仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

『めぞん一刻』をみて、思ひだしたことなど

2007-05-14 21:29:46 | ドラマ、映画
先週の土曜日に放映されてゐたドラマ『めぞん一刻』。
「喰ひタン」を見て、『めぞん一刻』は録畫しておいた。

けふ、録畫したものを見た。
配役だとか、原作との相違とか、さういふことはともかくとして、私には面白かつた。

ドラマの設定は1983年。
私が大學4囘生(嚴密には2度目の3囘生)の年だ。
なので、當時の雰圍氣を思ひだして、とても懷かしかつた。

五代くんの通ふ豫備校の壁には「共通一次」の張り紙があつた。
さう、いまは「センター試驗」といふらしいが、當時は「共通一次」と云つた。
1979年から實施された「共通一次」、何を隱さう、私はその第1囘の受驗者なのであつた。
しかも、五代くんと同じやうに「浪人」し、1980年(第2囘)も受驗した。

晴れてその年に志望大學に合格し、京都で下宿生活をスタートした。
下宿生活と云つても、正しくは「○○學生ハイツ」といふおんぼろアパートで一人暮らしをしたのである。
そのアパートが、ドラマの「一刻館」以上に年季のはいつたアパートで、私の部屋は3年目頃から雨漏りが始まつた。

最初のうちは、洗面器で受けてゐたのだが、或る日、天井の合板が拔け落ちて、大量の雨水が寢てゐるベッドの上に落ちて來た。
どうやら、天井に少しづつ雨水が溜まつてゐて、その重さに、ふやけた合板が耐へきれなかつたらしい。
隣の敷地に住んでゐた大家さんに、「天井を修理して欲しい」と直訴したのだが、「もう直す氣はないので、もうひとつ部屋をただで貸してあげるから、それで勘辨して欲しい」と云はれた。

仕方ないので、内廊下を挾んで、はす向かひの北側の部屋を借りることにした。
ベッドやステレオなど、濡れたら困るものをその部屋に移した。
賃貸料は當時でも破格に安い1萬4千円(共益費込)で2部屋の主となつたので、内心はラッキーだと思つてゐた。
しかし・・・
その後、新たに借りた部屋まで雨漏りが始まつてしまつたのである。

ドラマを見てゐて、五代くんの部屋の雨漏りを見て、自分の學生時代を思ひだしてしまつた。

もうひとつ懷かしかつたのが、共同トイレと共同炊事場。
いまはどうなんだらう、かういふ仕樣のアパートつて、まだあるのかな?
學生がトイレ掃除などするわけもなく、しかも、醉つ拂つてゲロを吐いたものが乾燥してこびり付いてゐたりして・・・
もちろん便器は和式。
水が流れる際のところには苔が生えてゐた。

共同炊事場とは云つても、それは名前のみ。
みんな、時々自炊するのだが、作るのはよくても食器を洗ふのが面倒臭い。
なので、誰のものかわからない鍋や食器が洗はれないまま放置されてゐた。
その上で顏を洗ひ、齒を磨くので、次に鍋を使ふ時には、かなりの勇氣が必要だつた。
さういへば、ムカデが水を飮みに來て、溺死してゐることもあつたなあ・・・

あ、綿入れ半纏といふのかドテラといふのか、あれも懷かしい。
私の住んでゐたところは京都でも北のはうにあつたので、冬の寒さたるや半端ぢやなかつた。
一緒に住んでゐた學生のおそらく全員がドテラを着てゐた筈だ。
ドテラ姿で炬燵に入り、酒を飮みながら、麻雀をする。
夜中まで騷いで、起きだすのはひる前。

こんな生活が出來たのは、あの當時の學生ならでは、なのではなからうか。
ちなみに、あのアパートで付き合ひのあつた同學年の學生のうち、4年で出ていつたのは一人だけだつた・・・

『めぞん一刻』を見てゐて、自分の學生時代を思ひだすことになるとは思はなかつた。
それだけ、あのドラマは1983年といふ時代をよく再現してゐたのだらう。

終はりかたは、いかにも中途半端だつたので、恐らく續篇が豫定されてゐるのだらう。
五代くんと管理人さん(響子さん)とのロマンスもこれからが佳境に入る筈。
きつとまた見てしまふことになりさうだ。


<追記>

あ、さうさう。
ユーミンの「守つてあげたい」が主題歌になつてゐたのが、これまた良かつた!
懷かし過ぎ!


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4 コメント

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昭和は遠くに (coollife)
2007-05-14 23:05:43
もう平成19年。
来年は昭和が終わって20年も経つのですね。
時の流れの速さに目がくらみます。

学生時代に住んでいた場所、特に自宅じゃないところに住んでいた場所って特別な感慨がありますね。
私も、学生時代の下宿を思い出してしまいました。
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Unknown (りっきー)
2007-05-14 23:17:36
こんばんは!
何とも懐かしい思いを感じることが出来た、ドラマでしたね。。。
野球が中途半端で終わり、欲求不満気味でしたので。。。

それにしても・・・一ノ瀬さんが濃厚でした。。。
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昭和50年代 (仙丈)
2007-05-14 23:31:44
coollifeさん

時の流れの速さ、年をとるに從つてますます感じます。
私は昭和50年代が少年から社會人への間にあたりますので、格別な思ひ入れがあるやうです。
ドラマは昭和58年といふことになりますね。
もう、およそ四半世紀前ですか・・・
ぼろアパートに住んでゐたあの頃が懷かしいです。

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一ノ瀬さん (仙丈)
2007-05-14 23:36:30
りっきーさん

一ノ瀬さんが岸本さんといふのはイメージにあはないと思つてゐましたが、實際に見てみたら、なかなかいい感じでしたね~
キャストについては、原作のイメージ通りとまでは行きませんが、これは仕方ないですよね。
四谷さんの岸部一徳さんも、年がいきすぎてゐるとは思ひましたが、不氣味さが出てゐました。

次囘があれば、きつと見てしまふと思ひます。

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