道端鈴成

エッセイと書評など

DQN命名

2006年05月13日 | 言葉・芸術・デザイン
河端「おーい。道端君。」
道端「河端先輩こんにちは。」
河端「しばらく更新がないので、様子をみにきたよ。元気にしてたか。」
道端「すみません。仕事に追われて、なかなかエントリーが書けませんでした。」
河端「道端君が興味を持ちそうな新聞記事があったよ。」
道端「ありがとうございます。面白い記事ですね。<妃(きさき)>だの<姫(ひめ)>だの、なかなかの言語カテゴリーの脱臼ぶりです。ボルヘスの中国の辞書を思わせます。ついでなら、<名前(ねいむ)>とかやれば良いのに。こういう中だと<姫梨(ひめり)>だの<沙蘭(さら)>だのの万葉仮名風の表記がオーソドックスに見えてきます。実は、最近の命名のとんがった部分はもっとすごいことになっているみたいです。子供の名付け(命名)DQN度ランキングを読んで(2ちゃんねるの育児版、「子供の名前@あー勘違い・子供がカワイソ」スレッドを元にしたものだそうで、ネタも混じっているかもしれませんが、それを割り引いたとしても)少々驚きました。」
河端「道端君が、3月7日の「日本語の人名表記と正書法」で書いてた、緑夢(ぐりむ)程度ではないのか。」
道端「はい。緑夢(ぐりむ)は、始まりにすぎなかったようです。漢字と読みの対応は、当て字、連想ゲームなんでもありのアナーキーな状態のようです。名前に使う漢字の制限しか考えず、苗字の異字体は放置し、名前における漢字と読みの対応になんのしばりもかけない、尻抜けの無定見な文字行政の上で、「夜露死苦」系統の人たちが独創性を競っているというところでしょうか。名前ですから、ある程度、歴史的な継承による不規則性を許容しなくてはないのは分かります。しかし新奇なDQNを競って、漢字と読みの対応を壊し放題というのはどうなんでしょう。上のサイトに命名の読みのテストがあるのでやってみました。
1. 歩星 ( ほせい )  ⇒ ほせ
2. 笑羅 ( しょうら )  ⇒ にこら
3. 彪也 ( ひょうや )
4. 聖玲菜 ( せりな )  ⇒ せれな
5. 羅亜羅 ( らあら )
6. 季凛音 ( りりね )  ⇒ きりん
7. 稀音 ( きおん )  ⇒ まれーね
8. 綺輝斗 ( ききと )  ⇒ あぎと
9. 達千 ( たっち )
10. 今日 ( きょう )  ⇒ ほいて
 私は、10問中正解は3問でした。」
河端「もしかして、3問しかできなかったから怒っているのか。」
道端「冗談じゃあ、ありません。むしろ、<たっち>が正解だったのが恥ずかしいです。自分が、笑羅(にこら)だの今日(ほいて)だの妙な名前をつけられたら、親を恨みます。こんな当て字や連想ゲーム、個性でもなんでもありません。」
河端「ダンス・ウィズ・ウルブスを見たら「拳を握る女」だとか「狼と踊る男」だとか妙な名前が出てきた。河田順造の「声」には、アフリカでの「ああ、もっと力があったらなあ」などの妙な名前がぞろぞろ紹介してあった。日本では、秀吉は自分の子供に「捨て」とか名前をつけている。妙な名前もいいのではないか。」
道端「はい。それぞれの経験から思いを込めて妙な名前が出てくるのはかまいません。命名には一種の呪術的側面があるのはたしかでしょうから。河端先輩に紹介していただいた新聞記事ですが「少子化で、子どもの名前に凝る人が増えているが、僕は大賛成」と加藤教授は言っているそうです。しかし、凝るつもりが、横滑りして、当て字と連想ゲームに堕しているなら無意味です。新聞の記事で紹介された調査結果自体が、プチDQNじみてます。」
河端「おいおい。プチDQNなんて珍妙な言葉で正名の主張かい。」

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