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Dogma and prejudice

媚中派も媚米派も同じ穴のムジナ
従属主義的思考から脱却すべし
(言っとくけど、「媚米」と「親米」は違うんだよ)

郵政民営化の先にある恐怖のシナリオ

2007-10-23 | 構造改革


郵政民営化の先にある恐怖のシナリオ / SAFETY JAPAN [森永 卓郎氏] より、
|政府が主張する「三つのメリット」の誤り

 まず、短期的な影響から見ていこう。政府が言う三つのメリットを、一つひとつ検証してみたい。

 競争原理が導入されたというが、それで料金が安くなったかといえば、そうではない。むしろ、代金引換郵便の手数料や払い込みの手数料など、次から次へと手数料が値上げされてしまった。なかでも、定額小為替の手数料は10円から100円へとなり、10倍の引き上げである。

 しかも、民営化に伴って集配局は大幅に集約。郵便物の配達日数がこれまでより多くかかる地域も増えている。民営化に先駆けて時間外窓口も次々に閉鎖されてしまった。

 要するに、競争原理と経営自由化によって、従来の郵便局ならではの細やかなサービスがなくなり、銀行並みに揃えられたというだけのことである。

 法人税、印紙税を新会社が支払うので税収が増えるというが、これまでは税金を払わない分だけ料金を安く抑えることができたのだ。新たに払う税金分を新会社がすべてかぶるとはとうてい思えず、最終的に税金の分は上記のような値上げで埋め合わせることになるに違いない。

 確かに、民営化で税収は増えるだろう。だが、何のことはない。税金分のツケが利用者に回るというだけの話である。つまり、知らない間に国民に対して増税が行なわれたのと同じことなのである。少なくとも国民にメリットがあるわけではない。

 さらに、特殊法人への資金の流れが変わるという件であるが、これは誤解なのか曲解なのか、前提に大きな誤りがある。というのも、すでに2001年に財政投融資制度は廃止となっており、郵政公社が特殊法人に資金をそのまま流していたという指摘は当たらないからだ。

 では、郵政公社はどうしていたかというと、政府が保証をつけている財投債、あるいは財投機関が発行する財投機関債を、マーケットで買って資金運用をしていたのである。だが、この財投債は民間銀行も購入しているものであり、そもそもマーケットを通じて買うのだから、特殊法人に金を流しているという批判は当たらない。

 政府が財投債を売って、政府がその金を特殊法人に流していたのであるから、特殊法人を温存していた責任があるのは政府なのであって、郵政公社には責任はなかったのだ。

 こう見ていくと、少なくとも一般の国民にとって、政府が言うようなメリットはあまりないのである。


 政府は、郵政民営化後の「バラ色の未来」を語って(騙って?)いましたが、森永 卓郎氏は、これらについて検証しています。

 1.「利便性が向上」?

 実際は、次から次へと手数料が値上げされた。民営化に伴って集配局は大幅に減少した。郵便物の配達日数がこれまでより多くかかる地域も増えている。民営化に先駆けて時間外窓口も次々に閉鎖されてしまった。

 つまり、サービスの低下と料金の値上げというダブルパンチを消費者は民営化したとたんに浴びせられたわけです。これは、財政改革という名目で、公共サービスの低下と増税を目指す政府の方向性と同じです。

 2.「国の税収が増える」?

 民営化で税収は増えるかもしれないが、「手数料の値上げ」という形で税金分のツケが利用者に回るというだけの話である。つまり、知らない間に国民に対して増税が行なわれたのと同じことなのである。少なくとも国民にメリットがあるわけではない。

 3.「従来のような郵政から財政投融資への自動的な資金移動がなくなる」?

