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九月披講

          兼題 「爽やか」  「小鳥」 (小鳥来る)

  天    新涼や万年筆の香の走る    雅田如      
今は、ボールペン真っ盛り。昔は万年筆と云えば高級品の想いがあった。独特な香りは季語のイメージに重なる(模楽宙)

  天   竜淵に潜み星からの迎え待つ    雅田如
齢を重ねて静かに人生最後の時を迎える心境を詠んだものならん。正に泰然自若、人は斯くありたいものだ(粒石)

  天   枝わたる音符のような小鳥かな    摸楽宙
山から降りてきた小鳥たちがはしゃいでいるようなうきうきする感じがすばらしい。枝が五線譜に見えてくるのが面白い(雅田如)

  天    枝わたる音符のやうな小鳥かな    摸楽宙
まるで歌を奏でながら枝々を渡って鳴いているような軽やかさがとても心地よい句です(里楽乃)

  天   わが歩む辻にも咲くや曼珠沙華    粒石
人生100年 とは言うものの おもい 惑いつ 行きつ戻りつ生きてる
「辻」とは 人生の交差点? 角から 左を見ると曼珠沙華 冥界か?(変竹)

  地    小鳥来る刻に合せて茶請かな    粒石
おやつの時間は、幾つになっても楽しみの一つ。小鳥はその時間を知っている様だ(模楽宙)

  地    小鳥来る刻に合せて茶請かな    粒石
お茶の相手に鳥を待ってお茶菓子を分けあい一緒にお茶をしている。ほのぼのとした様子が句からにじみ出ています(里楽乃)

  地   流星は一瞬の油断見のがさず    里楽乃
願いを込めようと 流れ星の現れを 待っている 現れない 一向に
待ち疲れ 一瞬 気を抜いた時に 顕れて 消えた 流星はイジワル(変竹)

  地   流星は一瞬の油断見のがさず    里楽乃
流星の側からの視点が斬新だ。人間の願い、祈りが、見透かされているようで面白い(雅田如)

  地   はぐれたか細い声して小鳥来る    里楽乃
自立自存は野性動物の宿命だ。逞しく育った小鳥たちでも時には孤独の寂しさに打ちしがれる時もあろう。中七の細い声に悲傷の感が漂う(粒石)

  人    秋の空エーゲに久し猫の島    摸楽宙
猫が永きにわたってのびのびと過ごしている島の日射しも感じられるような句です(里楽乃)

  人   カテーテル赤く広ごる良夜かな    摸楽宙
人間の命を繫ぐ血液がカテーテルを通して心臓に送り込まれる。明日の生命への賛歌だ。何気ない人間の営みとして良夜と言い切ることが凄い(雅田如)

  人    風にきく ことりことりと小鳥来る    変竹
林の中の枝を、次々と移ってゆく小鳥たち 。オノマトペ ?と小鳥を掛け合わせ、小鳥が自分の方へ向かって来る様子を上手くとらえている(模楽宙)

  人   新涼や万年筆の香の走る    雅田如
万年筆を走らせる時、ペン先より漂う得も言われぬインクの香、今は知る人ぞ知るのみか(粒石)

  人   枝豆や火星の大地凸と凹    雅田如
荒涼 クレータ その凸凹が 火星の象徴ではありますが そこに
枝豆を配する と ふんわりやわらか緑 お伽の国になっちゃった(変竹) 

  佳作   枝豆や火星の大地凸と凹    雅田如
火星の凸凹は南半球に多いとか。枝豆のゆるやかな線が火星の凸凹とあいまって独特の感性を感じます(里楽乃)

  佳作   葬の家人追うごとく小鳥来る    雅田如
葬儀の参会者に合わせるように、小鳥も来る。故人に特別な想いが有ったのか。小鳥は平和のシンボルと言われる。心温まる句です(模楽宙)

  佳作   竜淵に潜み星からの迎え待つ    雅田如    
龍は「春分に天に昇り 秋分に淵に潜む」と言われ ここから
「龍淵に潜む」が秋の季語とか いやはや 星の迎えを待つか(変竹)

  佳作   竜淵に潜み星からの迎え待つ    雅田如
竜淵は虹とも言われるそうで。虹に潜んで星からの迎えを待つなんてメルヘンの世界ですね(里楽乃)

