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一月投句

みどり子の微笑に誘われ初笑い     粒石
円空の十二万体福笑い           変竹
むかし昔 慾もなかりて竈猫        変竹
初凪や創世記のごと茫茫と         雅田如
ロボっとに負けてなるかよ初笑       変竹
この世かな? 遠くよぶ声冬の雷      変竹
新年やはるか山なみ阿弥陀仏        変竹
いじゃないか和になって踊ろょ里神楽    変竹
こたつ猫うす目をあけてしたり顔      粒石
ホースからペロリ舌出す初氷         雅田如
灰猫の晴着みる眼のかはりをり       摸楽宙
哲学を考へる如かまど猫          摸楽宙
炬燵猫かぞくの序列思案せり        摸楽宙
初筑波いたわりおうて双の山        雅田如
平穏無事だけ希うてなずな粥        粒石
帯揚の慣れぬしぐさや笹子鳴く       摸楽宙
初笑い中島みゆきしゃべり口        雅田如
芸人に早々抜かる初笑ひ          摸楽宙 
太陽の黒点覗く初えくぼ          摸楽宙
紅色にたとへられし初笑い         粒石
炬燵猫酔いつぶれたる父が居て       里楽乃
おだやかな人生なんて竈猫         雅田如
今年こそまた今年こそと賀状書く      里楽乃
はりきりて京人参を一本買う        里楽乃
熱燗で一日〆める余生かな         粒石
ささやかな鏡開きの餅揚げる        里楽乃
洋々と歌会始の披講かな          雅田如
ハムスター初出産の初笑ひ         里楽乃
初空や子は合格と手を合わせ        里楽乃
竈猫故事来歴は問わぬとし         粒石



*******白銀俳句会五七五分科会*********

  都々逸
むかしむかしの大昔だよ 寝正月だよ竈猫              変竹林
天下たいへい世はこともなし ちとムリをして初笑          変竹林
リアルも正義も もうたくさんだよネ 余生メルヘン ファンタジー  変竹林



  川 柳
新年やこと新しきこともなし      変竹林
たいぜんと自若うららら竈猫      変竹林
灰かぐらすったもんだで灰猫に     変竹林
ねこネズミ捕るのわすれて座敷猫    変竹林
元号をいまだ昭和に換算し       徹
苦労せぬ健康法ってないものか     徹
年寄りの最後の手口ボケたふり     屯児
食道楽天下をとった口振り       屯児
大食いも芸のうちとはハハ呑気     屯児 
ほりごたつ蜜柑の代わりにバナナ出し  屯児
半世紀の車免許との別れかな      麻太郎
ウオークマンも既に死語かやオディオ機器    麻太郎
昨日おれ席譲られてぎょっとする    麻太郎
木遣りより手話に見惚れし出初式    麻太郎
10年間絵本読む俺へ大拍手      麻太郎
   

  短 歌
微笑みの土偶の唇愛おしき明日ある命信じきる君  麻太郎               
口ずさむとんがり帽子のスナフキン平和の音符風に吹かれて  麻太郎
不条理な別れの台詞突然に朝のカフェオレ飲み干す君は    麻太郎
雪原に足跡残し天空へ旅立つ君へエンヤ「エンジェル」    麻太郎






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十二月披講

                 兼題  「冬旱」   「鶴」

  天   鍋太鼓手に手に打つ列寒旱    里楽乃
”鍋太鼓手に”とはなんと懐かしい響きだ。昭和一ケタの頃、下町ではよく見かけられた冬の風物詩だ。みんな好きなように喋り歌って日頃の憂をはらしたものだ。貧しくもそこには血の通った温かい交流があった(粒石)

  天    冬帝に抱きすくめらる小海線    雅田如
ローカルカラーたっぷりの列車が、天にも届きそうな小海線を
コトコト昇って行く。青い空の中に溶け込んでゆく高原の列車(模楽宙)

  天   冬帝に抱きすくめらる小海線    雅田如
甲州と信州をむすぶ 日本一の 高原列車は 富士山 八ヶ岳 南アルプス 浅間山の
雄大な山々を沿線に従える その広大な雪原をかかえいだく冬帝さんは無辺の帝王(変竹) 
  天    蒼天を突きさす如く鶴の哭く    粒石
本当に鶴のなく声は一直線に鋭く天を突く如く、嘴をまっすぐ上になく姿が生き生きと詠まれていると思いました(里楽乃)

  天   ロボットにやがて変はる日冬旱     摸楽宙
無機質なロボットと季語が妙で、やがて人間社会も無機質な世に変わってしまう恐ろしさを予言している俳句。手塚治虫の予知したロボットとの共生は無理だろうか(雅田如)

  地    ロボットにやがて変はる日冬旱     摸楽宙
AIの進化と冬旱の取り合わせ 仕方がない思い、やるせなさがよく合っていました(里楽乃)

  地   電線を吊りさがる蔓冬旱     摸楽宙
カラカラに乾燥した蔓が纏わりついた電線。情景がしっかりと見えてくる。無機質な情緒が右脳をくすぐる俳句だ(雅田如)

  地   つきたてのヘラからこげし磯辺餅    里楽乃
年の暮れになると隣近所の面々が各々材料を持ち寄って、役を決め、わいわい騒ぎながら餅を搗いたものだ日頃の不満や愚痴を忘れたかのように搗きたての餅をほおばるのだ。且つて下町にはこのような町を彩った風物詩があった(粒石)

  地    冬旱裏ドアノブに不在札    雅田如
商店なのか、なぜか裏ノブに不在札。がっかりする感じが季語とマッチしています(模楽宙)

