9月19日(木)
「そうだったのか?!緑内障 ホントですか?!白内障」
の市民講座を開催しました
日 時 平成25年9月19日 16:00~17:00
テーマ 「そうだったのか?!緑内障
ホントですか?!白内障」
講 師 今井 康久 医師
会 場 佐野市民病院 A棟5階研修室
ものが見えるしくみは、カメラで撮った映像をテレビに映すように、目に映った映像を脳に伝えることにより「見える」状態になります。
この、脳に映像を伝える役割をしているのが視神経です。
緑内障は、目の圧力などで視神経が傷つき、視野が狭くなっていく病気です。
初期の段階では自覚症状がほとんどないので自分が緑内障であることに気づきません。
眼の中は、房水(ぼうすい)が流れることによりきれいに保たれています。
眼圧とは、房水が作っている、ある適当な圧力のことをいいます。
正常値は10~20mmHgですが、時間や季節、年齢によっても変動します。
毛様体で作られた房水は瞳孔を通り、ほとんどが隅角(ぐうかく)にある繊維柱帯から排出されます。
隅角が塞がってしまったり、繊維柱体が目詰まりを起こしたりして、房水の流れが悪くなると房水が眼の中にたまり、眼圧が高くなります。
眼圧の上昇は視野障害を進行させますが、視力はなかなか落ちないので「見にくさ」に気づかず、病気が進行してしまうことが多いそうです。
視神経には個人差があり、視神経がもともと弱く、正常な眼圧でも弱ってくる場合があります。
これを正常眼圧緑内障といいます。正常眼圧緑内障の原因のひとつに、視神経の血液循環が悪いことがあります。
また、眼圧や血液循環の程度が同じでも傷つきやすい視神経もあり、眼圧が高い緑内障の方より眼圧が正常な緑内障のほうが多くみられます。
緑内障の経過では急性に進行するもの、数年から数十年かかって慢性に過ぎるものがあり、目の構造からは、開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障とに分類されます。
医師の診察と検査を受け、自分の病状を正しく理解することが大切です。
緑内障と白内障 Q&A
Q 緑内障の治療薬はありますか?
A 点眼や内服薬は全て眼圧を下げる効果はありますが、傷ついた視神経を元に戻す効果はありません。
Q 緑内障は一生治らないのですか?
A 閉塞隅角緑内障は、レーザーや白内障手術をすることによって100%治ります。
また、点眼で眼圧をコントロールしていれば発症しなくてすむこともあります。
Q 白内障の手術をすると緑内障にならないって本当ですか?
A 白内障の手術をすることで、眼圧が下がったり点眼をする必要がなくなったり、視力が改善することにより視神経の負担が減り、緑内障が改善したり進行を遅らせることが期待できます。
(閉塞隅角緑内障については、白内障の手術をしている方は発症することはありません。)
Q どんな人が緑内障になりやすいのですか?
A 閉塞隅角緑内障では、50歳以上の女性、老眼が強い(若い時は目がいい)、偏頭痛が多い、眼が小さい(小眼球)、暗いところでの仕事が多い方などが発症しやすく、正常眼圧緑内障では、強度の近視である、家族に緑内障の方がいる、血液の循環が悪い、低血圧の方などが多いです。
Q 薬の副作用で緑内障になりますか?
A 閉塞隅角緑内障は、安定剤、睡眠薬、ある種の風邪薬、麻酔薬などの副作用が原因で発症することがあります。
Q 高血圧だと眼圧も高くなりますか?
A 直接の関係はありませんが、緑内障も生活習慣病のひとつと考え、規則正しい生活をこころがけましょう。
Q 白内障、緑内障は手術をすれば治りますか?
A 白内障手術は、中心視野を改善したり、守るための手術で、基本的に一度手術すれば一生再手術はありません。
緑内障手術は、周辺視野と視神経を守るための手術であり、視野や視力が改善するわけではありません。
眼圧が改善しなければ、再手術も必要です。
どんな手術も重症化すればするほど成功率は下がり、合併症も多くなります。
白内障も緑内障も自然治癒することはありません。
手術の時期を逃さないよう医師に相談し、手術の利点・欠点をよく考慮して決めましょう。
一度弱ってしまった視神経は元通りにはなりません。
早期発見・早期治療が重要です。
「最近なんだか見えにくい」「部屋が暗く感じる」「目がかすんで見える」などの症状がある方は視野障害が疑われますので、早めに眼科を受診しましょう。
視野と視力を保つため、定期的な検査と適切な治療を受けることが大切です。