「結婚しよう」ジョン・アップダイク著(岩元巌訳)新潮社を読みました。
お互いに家庭のあるジェリーとサリー。彼らは人目をしのんで愛しあうようになり、結婚しようと決意します。
ジェリーの妻ルース、サリーの夫リチャードとの確執や対立。子どもたちへの愛情と罪悪感。
アメリカ東海岸のロング・アイランド海峡に面した美しい町グリーン・ウッドを舞台に、二組の若い夫婦がくりひろげる物語です。
TVの「情熱大陸」でブックディレクターの幅充考(はばよしたか)さんが紹介されており、興味を持って読んでみました。
「結婚しよう」というよりは「離婚しよう」?
主にジェリーが離婚を持ち出してからの夫婦のやりとり、ルースの心の葛藤に物語のメインがあります。
「色気のない妻に嫌気がさし、美しい尻軽女に骨抜きになった男」
そんなステレオタイプな話ではありません。
四人がそれぞれ長所も欠点もある人間。
サリーは美しいだけでなく家庭的。ただ自分に自信がなく決断は他人まかせ。
ジェリーはサリーに恋をしてあまつさえ自分の妻にのろける始末。サリーの美しさに陶然となり、彼女を離したくないと焦る様子、独身の時なら恋のすばらしさで済むけど、お互いに家庭を持つ身ではどんどん深みにはまっていく恋の怖さ。
ルースは突然の夫からの離婚の切り出しに冷静に対処しようとしつつ、だんだん自制心を失っていきます。
リチャードは蚊帳の外に置かれていたけれど、いざ真相を知ってからは世慣れていて受容力がある感じです。
個人的には一番ルースに感情移入したかなー。
夫の不貞をなじり、怒り悲しむ気持ち。夫の会社の電話とサリーの自宅の電話がずっと話し中でいらだち、殴りこみに行きたい衝動。
一定期間サリーとは距離を置いて欲しいと話し合ったのに、平気で無視していた夫への失望。
でも「子どもの父親」をなくしたくない。夫婦としてやり直したい。
サリーの美しさにすら公平なルース、とても好ましい。
同じ女性として、同じ状況になったら私は彼女のようにたくましくいられるかなあ。
ジェリーがいない間に芝生を刈ろうと努力するルースや、いざ当事者四人で事を構えたときにトイレを借りそびれるジェリーなど、細部がリアルで臨場感があります。
惜しむらくはふたりの心や思い出の会話の部分、原文ではイタリック表記なのかなと思いますが、訳文ではそこがカタカナ表記で読みづらいこと。書体を変える程度でいいと思うんですけどね。
95年に永倉万治さんの訳でも出版されているようですが、そちらではどう扱っているのかな?
お互いに家庭のあるジェリーとサリー。彼らは人目をしのんで愛しあうようになり、結婚しようと決意します。
ジェリーの妻ルース、サリーの夫リチャードとの確執や対立。子どもたちへの愛情と罪悪感。
アメリカ東海岸のロング・アイランド海峡に面した美しい町グリーン・ウッドを舞台に、二組の若い夫婦がくりひろげる物語です。
TVの「情熱大陸」でブックディレクターの幅充考(はばよしたか)さんが紹介されており、興味を持って読んでみました。
「結婚しよう」というよりは「離婚しよう」?
主にジェリーが離婚を持ち出してからの夫婦のやりとり、ルースの心の葛藤に物語のメインがあります。
「色気のない妻に嫌気がさし、美しい尻軽女に骨抜きになった男」
そんなステレオタイプな話ではありません。
四人がそれぞれ長所も欠点もある人間。
サリーは美しいだけでなく家庭的。ただ自分に自信がなく決断は他人まかせ。
ジェリーはサリーに恋をしてあまつさえ自分の妻にのろける始末。サリーの美しさに陶然となり、彼女を離したくないと焦る様子、独身の時なら恋のすばらしさで済むけど、お互いに家庭を持つ身ではどんどん深みにはまっていく恋の怖さ。
ルースは突然の夫からの離婚の切り出しに冷静に対処しようとしつつ、だんだん自制心を失っていきます。
リチャードは蚊帳の外に置かれていたけれど、いざ真相を知ってからは世慣れていて受容力がある感じです。
個人的には一番ルースに感情移入したかなー。
夫の不貞をなじり、怒り悲しむ気持ち。夫の会社の電話とサリーの自宅の電話がずっと話し中でいらだち、殴りこみに行きたい衝動。
一定期間サリーとは距離を置いて欲しいと話し合ったのに、平気で無視していた夫への失望。
でも「子どもの父親」をなくしたくない。夫婦としてやり直したい。
サリーの美しさにすら公平なルース、とても好ましい。
同じ女性として、同じ状況になったら私は彼女のようにたくましくいられるかなあ。
ジェリーがいない間に芝生を刈ろうと努力するルースや、いざ当事者四人で事を構えたときにトイレを借りそびれるジェリーなど、細部がリアルで臨場感があります。
惜しむらくはふたりの心や思い出の会話の部分、原文ではイタリック表記なのかなと思いますが、訳文ではそこがカタカナ表記で読みづらいこと。書体を変える程度でいいと思うんですけどね。
95年に永倉万治さんの訳でも出版されているようですが、そちらではどう扱っているのかな?