市民講座

市民講座の内容やお知らせ

市民講座だより 2012年3月号

2012年03月30日 | 市民講座
3月29日(木)に「こんなに怖い高血圧」の市民講座を行いました

日時:平成24年3月29日 
   16:00~17:00
講師:三川 武彦 医師  
会場:佐野市民病院5階研修室

 血圧とは、血液が動脈を押し広げようとする圧のことです
 心臓が収縮する時に最も高く(最高血圧・上の血圧=収縮期血圧)なり、逆に心臓が拡張する時に最も低く(最低血圧・下の血圧=拡張期血圧)なります。
 血圧を決定する2大要素は、心臓が収縮して血液が押し出された時の圧力と血液が末梢血管に流れ込んだときに受ける抵抗が大きく関わっています。

 血圧の正常値は、診察室では、収縮期血圧140mmHg/拡張期血圧90mmHg、家庭では収縮期血圧135mmHg/拡張期血圧85mmHgと言われています。
 つまり、収縮期血圧が正常値よりも高いと「高血圧」ということになります
 高血圧は、心臓病や脳卒中などの合併症を引き起こしやすいと言われています。
 血管の圧が高いと、血管が破裂したり、瘤ができやすくなります。
 くも膜下出血や脳梗塞、心筋梗塞を起こしやすいということになります

 自分の血圧の状態を知るには、家庭血圧を続けてつけてみることです
 そこで気をつけなければならないことは、血圧は1日のうちに変動があるので、血圧を測る際には、時間を決めて測ることです。
 朝は、起きて1時間以内、排尿を済ませ、食事や服薬の前に測るのが良いです。
 夜は、寝る直前で、飲酒や入浴の直後には測らない方が良いです。
 飲酒や入浴は血管が拡張するため、血圧の数値が普段よりも低くなるからです。

 血圧には日内変動があります。
 特に、朝4時頃から10時頃の間に一気に急上し、日中は高い高血圧をキープしています。
 そして夜は8時ごろから徐々に下がり始め、夜は低い血圧をキープします。
 つまり理想としては1日に2回、朝晩測ることをお勧めします。
 また、血圧が急激に上昇する朝は、脳卒中のリスクが高いので気をつけましょう

 高血圧を起こす要因は、遺伝、加齢、食生活、肥満、飲酒、喫煙、運動不足、ストレスと言われています。
 最近、メタボリック症候群と高血圧との関係が言われていますが、体に脂肪が増えると脂肪細胞から糖尿病や高血圧、動脈硬化進行させる悪玉ホルモンが活発になるためです

 また、減塩すると血圧が下がるというデータも出ています。

 血圧を日常生活で注意する方法は減塩と運動です。

高血圧の人は1日の塩分摂取を6g未満に抑える。
減塩しょうゆや減塩味噌を使う。
料理は1品だけ濃い味付けにする。
味付けは表面に行い、砂糖は少なくする。
香やコクを生かす。
調味料は直接お惣菜にかけず、小皿に盛る。
麺類のつゆは残す。
などの工夫をすると良いでしょう。

 最後に面白い運動方法を教えてもらいました。
「ニコニコペース運動」です。

自分の年齢から体力の60%の運動量の脈拍を算出します。
(220-年齢)×0.6=ニコニコペースの脈拍数(1分間)

 この軽く息がはずみ、少し汗ばむ程度の運動であることが無理なく続けるコツです。
 また、自分にあった運動のペースが脈拍でわかるというのもわかりすくて良いですね。
 食事や運動不足、生活習慣に気をつけて、高血圧予防を心がけましょう

3月の市民講座のお知らせ

2012年03月09日 | 市民講座
3月29日(木)「こんなに怖い高血圧」についての市民講座を行います

高血圧についてどれくらい知っていますか
血圧はなぜ高くなってしまうのだろう
高血圧を放っておくと恐ろしい病気にかかることがあります

日常生活における高血圧予防についてもお話しますので、ぜひご参加ください

日時:3月29日(木)
16:00~17:00
講師:三川 武彦 医師
(当院 内科医)
会場:佐野市民病院 A棟5階研修室
参加費:無料
申込方法:佐野市民病院 地域医療連携室に直接
またはメール(sanoshiminrenkei@sanoshimin-hp.net)
お電話(0283-62-9024)でお申し込みください。