  地   猫書いてうつを直そう漱石忌    雅田如
「世界ネコ歩き」なんてテレビ番組が毎日のように放映されるほどの”癒し猫ブーム”
もちろん漱石先生の『吾輩は猫である』執筆が 病を癒し解放したお話しは有名だが
明治大正頃のトンプク薬の広告言葉のようで 懐かしくもオモロイ いやしのコピー(変竹)

  人   猫書いてうつを直そう漱石忌    雅田如
今の時代犬猫を畜生と言ったら動物愛護団体はおろか、愛犬愛猫家から大目玉を食ことは必定。それほど今は人との関係が濃くなってきて、恰もかけ替えのない家族の一員の扱いだ。夏目先生も屹度飼い猫、いや愛猫に癒されたに違いない(粒石)

  人   寒旱視線合せぬ離婚印    雅田如
外は渺渺たる寒ひでり いやいや こころの内にひろがる荒涼たる さみしき原野
おたがいの心の内に 風が吹いていて 気まずい空気が流れる 無言の 調印式?(変竹)

  人   鍋太鼓手に手に打つ列寒旱    里楽乃
厚いマントの下にブーツを履いて無表情な女性。真っ黒な衣装は無機質そのものだ。人通りが多いのにそこだけが別世界だ(雅田如)

  人    渺々の闇明けぬれば冬旱    粒石
草原か砂漠か、地平線の彼方が明け始め、荒涼とした風景が現出。夜明けの地球の大叙事詩(模楽宙)

  人    惜別や言葉少くなき冬の朝    粒石
大切な人との別れ、見送りをされた様子。お互い言葉を交わさなくてもわかり合えているからこその沈黙。駅での見送りを浮かべました。
惜別・・・という言葉に少し前にあったペットとの別れを思い出しました。涙があふれて言葉にならなかった記憶とリンクしました(里楽乃)

  佳作  学舎の窓にいつもの冬日かな    粒石 
山奥の分教場の 冬休み 無人の校舎のガラス窓に おだやかな冬の日ざしが
一見 そんな風景ながら 実は 長年親しんだ カルチャー教室の終了日とも(変竹)

  佳作   学舎の窓にいつもの冬日かな    粒石
気がつくと、いつの間にか月日が経っている。当たり前だった窓からの眺めも、今日だけは特別(模楽宙)

  佳作  人並みに小走りするや年の暮    粒石
ほんわかとした温かい情感に満たされて、年の暮れもいいもんだ(雅田如)

  佳作  本能のシンメトリーや鶴ダンス    雅田如
鶴の羽ばたき、これほど見事なシンメトリーはあるまい。洗練されたクラシックバレーを鑑賞している心地がする・縹渺とした雪原が眼前に拡がってくるようだ(粒石)

  佳作   本能のシンメトリーや鶴ダンス    雅田如
平均感覚絶妙の鶴は、羨ましい限り(模楽宙)

  佳作  寒旱視線合せぬ離婚印    雅田如
幸いというか、はたまた平凡の極みとでも言うか、愚生はこのような劇的な場面には遭遇したことはない。お互いの心が寒旱の如く渇き切ってしまって、、天を仰ぐしか策はないものなのか(粒石)

  佳作  冬旱裏ドアノブに不在札    雅田如
いわれのない不安 あるいは意味不明の焦り 小さな恐怖 まるでヒチコック映画
長いこと無人のままの家 それともちょっと留守の家 風にカタカタ木札が鳴って(変竹)

  佳作   冬旱裏ドアノブに不在札    雅田如
裏ロに不在札、気になりますよね。本当にどこに出掛けたのでしょう?水汲み?(里楽乃)

  佳作  ロボットにやがて変はる日冬旱     摸楽宙
便利もそこまでいくとおぞましい気がする。人間同士なればこそ喜怒哀楽を通じ合うことが出来るのに・・・・・。利便によって失う大切なものを為政者も市民も気付いてないのでは、正気の沙汰ではいられない(粒石)

  佳作   寒旱り心の進化など忘る     摸楽宙
心配事が多く余裕がない様子を中七がよく表していると思いました(里楽乃)

  佳作   寒旱り心の進化など忘る     摸楽宙
こころとは 経験が 学修が 成長をカタチにする 突然変異の「進化」も あるかな
あるとすれば やはり過酷な環境 荒涼の原野 寂しさが トリガーなのかな? かな(変竹)

  佳作  鍋太鼓手に手に打つ列寒旱    里楽乃
救世軍 社会鍋 そこに並ぶ行列だろうか?
「心は神に 手は人に」をスローガンにキリスト教伝道と 社会福祉の活動だった
かっての年末風物詩 この社会鍋のルーツは明治39年に始まった「慰問かご」とか(変竹)

  佳作  生姜湯を抱き鼻から染み渡る    里楽乃
鼻にツーンと来る感じ、日本人に生まれてよかった(雅田如)

  佳作  あとなんねん何して遊ぼホモルーデンス    変竹
人生の総括 ? 誰にでも訪れるものだが、考えてもしょうがない。
いま現在を大事にし、おおいに遊ぶに限る(模楽宙)

  佳作  なんとかねまだ生きてるよ冬ひでり    変竹
話し言葉が深刻な情景を中和してのどかな俳句にった。
「だいじょうぶだよ まだまだ 平均点いってないよ」(雅田如)

  佳作   神迎えあれこれそれと世話しなき    変竹
年神様をもてなす準備に余念なく、何かもれはないか確認したり大変です(里楽乃)

  佳作  神々と遊ぶこの世の里神楽    変竹
村に伝わる御神楽こそ神との交信の場だ。歴史に宿る日本民族の証でもある(雅田如)

  佳作   神々と遊ぶこの世の里神楽    変竹
里神楽と神様の饗宴に、おもわず酔いしれてしまう(模楽宙)

              次回兼題   「笑初・初笑」 「竈猫 灰猫 へっつい猫」
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