古文書を読もう!「水前寺古文書の会」は熊本新老人の会のサークルとして開設、『東海道中膝栗毛』など版本を読んでいます。

これから古文書に挑戦したい方のための読み合わせ会です。また独学希望の方にはメール会員制度もあります。初心者向け教室です。

鶴亀句会 2月例会 紙上句会

2021-02-22 22:35:14 | 鶴亀句会

コロナ感染防止非常事態発令中(県独自)のため1月に引き続いて紙上句会となりました。

春暁の小鳥飛び立つ梢かな       良 一
書に倦んでいつかうたたね春の夜     〃
有明とかすみの間猫の島         

白菜を漬けて楽しや老二人       和 作
味噌汁の湯気の香りや庭の葱       〃
巣籠もりももういいでしょう残り寒    〃

人通り絶えてネオンの街余寒       興
ディの日の装ひは皆春の色        〃
デイの日や窓に溢るる春の色       〃

白梅や丹塗り楼門空の青        安月子
冴返る岩海苔を摘む媼の手        〃
老いしとは互いに言はず暖かし      〃

立春の歓びあれど自粛癖        一 九
幸せの匂い届ける臘梅香         〃

合格祈願絵馬に托せば桜咲く      純 子
沈丁花土もの花器に色添へし       〃

春宵や耳うとければ顔寄せて      武 敬
厚着して犬散歩する余寒かな       〃
春寒や曜日わからぬ我なるよ       〃

せせらぎに翡翠椿と落ちにけり     優 子
ベランダに布団干しあるホームかな    〃

鬼は外長寿の姉の声の張り       小夜子
雑談も生きるよすがや梅開く       〃

街余寒携帯懐炉ポケットに       礁 舎
何食わぬ顔して戻る恋の猫        〃
笹鳴きや缶蹴りの鬼ゐなくなり      〃

次回は3月19日(金) パレア10時 兼題「霞」

 

 

 


鶴亀句会 1月紙上句会

2021-02-01 17:00:49 | 鶴亀句会

鶴亀句会1月紙上句会
 コロナ禍で一堂に会する「密」を忌避して紙上句会となりました。郵送での遣り取りは面倒くさいところもありますが、じっくりと選句ができる長所もあります。

平川礁舎選 鶴亀句会1月紙上句会
 2・コロナ禍の湯気立たしむる一人鍋 純子
 4・きしきしと玻璃戸の軋む寒夜かな 小夜子
 5・名を知らぬ鳥美しや雪の庭 一九
 6・百選の渚の上の寒茜  安月子
 8・中止とは嬉しくもあり初句会 武敬
★9・夜勤の子待つうたた寝や去年今年 優子
 10・雪の朝鉾杉続く小国郷 和作
 12・蹲の落花一輪寒椿   小夜子
 14・休日のベランダ雑多冬始末 純子
 15・公園のベンチに一つ雪だるま 良一
 16・寒稽古剣士の気合館外まで 武敬
 20・巣籠りはコロナのせいよ外は雪 和作
 23・元気かと偲ぶ友より賀状来る 一九
★24・門柱の灯ともし頃や雪うさぎ 小夜子
★25・阿蘇五岳染まりて白き寒九かな 良一
★26・楷書にて顎引締めて初日記 武敬
  27・神官の太き声きく初詣  興
★28・縫初の糸を鳴らして恙なし 安月子
★29・白衣授与決まりし孫に福寿草 優子

 27句から19句を選抜しました。選に漏れた句が8句ありますが、8句ともに季語があり5・7・5に纏めてあるので俳句としては○印の句です。◎印を目指していただきたいです。
 19句は◎印の句ですが語順の入れ替え、助詞の変更など添削を加えたところもあります。ご確認ください。今回は秀逸の句が6句ありました。則ち★印の句 9、24、25、26、28、29 です。

(選者の句)
奥方の墓も隣に冬ざるる      礁 舎
二輪咲き蕾も一つ寒牡丹       〃
寒紅を濃く引くナースきびきびと   〃

選後寸評 平川礁舎
2、一人で鍋をつついている作者、 主観語「立たしむる」にした。
4,「夜寒」は秋の季題、「寒夜」に改めた。
5,雪の庭に珍しい鳥が来ている。一幅の日本画。
6,「極めし」に難あり、「上の」としたが、これでも不満がのこる。
8,「ある」を「あり」として「切れ」をつくる。俳味横溢の句です。
9,正月も夜勤のある人への労りの情が出ています。「去年今年」がよく利いている。
10、白鉾は読者に解ってもらえない。「鉾杉」とすべき。
12、「蹲に」を「蹲の」とした。この方が印象明瞭になる。
14、雑用に追われる厭わしさが「冬始末」の語に籠もって面白い。
15、そつなく纏まっているが面白さに不満、「公園」、「一つ」は云わずともよい。「雪達磨ベンチに融くる水浸し」などの方が面白い。
16、単語が多過ぎ「豆剣士気合ひするどき寒稽古」くらいでよい。
20、諧謔、俳味の面白さ。
23、そういうこと誰しも経験あります。これも諧謔性あり。
24、盆の上に作る「雪うさぎ」灯を点す頃には屋外に置き去りに。メルヘン的情感、郷愁。
25、「染まりて白き」とした方が引き締まる。

26、「楷書」、「顎引締めて」に改まった気持ち、気分が表現された。
27、神官の野太い声が初詣の印象として残った。それだけの事ですが、捨てがたい。
28、服飾関係に従事している女性の、年頭の所感を読むようで楽しい。
29、医学部或いは看護学校の学生が 臨床実習に就くとき白衣を授与して医師、看護師としての自覚を促す儀式。孫の成長が頼もしい。喜びの深い所に触れている。