8月12日(月)
「健康保険についてのお話」の
市民講座を開催しました
日 時 平成25年8月12日 16:00~17:00
テーマ 「健康保険についてのお話」
講 師 中島 正治 医師
会 場 佐野市民病院5階研修室
日本では全ての国民が、性別、年令の区別なく、公的な健康保険の加入が義務づけられています。
医療が必要な時、「健康保険証」があれば、希望する病院や診療所を選んで、必要な医療サービスそのものを直接受けることができます。
これをフリーアクセスといい、国民皆保険により、医療サービスが行き届いている事は国際的にも高く評価されています。
<主な医療保険制度>
国民健康保険
全国健康保険協会管掌健康保険
組合管掌健康保険
共済組合
後期高齢者医療制度 など
医療保険制度の仕組みは、国、都道府県、市町村などの行政機関による公費負担(公助)と加入者(被保険者)による保険料負担(共助)および受給者の一部負担によって成り立っています。
負担と給付が明確な保険制度ですが、被保険者が負担する保険料はその所得によって異なり、所得再配分の要素ももっています。
私たちが医療機関を受診した際に支払う医療費(初診料・再診料・処置料・検査料・処方箋料・手術料・入院料など)は、診療報酬点数で計算されます。
診療報酬とは、医療機関がその提供した保険医療サービスに対する対価として医療保険より受領する報酬で、保険診療の範囲・内容を定める「品目表」としての性格と、個々の診療行為の価格を定める「価格表」としての性格をもっています。
診療報酬点数表(1点=10円)については、中央社会保険医療協議会の諮問・答申を経て厚生大臣が告示します。
かかった医療費の一部を医療機関の窓口で患者が支払い(患者一部負担金)、残りを医療保険の保険者が支払いますが、請求された点数は審査支払機関による審査が行われ、認められたものについて支払われます。
医療機関に支払われた診療報酬は、医療行為にかかわる物的経費や医療従事者の人件費(医師、看護師、薬剤師等)に充当されます。
日本における医療機関のCT・MRI設置数は、人口あたりでは世界第1位で、2位のアメリカの約2倍の数が設置されており、国際的に見ても高度な医療を受けられる環境であるといえます。
医療保険では、家計に対する医療費の自己負担が重くならないよう、各世帯で医療・介護にかかった費用を合算し、一定額を超えたときに還付が受けられる高額療養制度があります。
また、同一医療機関で高額な医療を受ける際「自己負担限度額認定証」を提示することにより窓口負担を一定額にとどめることができます。 「自己負担限度額認定証」は、加入している健康保険組合、協会けんぽ、または市町村(国民健康保険・後期高齢者医療制度)などに申請すると交付されます。
医療保険制度はいくつかの制約によって守られています。
例えば、混合診療の禁止についてですが、健康保険法では、治療行為はすべて医療保険で給付しなければならないと定められています。
混合診療とはこの制約をなくし、治療行為の一部を医療保険で給付し、一部を自費診療(全額患者負担)で診るという、保険給付と保険外の自費診療費を混合した診療をいいます。
これが全面的に認められると、保険のきかない医療が拡大し、患者負担が増えてしまいます。
自由化により私たちの生活の中で様々な規制緩和が行われていますが、必要な制度は今後も守っていかなくてはなりません。
日本の人口の推移や高齢化、国や地方の社会保障財源などの面から考えると、保険料の引き上げや患者一部負担金の負担割合の増加が見込まれますが、将来も安心して医療サービスを受けられるよう、適切な受診をこころがけ、私たちの財産である健康保険制度を守っていきましょう。