。+°:*.氷花.*:°+。 -HiKa-

あなたにどうか 
    とどいてほしい
        わたしのこころ

華やかな病人

2015-07-21 | 生クルコト
母が入院してから1週間が経つ。けれど、まだ退院のめどはない
わたしはまいにち母の病室まで足をはこぶ。母にさみしい思いをさせたくないから


たのしい話たくさんするの。いっぱいいっぱい笑ってもらうの


ほかの患者さんにはもうしわけないけれど、ほかの患者さんがうらやむくらい、母には心配してくれる家族がいるんだよって
孤独な病人じゃないんだよって


まいにち母を見舞いたい

そして、笑顔で。笑顔で退院してもらいたい
真夏に太陽に向かってほほえむひまわりのような顔で、いっしょに家に …うちじゃなくてもいいよ 帰りたい

母という生き物

2015-07-15 | 生クルコト
母親というのは、子どもにとってなんて命づなな存在なんだろう

この1週間、姉が主に母の看護をしていたら、甥がおかしくなった

いつものように、にこにこ楽しそうに笑っているでもなく、
かといって、わがままに泣きわめくでもなく…

ふとしたついでにわたしがようすを見に行ったら、ぼんやりと、どこかうつろな目でわたしのことを見た
それだけ。
なにも言わない。泣かない。どこか、あきらめたような…顔。

こんなの、子どもがしていい顔じゃない

姉を呼ぶ。いそがしいさなか、姉が姿を見せると、とたんに笑顔になる

ママって、子どもにとってすごい生きものなんだ

そうだよね。わたしだって、母は母。ひとりだけだ
子どものときも、いまも…
親は無条件に子どもを愛するというけれど、子どもだって、無条件に目のまえの親の愛を乞うのだ


「ママ」…


ひさしく呼んでいなかった、「ママ」ということば。
くちずさんで、すこし照れくささと、あまずっぱいきぶんに 胸が 捩れた

優しすぎるひと

2015-07-14 | 生クルコト
1週間まえからからだの不調を訴えていた母。
きょう 緊急入院した
聞いたことのないで入院した
心因性のものだと 病院で言われた

母の背中に背負われていたときから、「これがわたしの母のしるし」とおもっていた、尽くしぼくろ、というほくろが、母の首のうしろにある

そのほくろの名まえのとおり、母は家族のだれにもこころを砕いてた

たとえば…

父が腰の病気したとき、まいにちおみまいに行った。父が退院してからもまいにち、自分より重い父を車いすで、動けない父の気分転換のために、とおい とおいところまで バスや電車に乗せてまで 連れていった

そういう母だから…

むりしすぎたんだよ
自分のことをいちばんにかんがえなきゃいけないのに、まわりのことをかんがえてしまうから、からだが「だめだよ!」って信号おくってきたんだよ

とうぶん入院することになっている

からだ、しんどいだろうけど…
いまは、父のことも、わたしのことも、心配しないでいいから、ゆっくり休んでね


もう尽くさなくていいよ

尽くしぼくろが消えてなくなってしまうくらい自分のこと、かんがえて

切ないイチゴオレ

2015-07-07 | 生クルコト
わたしと母は、わたしが子どものころ、コミュニケーションがほとんどとれていなかった

わたしは母が語りかけないからしゃべらなかったし、母は姉がほうっておいても自分から話しかけていたから、わたしが好んで「しゃべらない」子どもだと思っていたという


いまでも憶えてる

たまにイチゴオレ買ってもらうの
うれしいから、うれしさをはんぶんこするつもりで母にイチゴオレはんぶん「あげる」言うの
でも母は子どものものなんてとれないから、「いらない」言うの。わたし「いらない」言われるの

かなしいような、さびしいような、
胸に、かたい石ころつまったような痛みおぼえながら、のこったイチゴオレ飲みほすの。…

おたがい言えばよかったね

「飲んでくれたらうれしいよ」ってわたし。
飲んでもらって「おいしいよ」って母。


そうしたら、きっとイチゴオレは 2倍にも3倍にも おいしくなったに ちがいない