  佳作   秋の雨腕に痛みを残しけり    里楽乃
長い雨、秋霖、昨日も雨、今日もあめ、毎日傘をさして駅へお迎えに行くたび、もう腕が痛くなる。日常のありふれた情景だけど幸せな時間を感ずる(雅田如)

  佳作   車窓ひらけ初コスモスや眼で連写    里楽乃
車窓からの眺めが一変し、コスモスが一面に咲き誇る場面になる。高ぶる感情がダイレクトに伝わって来る。眼で連写が良いです(模楽宙)

  佳作  秋の空エーゲに久し猫の島    摸楽宙
エーゲ海の島には なぜか猫が多い ひとびとは 当たり前のように
猫に優しく みんなで育てている 青い海 青い空 秋の エーゲ海(変竹)

  佳作  秋の空エーゲに久し猫の島    摸楽宙
テレビで見たような風景だ。 エーゲ海のエメラルド緑青色、その海をのんびりと見る青い目をした猫たち、そして透き通るような空。いいなあ 行ったことがないけど・・・・(雅田如)

  佳作   枝わたる音符のやうな小鳥かな    摸楽宙
電線に 小鳥の音符の メロディーは デンセンマン でしたね
森の木のこずえ 小鳥のメロディーは 童謡歌う メルヘンか(変竹)
  
  佳作  小鳥きて老いに勇気を灯しけり    摸楽宙
老いの身には 小さなもの 優しいものに 妙に愛着が生じ 気にかかる
なんだか妙だけど 小さなものを見てると 遊んでると なんだか元気が(変竹)

  佳作  車窓ひらけ初コスモスや眼で連写    里楽乃
♪ 高原列車は行く 秋はじめ 清里あたりか 窓で区切られた 
秋の高原風景がつぎつぎに飛びさる まるでスマホ撮影の 連写(変竹)

  佳作  小鳥来る刻に合わせて茶請かな    粒石
庭先に座す、好々爺が目に浮かんでくる。ほのぼのとした時の流れが良き人生を彷彿させる(雅田如)

  佳作  ワイングラスあげて乾杯秋はじめ    変竹
十七文字の中に何となく心ときめく雰囲気が漂う。上五を焼酎か泡盛に代えたら、どんな秋はじめになるだろうか(粒石)

  佳作  夢追ってまだ夢追って十六夜    変竹
夢は活力の源泉。夢があるからこそ人は辛いことにも、哀しいことにも、耐えられるのだ。老若男女を問わず夢を持たねばなるまい(粒石) 

  佳作  風にきく ことりことりと小鳥来る    変竹
風に揺れる枝の音なのか小鳥の気配か韻を踏む所がさすがです。秋風の寂しさも含んでいます(里楽乃)

  佳作  人生100 遊行に生きる秋夕陽    変竹
己の人生でありながら思うようにいかないのが人の世の常。それ故に人々は寸暇を惜しんで己の思いの丈を吐き出して生きる悦びを求めるのだ(粒石)

  佳作  人生100 遊行を生きる秋夕陽    変竹
人生100と秋夕陽の対比に込めた はかなさ、寂しさがわびさびの世界だ。秋の夕陽は釣瓶落とし、あっという間の人生ぞ。いざ、楽しまん!(雅田如)

    次回兼題 「冬隣」(冬近し 冬を待つ)   「落花生」(南京豆)


*****白銀句会575分科会*********

  <川柳>

   玄関で靴を履いたら思い出し    徹
あるある よくある しょっちゅう 
奴も いよいよ方々の お仲間に(変竹林)

   大入りの横綱大関休場場所    麻太郎
横綱大関陣の大量休場は99年ぶりとか、それでも相撲人気はウナギのぼり。来場所、横綱大関が全員揃ったらすごい事になりそうな。大いに期待したいとjころです(徹)
  
   山おりてなに告げに来た小鳥来る    変竹林
今年の山に何が起こっているのか、自己保身の政権争いか、はたまた、食糧不足か、種族の争いか、地球という山にはいつも問題山積、しっかり民の声を聞かねばならない(雅田如)

   出そびれた蝉 この1年をどう暮らす    変竹林
やっと青い空を見れると思ったが、だめだだめだ 空気が汚染だらけだ、貴重な1週間の命を無駄にしたくない。もう1年「闇」の暮らしもいいもんだ。漆黒の闇は何も見えないからそれがよい(雅田如)
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