三酔人の独り言

ルポライター・星徹のブログです。歴史認識と国内政治に関わる問題を中心に。他のテーマについても。

中国に「プレゼント」を送り続ける安倍首相

2014-02-26 15:21:43 | 外交・安全保障
 中国が南シナ海で防空識別圏設定を検討していることに対し、米国や東南アジア諸国から反発や懸念の声が相次いでいる。

 米国のケリー国務長官は、中国の習近平国家主席などに「懸念」を伝えた。フィリピン・ベトナム・インドネシアの首脳らも、中国の動きに対し、批判・反対を表明している。

 中国政府は、こういった諸国からの批判・警戒観の広がりを受け、南シナ海での防空識別圏設定に慎重な姿勢を見せ始めている。

 中国外務省の副報道局長は、2014.2.21の定例会見で「・・・国家の安全を守る権利がある」と述べる一方で、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国を刺激するより当面は関係改善を優先させる、との意向をにじませた。

 こういった中国側のスタンスには、<ASEANを中国側に取り込むことで南シナ海の実効支配を有利に進めるとともに、尖閣や安倍政権の対中政策をめぐり対立を深める日本を孤立させる狙いがあるとみられる。>

*以上、「朝日新聞」2014.2.26(朝刊)「南シナ海上空 中国沈黙」(北京=倉重奈苗、ハノイ=佐々木学)参照(<  >内は引用)。

 中国政府は同時並行で、「世界反ファシズム戦争」の意義と「(1945年以降の)戦後国際秩序」の重要性を強調する外交攻勢も強めている。世界的に「日本(安倍内閣)包囲網」を構築するためだ。

 中国では、抗日戦争勝利記念日(9/3)と南京大虐殺犠牲者国家追悼日(12/13)が、国家記念日として正式に決定される見通しだ。

 また中国・南京市当局は、南京大虐殺(南京事件)の関連史料を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に申請する計画を進めている。

「朝日新聞」2014.2.26(朝刊)「「抗日勝利」「南京虐殺追悼」 中国、国家記念日指定へ」(北京=倉重奈苗) 

「時事通信」2014.2.25「南京事件を「国家追悼日」に=全人代で審議、採択へー中国」

 上記「朝日新聞」(南シナ海上空・・・)を読む限りでは、中国首脳は尖閣問題と歴史認識問題を絡(から)めた世界的な「日本包囲網」の構築を最優先とし、当面はASEAN諸国に対し「懐柔策」「取り込み戦術」を取る、ということだろう。

 これらASEAN諸国の多く(フィリピン・マレーシア・シンガポール・インドネシアなど)は、アジア太平洋戦争で日本に侵略支配された経験を持つ。そういった枠組みで言えば、「中国と同じ側」にいる、ということになる。

 そのため、安倍首相の靖国神社参拝をはじめとする「侵略・植民地支配を美化・正当化する」ような言動、そしてその「取り巻き」・「お友達」らが繰り返す同類の言動は、民衆レベルでは「ASEAN諸国+中国」側の結束を強める、という可能性が高くなるはずだ。そして、この構図が強調されればされるほど、日本にとって不利になる。もちろん、政府レベルでは、事はそう単純ではないのだろうが。

 そして親分格の米国。昨年末に安倍首相が靖国参拝したことに対し、米国政府は「失望した」と表明するなど、不快感を表した。

 米国も「世界反ファシズム戦争」と「(1945年以降の)戦後国際秩序」という枠組みで言えば、「ASEAN諸国+中国」側にある。もちろん、そういった「枠組み」は心情面の奥底にあるものであり、それが国際政治の中心に躍り出てくることは少ないだろう。

 しかし、「米国民の心情」を軽く見てはいけない、と思う。それは、米国上下両院(議会)の判断にも大きく作用してくるはずだからだ。

 安倍内閣が「そんなの関係ねー」とケツをまくるなら別だが、そうも行かないはずだ。安倍内閣の「独りよがりの失政」によって、世界的な「日本包囲網」は確実に強固なものになりつつある。

 「国内専用政治」の視点だけでいい気になっていては、世界的には全く通用しない。そのことを、日本の安倍内閣支持者らは一刻も早く気づくべきだ。

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