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六月投句

      兼題  扇


うつ伏せて地球抱えし蟻の列
てのひらに乗ってしまった雨蛙
名人の此処一番と扇取る        模楽宙         
托卵の山やはらかし時鳥        ありま茜         
扇にて時よびもどせ人は老ゆ      変竹
遠滝の一筋白き主張かな        ありま茜       
今も手に父が形見の黄の扇子
いつからか耳奥に住む蝉の声
ひょっとして時間の死かな夏銀河    変竹    
南無八幡屋島の海をあふぎ舞ふ     模楽宙      
紫陽花やポストに向かい合掌す
かの人が扇子に遺せし香かな
羞ふと見せ風鈴のさはがしき      ありま茜          
私は私 てんとう虫にはなれません   変竹  
しみじみと扇子の風を味へり
節電に世の喧噪や青すだれ       模楽宙           
屈む背のなべて母似や夏の畑      ありま茜
定斎屋の揃へる音や青すだれ      模楽宙       
梅雨寒や五十年親し友の通夜      変竹
猫の目に路地の向かふの祭りかな    模楽宙    
梅雨空を唄へとばかりジン・ケリー
めぐりくるあの日の匂ひ初扇       ありま茜      
古い夢さがしあぐねて月見草       変竹
右の角雌雄どっちやなめくじら
心経を唱えてえたり古扇子
走り梅雨無聊をかこつか独言
機を見たり縁台将棋の古団扇      模楽宙       
雨や雨まい舞い瞑り昼の夢       変竹
滴りの遅速は山の戯れごころ      ありま茜
                         
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