それなりタイムス

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無認可保育所連絡協議会全国総会での発言(資料)

2006年10月21日 12時57分21秒 | 山形県無認可保育所連絡協議会
本年10月6日、山形県議会にて、「認可外保育施設に対する助成について」の請願採択される
山形県連、結成9年目の画期的な取り組みが結実!

取り組みの経過
 平成17年は「認可外保育施設児童育成支援事業」から今年度は「認可外保育施設乳児受入支援事業」に名称変更となること、事業自体が乳児の受入支援型にシフトし、①運営費補助(基本分)の補助要件の二つ目が平成17年度の「入所児童の2割以上が低年齢児かつ0歳児が1人以上」の部分が今年度では「入所児童のうち0歳児が3人以上」となり、いっきに要件のハードルが高まるという内容の新補助要綱の案が県から届き、恒例の2月の「山形県連交流のつどい」の時点で参加者に報告され、ハードルが高まったことに対する危機感と不安感が、県内の少なからぬ認可外保育施設に広がりました。
「これは改悪ではないか」と山形県連事務局長の橋寛氏から抗議ハガキを県に届けよう、という提起がなされ、新要綱の説明会が自治体担当者になされる以前に多くの抗議ハガキが山形県健康福祉部あてに送付されました。
この電光石火の運動が担当者の胸に届いたのか、県は補助要綱の見直し版を作成、6月14日、橋寛氏のもと(鶴岡市たんぽぽ保育園)を県の担当者2名が訪れ説明を行いました。
見直し版では0歳児3人以上という基準のほかに、新たに0歳児2名の保育施設に対する補助という
基準が追加されました。
 このこと自体、運動の大きな成果ではありますが、「0歳児一人以上」だったものが「0歳児3人以上」または「0歳児2名の保育施設」への移行は補助金の減額を覚悟しなくてはならない施設の増加を暗示するものです。
 この事態に鋭く反応したのが、新庄認証保育所連絡協議会のメンバーでした。


 ここで新庄市の認証保育所という制度(?)について説明をしますと、認証とはいえど、県の補助金要綱の要件を満たしている認可外保育所について、新庄市が独自に名称の上で「新庄市認証保育所」としているもので、県内の他の自治体の認可外保育施設に対する補助金額と顕著な違いがあるわけではありません。独自の補助制度として、きょうだい割引として5000円以上を実施している園について
月3000円を補助するというものがあります。
新庄認証保育所連絡協議会のメンバーとしては、このきょうだい割引補助のメリット以上に、地域に対して「新庄市認証保育所」という名称を公式に使用できるメリットを歓迎しています。

 新庄認証保育所連絡協議会ではかねてより、市会議員5名と密接な関係をもち、行政側とも対話的ないい関係を築いてきましたが、本年8月、地元選出の県議会議員にこのたびの補助金要綱の改悪(?)内容を訴え、助言を求めました。
 訴えを聞いた坂本貴美雄県議(自民)は、県に働きかけるのであれば、新庄認証保育所連絡協議会というよりは県連組織として請願をしたほうがよいと助言、山形県連として新庄組織の働きかけを引き継ぎ、9月定例議会への請願書を提出することになりました。
 山形県連会長の私(橋)の住む米沢市選出の後藤源県議にも事情を説明し、紹介議員を引き受けていだだきました。
9月14日、橋は山形県議会に出向き、坂本県議と後藤県議を訪れ、請願書に署名をいただきました。その他、数人の自民県議の紹介議員署名を坂本県議が集めてくださり、請願書が提出されました。

請願書内容は以下。

件名 認可外保育施設に対する助成について
請願の趣旨
 認可外保育施設の助成につきましては、国の支援がなく、また、厳しい財政が続いている中で、山形県は女性の社会進出の実態など保護者のニーズを踏まえて独自の助成を長年にわたり継続し、18年度においては、東北で断然トップ、全国でも5番目に多い予算を確保されるなど、心強く感じております。
また、その補助内容も保育にもっても注意を要する低年齢児の受け入れのほかに、衛生面、児童の健康面、保育時間、待機児童数など多方面に配慮したものとなっており、認可外保育所に携わるものにとっては、経営指針の一部となっているところです。
 しかし、女性の社会進出が増える一方で出生数は年々減少し、また、産前産後休暇・育児休暇制度の変遷により0歳から預けることがかなり減少してきている傾向にあり、今後0歳児入所の助成要件を満たさなくなることが懸念されます。
私達、認可外保育所は子ども達の幸せを願い、認可保育所では対応できない面をカバーし、本県保育の一端を担ってきたところです。
つきましては、来年度予算につきましても、認可外保育施設助成に関する予算を今年度並みの確保に最大限努力されるとともに補助要件の一部見直しを図るようお願いいたします。
以上、地方自治法124条の規定により請願いたします。

