。+°:*.氷花.*:°+。 -HiKa-

あなたにどうか 
    とどいてほしい
        わたしのこころ

花屋は魔術師

2006-11-28 | 生クルコト
わたしは父に そっと魔術をかけた
わたしたお金は たったの3,000円

それでも きもちはつたわるとおもったから
それでも ちいさなホールケーキくらいは きっと買えるとおもったから


あのあと父はどうしたんだろう わくわく 家に帰る

居間のはしに 花たばがあったのだろう 銀紙 セロファンにリボン
花たばを買ったのね…

「おとうさん、花を買ったの?」と母にわたし
「うん…。あの、ありがとう」
「ありがとう?」
「あなたがお金くれたって、パパが言ってたから…」

うそがつけない性格ね。失笑する

「どこにあるの? その花」
「玄関にかざってあるのよ。パパが、あなたが帰ってきたらいちばんにわかるようにしよう、って」

…うかつ。気づかなかった

玄関に行ってみる。そこには、おおきな、けれど どこか貧相な 花束
かすみ草がたくさんたくさん。そこに、つぼみをいくらか秘めたゆりが、一輪。

「…なんか、バランスとれないね…」

母も、姉も、わたしも、おもった
予算が予算だからなあ…


しかし そのつぼみはどんどん 開花する
10日経ったころ、大輪が 3つになっていた かすみ草とのバランスもばつぐん

…こうなることを見こして 花をえらんだ花屋さんが、ほんとうの 魔術師かもしれない 

ひみつのお祝い

2006-11-24 | 生クルコト
去年のこの日、うれしいことがあったから
花を買う
お金がなくて たった一輪でも 気にいった花を買う

5年前のあの日、うれしいことがあったから
花を買う
おこづかいのかぎり チューリップ、ばら、
ポインセチア
いろいろ 買う

花を手にケーキ屋さんに 足をむけて
ショートケーキを 家族ぶん買う

きょうはお祝いの日 だから
家族はしらなくても わからなくても
みんなでお祝いしよう
わたしのよろこび とどけよう

だってとくべつ、うれしい日だから

賢者の贈り物

2006-11-20 | 生クルコト
わたしはこの小説を 高校の読書感想文で書いたことがある
内容は…
ただ彼らを褒めている それだけだった


けれど いまは…

もうちょっと 穿ったかんがえ方をする

「この情ち まいにちのたいせつな 糧となるだろう」と
「きょうというこの日 生をとじるまえ まぶたのうらにおもい浮かぶ 想い出になるのだろう」と おもう

彼らが賢者か ただの 相手のよろこぶ姿を見たい ふつうの人間だったのか わたしにはわからない
けれど

おたがいの情ちがつうじていたこと
おたがいの想いが ちょうど おなじ比重だっただろうことに

敬意を表する

ときには魔術師

2006-11-15 | 生クルコト
いま 父はからだを痛めていて はたらけていない
まえは 何万もはいっていたのに
いま おさいふのなかは 母がすべて必要なものをはらうから からっぽ

母のたんじょう日も おぼえていたのに
数日まえ、「おっきなケーキでも買ってやろうか」と 言っていたのに

せめてすくないお金で ちいさな花だけは買おうと
お花屋さんのまえで セントポーリアを みつけようとした

でも 売ってなかった

しかたないから 「きもちだけ」あげた
「おめでとう」と きもちだけ あげた


わたしははがゆくてしかたなかった
あんなにお金をもっていたのに そのお金で いつも大輪の花を プレゼントしていたのに
そのことを母はまいとしよろこんでいて そして
母のたんじょう日をおぼえていることを わたしはうれしくおもっていたのに

「おもい」しか あげられないなんて…

男として 口惜しくてしかたなかったことだろう

だから 母がおふろにはいっているすきに 父の寝室に しのびこんで 3,000円わたした
「これで、ショートケーキでも、花いっぽんでもいいから買っておいで」と

出どころなんて どこでもいい


あとは、
…父しだい     

空翔ける音

2006-11-14 | 生クルコト
「自分」という「枠」がなくなったら
わたしきっと こんな きもちになる

空を飛べるような… いいえ
空すらも 大気すらも わたし自身、のような

自然も 人工のものも すべて「わたし」


なににふれても いとしい…


しぜん なみだがおちる。

神のために献上された音
けれど人間がつくった、音
そこにわたし…

神への愛を 神が授けたもうた愛を  神が… わたしたちのこころに舞い降りた と
かんじる

嗤われても、しかたないけれど

こころの包帯

2006-11-12 | 生クルコト
「包帯を巻けないならば そのひとの疵にふれてはならない」


衝撃の ことばだった。

ああ、なんてほんとうで なんて 的をいているんだろう。…

ふれたいのなら 包帯を巻ける人間にならなければ
ふれる 資格はない


ひとの疵に容易にふれてはならないと こころにきざんだ
そして同時に
 
「ふれてほしい」と ねがってもらえるような人間に いつかなってみたい と

こころがそっと 
かたちを生んだ

Merry Christmas…

2006-11-06 | 生クルコト
周囲はあわただしい
ついこのあいだまで、ハロゥインとさわいで お店の景色はかぼちゃ色だったのに

いまは 電飾が とてもあざやかだ
樹から樹 手をつなぐよに きらきら きらめいて みるひとのこころをなごます

わたしはその 季節をせかすよな空気が けしてきらいではない

たんじゅんに クリスマスシーズンがすきだからかもしれない
たんじゅんに 冬が。さむくて 息がしろくなるよな シーズンが 
すき。だからかもしれない…


さむいとひとは寄りそいあう
夏の寄りそい 薄着でくすくす したしげにみえるけれど なぜか
冬の厚手のコート越しのほうが ほんとうの したしさをかんじる


ちょくせつふれあうことのできる肌ではわからないものを 
こころがもとめ みつめているように、かんじる

息せききったシーズンは こんなを聴こう
ほら 携帯の時計がまちあわせ 10分まえ

…あの子が手を、ふっている

無敵のキャリア・ガール

2006-11-01 | 生クルコト
  「くちびるかみしめて あふれだすなみだぬぐう」
  「若さが武器だった あのころはにどとかえらない」

この歌をしったのは いまから5,6年ほどまえだろうか
「若い」ということの意味をしらずに、けれど 「いつか」くるとはしっていた

  「蝶よ花よなんて みんなちやほやして」
  「すこしくらいの失敗 大目にみててくれたじゃない」

こわかった
おとなになりたくない おとなになりたくない なんどもくりかえした
そんなおもいしたくない したくないと くりかえした

けれど 負けない
かの女はそう言う


  「つめたいすてぜりふあびるたびに いつの日かおとなになる」


だから… 若さが武器にならなくなったら
かの女をおもいだそう



  「波乱なシチュエーションこえるたびに いつの日か無敵になる」  

懐かしきケンタッキー

2006-11-01 | 生クルコト
奴隷時代の黒人さんは あすを夢みながら ねむりについた
「あすはいいことがある、きっと…」と 祈りにちかい声で つぶやいた


かなしくなったとき…


このを聴く

黒人さんもがんばってたんだ
だから
わたしもがんばらなきゃ

黒人さんを想う 
そして闇にしずんで死した 彼を
ひとみのうらにおもい浮かべながら…

ねむりに就く  

暁のLet it be

2006-11-01 | 生クルコト
朝起きるのがつらいとき
携帯のめざましを これにする

わたしのだいすきなひとが だいすきだった 
そのひとをおもいながら… 目をさまそうと する


きょうに「おはよう」 また 逢えたね
すなおによろこぼう



「きょう」という かけがえのない日を