『相棒』 Season 8： 第１２話 「ＳＰＹ」

これまでの Season 8 のなかでは、最も面白い作品だつた。


「廳内Ｓ」。
Ｓといふのは、スパイの隱語らしい。
「廳内Ｓ」とは、警察廳が警視廳に送りこんだスパイのこと。
つまり、神戸尊も「廳内Ｓ」といふわけだ。

そんな神戸尊が殺人事件の參考人として、伊丹＆芹澤に事情聽取される。
もちろん、視聽者も伊丹＆芹澤も、尊が犯人だとは思つてゐない。
なので、この事情聽取のシーンは、あまり深刻にならずに見ることが出來た。
伊丹：「カンベソン」
尊：「カンベタケルです」
伊丹のいちびりが、面白かつた。

それにしても、大河内監理官が格好よかつた。
警視廳内部の不正をオープンにしようとする姿勢。
現實にかういふ人がゐることを願ふ。

尊が大河内監理官に、
「大河内監理官こそ、なぜ結婚なさらないのですか？」
と質問した時、『相棒』ファンは息を呑んだのではなからうか。
私など、思はず、
「あ、それは訊いたらアカン！」
と口に出したくらゐだ。


大河内さんが、尊くんが特命係に異動して來た理由について疑問を抱き續けてゐることが、今囘明らかになつた。
確かに２階級も降格しての異動は異常だ。
誰でも氣になるところである。
このことについて、肝腎の杉下右京はどう考へてゐるのだらうか？

犯人が告白するシーンで、犯人は尊が「廳内Ｓ」ではないかと疑つてゐたことを明かす。
その時、尊は、
「思ひ違ひですよ、僕はＳなんかぢやありません」
と云つた。
「ぢや、Ｍか？」
などと云ふツッコミはさておき。
もちろん、視聽者はこれが尊の嘘であることを知つてゐる。
この後、右京さんが云ふ。
「やはり、Ｓといふのはあはれなものですねえ」
このセリフ、尊くんに對して云つたやうに感じられたのは、私だけだらうか。


この２人がほんたうの意味で「相棒」となるのは、尊がＳとしての使命を放棄する時であることは論を俟たない。
「相棒」ファンとしては、その時が、いつ、どのやうにして訪れるのか、樂しみである。




＜ストーリー＞

銀座のホステス・まどか（小嶺麗奈）の他殺体が発見され、携帯電話の通信記録から尊（及川光博）の名前が見つかった。
尊はまどかの店に警察庁時代に上司に連れて行かれただけだという。
事実、まどかの店は警視庁・警察庁の幹部クラスが数多く出入りしていた。
右京（水谷豊）はまどかの所持品の中にテレフォンカードを見つけ不審を抱く。
なぜ今どき？
さらに、まどかの化粧ポーチからUSBメモリーが見つかり、警視庁と警察庁を揺るがす事態へと発展していく…。


ゲスト：美木良介　小嶺麗奈　芦川誠


脚本：櫻井武晴
監督：近藤俊明


（以上、 「相棒」公式ＨＰ より）