平成18年9月14日
             請願者 住所 米沢市○○○○

                 氏名 山形県無認可保育所連絡協議会
                    会 長   橋 英 夫
                 電話番号 0238-22-○○○○
山形県議会議長 今 井 栄 喜 殿




9月29日、県議会常任委員会でこの請願内容が内容妥当という結論に達しました。そして10月6日、本会議最終日にて採択となりました。

恒例の要望書提出行動も大きな盛り上がりとなる(写真)

10月19日(木)は毎年恒例の、山形県への要望書提出の日。全国無認可保育所連絡協議会の総会に活動報告を行う関係で、例年、総会の直前に要望書提出の日程を設定しています。

午後1時30分からの日程ですが、午前11時にはほとんどの施設長が県庁食堂に集まり情報交換と打ち合わせを行いました。
健康福祉部児童家庭課への要望書提出と懇談には県内12の施設長が参加、実情を訴えました。

その場に来るまで私たちは補助要綱が改悪されたと認識していましたが、向出課長の説明を聞き、大きく認識を変えることとなりました。
課長の説明によると
平成18年度の予算編成の前提条件が、県全体では160億円の削減クリアだったこと。
義務経費で10%減、非義務経費で40%減という前提だったこと。
非義務経費40%は認可外施設には影響が大きすぎるということでせめて20%減に圧縮してほしいと抵抗してきたこと。
これまでの予算額4500万円程度なら3600万円となるが、財政課を説得する新しい材料はないかと模索し、待機児の中でも大きなウェイトを占める0歳児の受入という新たなメニューに注目したこと、待機児童を受け入れているという実績に対するメニューを新設することなどを織り込み、本来なら20%減の3600万円に削減となるところを、新設メニューにより、平成17年度の4500万円を5000万円に引き上げたのが今回の新補助金要綱であること。
しかるに、補助要件の緩和、改定はこのような経過からありえないとの話でした。

しかし、その後のさっくばらんな懇談の中で、育児休暇をとるケースが増えたのか1歳児になってから保育申し込みをしたが入所できないからと認可外に入所するケースも多いとの現状が反映される中、課長は「0歳児3名以上」という要件に関して、場合によっては0歳1歳と年齢の範囲を広げる方策も検討の余地があるか、のような感想を漏らしました。

一時間あまりの懇談でしたが、財政問題から健康福祉部児童家庭課として、最大限の努力をして今回の要綱にたどりついた経過を分かりやすく聞くことができたことは信頼関係の礎となりました。

知事や部長会も「認可外~」で厚労省にはたらきかけ
さらに、新たな認識となったことは、斉藤弘知事が昨年7月の中央省庁回りで厚労省に対し、山形県の「平成18年度 重点要望事項」として以下の事項を届けてきているとのことです。
(1) 地域全体で子育てを支援していく社会づくりの推進
  ③次世代育成支援対策推進法に基づき地方公共団体が策定した行動計画における地域実状に応じた保育サービスについての確実な財源措置を講じるとともに、保育の補完的役割を果たしている認可外保育施設の保育サービスの充実に対する支援を拡充されたい。

また、東北北海道の部長会としても同様の要請を厚労省に行っているという報告もありました。
ですが、なかなか厚労省が従前からの立場を変えようとしないのは、そのような要請に至る知事や部長会がまだまだ少ないからだろう、という見解も述べられました。

懇談の後半では、財政問題の観点からすれば補助要綱の現状は理解できるとしても、別の観点ではあるが、小泉政権時代の待機児児童解消の施策として進んできた認可保育所の定員25%アップなどの無謀なやり方が、真の意味での次代を担う子ども達の健全育成の望ましい環境であるのか、という問題提起もなされました。
 同様の観点で、今回新設された、待機児童受入事業の補助金はお金の面ではメリットがあるかもしれないが、保育所の空きが発生すればその時点で転園するとはじめからわかっている児童を受け入れることであり、現場の心情には大きな負担があり、安易に受け入れがたい、という思いも語られました。
 また、自衛隊のある東根市の園からは、
「午前3時ごろ、園長宅に、出動しなければならないので預かって欲しい、という電話が入ることもある」
「午後7時までには仕事が終わらないので午後9時ぐらいまでみてほしい」といった園の受入体制とは無関係の要請があったりするが何とか応えてあげている、という報告もありました。

今回の要望書提出行動では、
「今までの県との話し合いの中では一番よかった」という好評価がありました。
その内容は改悪と思っていた新要綱だが、実は大変な担当部課の努力があったことを分かりやすく知ることができたことでした。
と同時に、財政面や、法制度とのすり合わせで施策を練る行政担当の人たちとの忌憚のない話し合いの中で、「血の通い合う生身の人間としての」保育論の一端となる話し合いができたことも大きな喜びであり、成果であったのだと思います。