 すでに2001年に財政投融資制度は廃止となっており、郵政公社が特殊法人に資金をそのまま流していたという指摘は「郵政民営化推進論者」によるデマ。

 郵政公社は、政府が保証をつけている財投債、あるいは財投機関が発行する財投機関債を、マーケットで買って資金運用をしていたのである。だが、この財投債は民間銀行も購入しているものであり、そもそもマーケットを通じて買うのだから、特殊法人に金を流しているという批判は当たらない。

 政府が財投債を売って、政府がその金を特殊法人に流していたのであるから、特殊法人を温存していた責任があるのは政府なのであって、郵政公社には責任はなかった。

 政府が自ら行っていることを棚に上げ、責任を郵政公社になすりつけるのだから、小泉純一郎という男はたちが悪いですね。「官」を統括する立場にある政府の最高責任者が、「官から民へ」などという責任放棄発言をすることに対して、それを非難するどころか、喝采していた「小泉信者」も相当頭が悪いのではないでしょうか。

|今後、地方の窓口はさちに減少する

 しかし、本当に問題なのは、中長期的なデメリットなのである。

 今後3年以内に、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式が上場され、2017年までに完全売却されることになっている。となると、間違いなく株式の一部は、米国系の金融機関やファンドが購入するだろう。そして、株主提案権を得た彼らは、あれこれと経営に口出しをしてくるはずだ。

 まず、間違いなく提案するのは、「経営のさらなる合理化」である。現在、ゆうちょ銀行、かんぽ生命は、全国2万5000カ所のネットワークがあり、地方の小さな町や村にも窓口を持っている。民営化後は、窓口会社に使用料を支払わなければならないのだが、これだけの数の窓口を、はたして金融機関が維持できるのかどうかといえば、いささか疑問なのである。

 例えば、三菱東京UFJ銀行は、合併時に支店の数が670店程度あった。日本最大の銀行でこの程度の数なのだから、民間企業となって採算を重視するようになった新会社にはとても維持できるとは思えない。

 政府もこうした事態を見越していて、2兆円の基金をつくり、そこから補助金を出して窓口を撤退しないための方策は立ててきた。しかし、2兆円を年3%で運用しても600億円である。これでは窓口維持にはまったく足りない。

 となると、株式公開後は株主の提案に従って、窓口の合理化が徐々に進められるだろうことは想像に難くない。

 では、10年後の窓口はどうなっているのだろうか。おそらく、法律でユニバーサルサービスを義務づけられ、最小限の業務をする窓口だけは維持されているのではないかと、わたしは想像する。だが、維持されるのは郵便業務だけに限られ、金融業務は取り扱わない窓口が大半になっているに違いない。

 現在でも、ただでさえ地方には金融機関が少ない。その状態が郵政民営化でますます進行していくというわけだ。もうかる支店には金をつぎ込み、もうからないところからは撤退 ―― そして都会と地方の格差が拡大していくのだろう。


 現在、ゆうちょ銀行、かんぽ生命は、全国2万5000カ所のネットワークがあり、地方の小さな町や村にも窓口を持っていて、民営化後は、窓口会社に使用料を支払わなければなりません。

 森永氏が懸念しているのは、今後、株主となるであろう米国系の金融機関やファンドが提案する「経営のさらなる合理化要求」によって、これらの窓口からの撤退が予想されることです。「合理化」という大義名分で今後、金融業務は取り扱わない窓口が大半になっていることでしょう。

 さて、森永氏は最後に最も恐れていることについて言及しています。ゆうちょ銀行やかんぼ生命の破綻懸念についてです。

 ゆうちょ銀行やかんぼ生命が破綻したらどうなるかを森永氏を次のように語っています。

 ゆうちょ銀行の預金高というのは、3大メガバンクを足したよりも多いことを忘れてはならない。本当に万が一、ゆうちょ銀行が経営破綻したら、預金保険機構が支払いに耐えられるかどうか、わたしは疑問に思わざるを得ない。


 「かんぽ生命が破綻したときの影響はもっと大きい。生命保険会社が破綻すると、過去にさかのぼって予定利率が引き下げられるからだ。となると、年金をもらえると期待して積み立ててきた人が、実際に手にできる金額は、予測の3分の2から半分程度に減ってしまう恐れが十分にあるのだ。


 そして、森永氏はこう結んでいます。
 
 ゆうちょ銀行やかんぼ生命の株を売却することは、国民の大切な資産をそうしたリスクにさらすことになるのだが、政府はこれまで国民に対してそのことを一言も説明していないのだ。


 実際は、「郵政民営化=ハイリスク・ローリターン」なのにもかかわらず、「リスク」に対する説明をせず、ほとんど有りもしない「リターン」を過剰に宣伝して、「郵政民営化=ノーリスク・ハイリターン」と国民に思い込ませようとしたあたり「郵政民営化推進論者」というのはまさに詐欺師というしかありません。





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