ご参加お待ちしております

市民講座だより2012年2月号

2012年03月02日 | 市民講座
日 時 平成24年2月23日 16:00~17:00
テーマ 「花粉症との上手なつきかいかた」
講 師 盛川 宏 医師


 花粉症とは、アレルギー反応の1つで、本来は私たちの体を守るために備わっている免疫の仕組みが過剰に反応しすぎてしまうことで起こります
 アレルギーを引き起こすアレルゲン(原因)を「抗原」と言い、それに対抗して体の中で「抗体」が働きます
 花粉症では、抗原は「花粉」で、抗体は「IgE抗体」です
 IgE抗体のついた肥満細胞は、アレルギーを引き起こすヒスタミンを放出します。
 このヒスタミンが、花粉症で辛いくしゃみ、鼻水、鼻づまりを引き起こすのです
 実際にIgE抗体を持っている人は、50%と言われていますが、IgE抗体を持っているからといって必ず発症するわけではないそうです。
 大気汚染などの環境因子や遺伝的要因によっても影響されます

 植物的アレルゲンは、スギ、ヒノキ、ブタクサ、シラカバなど様々あり、人によってどの植物に反応するかは違います
 しかし、一番多いのはスギ花粉症で、国民全体の26%を占めると言われています
 スギは関東に多く、2月から散布し始め、4月まで散布します。
 つまりスギ花粉症の人は3月と4月を乗り切れば良いのです
 ちなみに、沖縄や海外には花粉はないので、この時期に沖縄や海外に行くとピタッと症状が治まるそうです
 また、スギとヒノキの花粉症構造がとてもよく似ているため、将来的にはスギ花粉症の方は、ヒノキに対しても花粉症になる可能性が大きいと言われています。
 動物的アレルゲンは、ダニ、ホコリ、犬、猫などがあります。
 近年は高断熱高機密の家が増え、ダニにとっても環境が良く、昔よりもダニが繁殖しやすい状況にあるそうです。

つまり、近年花粉症が増えてきた要因としては
ディーゼルエンジンから排出されるディーゼル粒子の増加
(ディーゼル粒子は体に入ると通常の3~4倍の抗体を作り出すそうです)
清潔になりすぎた
高機密高断熱によって、ハウスダストやダニが増えた
戦後のスギ拡大造林によって植えられたスギが成長し、花粉を飛ばすようになった ことが挙げられます。

 花粉症は、最近は2歳で花粉症を発症することもあるそうです
 気をつけなければならないのが、「アレルギーマーチ」という現象で、通年性鼻アレルギーなど1つのアレルギーに反応が始まると、そのアレルギーを核としてどんどん他のアレルギーにも反応してしまうようになるそうです

 花粉症の対策としては、なんといっても予防です
 マスクやメガネなどアレルゲンを体に侵入させないように気をつけましょう
 そして、初期療法です
 花粉症の反応が出る前から薬を飲むということです。
 実際に花粉症の症状が出てから薬を飲むよりも症状を抑えされるという結果がたくさん出ています
 最近は薬の種類もたくさんあるので、医師と相談して自分にあった薬を処方してももらうのが良いでしょう。

 その他の治療法としてレーザー手術があります。
 鼻の粘膜にレーザーを照射して、アレルギー反応の場所を狭くすることで、反応を抑えます。この手術によって70%くらいの効果が得られると言われています
 また最近では免疫療法という方法もあります
 これは、体のなかにアレルゲンを少量ずつ注入していき、アレルギー反応の起こらない体質に変えていくというものです。
 注射と舌下免疫療法の方法があり、3年程つづけると効果がでてくるようです。

最後に花粉症との上手なつきあい方について
マスクやメガネなどで影響を避ける。
自分の症状発現パターンを知る。
早めに薬を飲む。
重症度や病型にあった治療法を行う。 ことです。

 予防具や薬を使って、少しでも症状を軽くできるよう上手に付き合っていきたいと思いました