以下に、今回の山形県知事に対する要望書を紹介しますが、今年は前述のとおり県議会での請願採択という快挙をうけ、あえてあれもこれもの要望を書かず、請願内容を補足してまずは請願に対する回答作業のスムースな進行を期待するというニュアンスにとどめています。



 2006年10月19日(木)
山形県知事  斉藤 弘殿
山形県無認可保育所連絡協議会
代表 橋 英夫
(事務局長連絡先)          
 鶴岡市青柳町42‐32「たんぽぽ保育園」
橋 寛  ℡0235-24-1688
要 望 書
[山形県内の認可外保育施設に対する県の施策の拡充を求める要望書]
 山形県ではこの間、「さんさんプラン」に基づく小学校の少人数編制の取り組みや、満6歳までの乳幼児医療費の無料化をはじめ、子育て支援にかかわる多くの施策を打ち出してこられ、認可外保育施設に関しても着実に施策を充実させてこられましたことに深い感謝の意を表します。
 
 さて、ご周知の通り私ども山形県無認可保育所連絡協議会では、山形県議会に対し件名「認可外保育施設に対する助成金について」という請願を提出しましたが、平成18年9月定例会にて審査の結果、採択となりました。
認可外保育施設に対する施策の着実な前進に対して感謝の意を表しつつもこの時期に私どもが請願を致しましたのは以下の理由によるものです。
1. 認可外保育施設への助成についての名称が平成17年度の「認可外保育施設児童育成支援事業」から今年度は「認可外保育施設乳児受入支援事業」に変更となったことに端的に示されているように、事業自体が乳児の受入支援型にシフトし、①運営費補助(基本分)の補助要件の二つ目が平成17年度の「入所児童の2割以上が低年齢児かつ0歳児が1人以上」の部分が今年度では「入所児童のうち0歳児が3人以上」となり、いっきに要件のハードルが高まったことに対する危機感と不安感が、県内の少なからぬ認可外保育施設に広がったこと。
2. 同様に、⑤調理職員検便費補助と⑥児童健康診断費補助の要件に「①、②、④助成対象施設は除く」の一文が加わったことについても、「ようやく高いハードルを超えて①②④の補助要件を満たしても、⑤⑥が事実上差引となれば補助全体としてみると減額となる施設も出てくるのではないか。」との懸念も広がりました。
 具体的には以上のような声の広がりに対して、この機会に私どもの実情を山形県議会でも認識していただきお力添えをいただきたく請願に至りました次第です。
請願書におきましては、「来年度予算につきましても、認可外保育施設助成に関する予算を今年度並みの確保に最大限努力されるとともに、補助要件の一部見直しを図るようお願いいたします」との表現にとどめておりましたが、私どもが特に見直しを求める補助要件とは上記の2点でありますことをお伝えし、その上でこのたびの請願内容に対する前向きな処理を賜りますよう要望いたします。

県連組織活性化の萌芽について

このたびの議会請願採択までの一連の動きの中に、組織活性化にかかわるいくつかの教訓があります。

一つは、運動を継続してきたその実績の上に起きたことですが、県が新しい補助金要綱の案をいち早く県連に届けてきたことです。
このことによって要件緩和を求める運動も抗議ハガキを送付するなど、機敏に行うこととなりましたが、もう一つ、恒例の2月の「県連交流のつどい」で報告されたことで、出席者の中から「この組織にいると情報が早い」という歓迎の声が上がり、その施設長さん(米沢市)はさっそく県連に加盟してくださったのです。

その米沢市では、四半世紀も続いてきた「山形県保育のつどい」の実行委員会メンバーの不定期交流が始まっていて、その中の認可外の施設長の集まりも生まれました。このメンバーは県連未加入の方もありますが、今回の請願などの取り組みについてはしっかりと情報が交換されており、次のアクション(来年2月の県連交流のつどい)には参加していただけるものと考えています。

このことに関連する教訓ですが、そもそも請願のきっかけを作ってくれた新庄では施設長さんたちの「組織」としての取り組みが行政や議員を動かしてきたという事です。そういう実感から、新庄市の施設長さんらは県連の他の地域のメンバーに対しても「地域に組織があることはぜったい大事だし、力になる!」と声高に訴えてくれています。早い時期から5人もの市会議員を味方につけてきた新庄市の取り組みは大いに学ぶべきでしょう。

 山形県連は今年結成9年目。
 毎年10月の県への要望書提出という県組織としての中心的活動を第一の柱に、毎年2月には未加入園にもおおいに働きかけての「県連交流のつどい」を継続的に行ってきました。少しずつではありますが、行政との関係、組織の活性化、拡大の取り組みの面でも前進してきているといえるのではないでしょうか。

 今後は、全国交流集会への参加、東北ブロック交流集会への参加なども大いに運動を強めていきたいと考えます。



 

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