている

その形状はcis体

そして

目に光が入るとそのエネルギで

レチノールの二重結合が回転しトランス体に変わる

trans-レチノール

Photo_217

すると形状が変わったために

タンパク質(ロドプシンという)

と結びついていられなくなり外れてしまう

その信号脳に伝わって初めて

我々は物を見ることができるのだ

 

ビタミンAが欠乏すると目に良くないのは

すごく直接的な理由があったのだね

 

cis-trans異性体の話は明日も続けるつもり

次回「トランス脂肪酸の恐怖」で・・・

コメント
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