不動産ウォッチャーの日記

経済・金融・不動産・・・その他もろもろを気楽に語る

都心の一等地買い漁る 大手ディベロッパー

2007-09-27 21:18:56 | 不動産

  


 
サンケイ・ウェブ
都心の一等地買い漁る 大手ディベロッパー
 
「不動産のマーケットはピークを過ぎた」という見方が広がる中、大手デベロッパーが都心部の一等地を次々に買い集めているようです。様子を見ていた土地所有者が、「そろそろ売り時」と判断していることが背景にある様子。
 
森トラストとダヴィンチ・アドバイザーズの連合が、「虎ノ門パストラルホテル」の売却に関する一般競争入札で、優先交渉権を約2309億円で落札しました。オフィスや住宅を中心とした大型複合施設に建て替えるそうです。
 
「所有者の農林年金は、鑑定価格として約1200億円を提示していた」というから、結構高く売れたことになります。
 
記事では、他に「銀座東芝ビル」(東急不動産に約1610億円で売却する予定)、帝国ホテル(三井不動産が株式の33%を取得)といった例が挙がっています。
 
「不動産市況は、風向きが変わった」という話を、アチコチで聞きます。特に心配されているのは、需給バランスが崩れている郊外です。
 
でも、都心はどうか。「ピークを過ぎた」という見方にも説得力はあります。でもやっぱり、「買いたい」という希望者が多いのに比べて、売り物がそんなに出てないという気がするのだが・・・。
   


建物は一定周期で大規模修繕が必要

2007-09-24 18:13:15 | 不動産

一般に、分譲マンションでは、12~13年周期で大規模修繕が発生しています。そして、各区分所有者は大規模修繕に備えてお金を積み立てています。
 
実際のところ、一定の周期で大規模修繕が必要になるのは、賃貸アパート・マンションも同じです。費用はオーナー負担となるので、積み立てておく必要があります。
 
ちなみに、平成五年の建設省(当時)の通達の修繕時期の目安によると、外壁は9~15年、天井は10~14年、タイル張りの床は19~21年で修繕・取替時期を迎えます。同様に、電気設備・給水管・ガス管・・・その他も、10~30年で取替え時期が来ます。

結局のところ、すべての項目で修繕費用が発生します。不動産賃貸経営の長期収支を計算するためには、これらの見積もりが不可欠になります。
 
まず、現状認識のために建物診断を実施するのが、望ましいでしょう。
 

東京ルール

2007-09-23 17:59:36 | 不動産
 
東京都は「礼金・更新料のない契約の普及促進」だけでなく、退去時の敷金の清算や修繕費用の負担について定めた、いわゆる「東京ルール」を推進しています。
 
東京ルールは、退去時の敷金の清算や入居期間中の修繕をめぐる紛争についての相談が多数寄せられたことを受け、安心して貸し借りできる民間賃貸住宅市場を確立するために、東京都が条例(東京都賃貸住宅紛争防止条例)で定めたものです。
 
ここで重要なのは、退去時の原状回復についてです。
 
費用負担は、国土交通省の「原状回復ガイドライン」に沿って定められています。
 
現状回復ガイドラインでは、「賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損」については、賃借人が費用を負担すると定めています。
 
一方、いわゆる経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は家賃に含まれるものとしています。つまり、通常損耗や経年変化などの修繕費は、原則として貸主が負担するということです。
 
このガイドラインでは、現状回復は賃借人が借りた状態に戻すことではないことを明確化しています。
 
「家具の設置による床・カーペットのへこみ、設置跡」、「テレビ・冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ」、「特に損傷していないものの、次の入居者を確保するために行う畳の表替え・裏返し、網戸の交換、浴槽、風呂釜等の取替え、破損・紛失していない場合のカギの取替え」、「フローリングのワックスがけ、台所・トイレの消毒、専門業者による全体のハウスクリーニング」などはすべて貸主負担となります。
 
次の入居者を確保するためのリニューアル費用は、貸主負担ですから、敷金で清算することはできないのです。借主負担に該当するもの(手入れを怠ったもの、用法違反、不注意によるもの、通常の使用とはいえないもの)がなければ、敷金はそっくり返金することになります。
 
もっとも、借りる側にとっては「退去時に畳の張り替えを、入居者負担で行う」といった条項が賃貸借契約書に盛り込まれていて、退去時にはかなり敷金から差し引かれたりします。本当は東京ルールが優先されるはずですが・・・。
  

コムスンの超高級老人ホーム、ゼクスに譲渡へ

2007-09-22 19:12:02 | 介護
   
先日、本ブログでも書いたコムスンの超高級老人ホーム「バーリントンハウス」が、360億円でゼクスに譲渡されることとなりました。
   
コムスンの介護事業の中でも、この「入居一時金が最高3億」という超高級物件は異質な存在で、施設介護事業とは別途に譲渡先を探していました。これで、コムスンの介護事業はすべて譲渡先が決まり、会社の清算に入ります。
  
譲渡先に決まったゼクスは、文京区や芦屋などの高級住宅地で、健常シニア向けの高級シニア住宅「チャーミング・コート」を展開している会社です。今度、白金でも建てるようだ。先日、現地を視察したときは地元の反対運動の看板も何枚か目に入ったものです。
    
「高齢者にこそ都市機能が必要だ」との考えのもと、入居者が外出して遊びにいきやすいよう、交通の便のいい場所に立てるのがポリシーだとか。このことでも分かるように、介護が必要な老人ではなく、元気な健常高齢者が対象です。
 
来年5月に東京のベイエリア・豊洲でオープンするという「チャーミングスクエア豊洲」は、タワー型マンションの上層階になる予定。つまり、タワーマンションの中層・下層は、普通の賃貸マンションになります。高級感のある上層階が、高級シニア住宅になるということだ。
 
日本では、「介護が必要になってから、あわてて老人ホームに関心を持つ人が多い」とよく言われるところ。でも、交通の利便性と、快適な住環境を提供する高級シニア住宅の場合は、元気なうちに入らなければ生活を楽しめません。
 

購入後に大規模修繕費が発生したケース

2007-09-21 19:29:20 | 不動産
   
Eさんは、融資を受けやすい新耐震基準(1981年6月以降の建築確認に適用)以後の物件を探していました。駅前にある築14年の事務所ビルは手取り利回り4.7%程度でしたが、利便性の高い立地なので安定収益を得られると思い、3億3000万円で購入を決断しました。
  
ところが、購入して1年ほど経った時点で、空調の効きが極端に悪くなり、テナントからのクレームも出始めました。不動産管理会社に相談したところ、「このビルの空調は耐用年数を過ぎているので、設備を交換しなければならないですよ」と言われました。
 
外壁からの雨漏りも気になっていたので、この機会にまとめて修繕しようと思い、リフォーム業者に大規模修繕の見積もりを依頼しました。
 
出てきた見積もりにEさんは驚きました。なんと、3800万円も掛かるというのです。これでは、2年半分の収益を全て修繕工事で吐き出すことになってしまいます。
   
このケースは極端な例でしたが、購入してから早晩不具合が起きることは、誰にとってもあり得ることです。売主(前のオーナー)が収益物件の売却を検討し始めるのが、法定耐用年数を間近に控え、経費に出来る減価償却が取れなくなる直前であることが多いということは、認識しておく必要があります。
 
また、修繕が必要な項目については専門家でないと判らないことも多いため、長期修繕計画をプロに作成してもらうことが大切です。
  
また、建物が建築されてから解体されるまでに掛かる総費用をライフサイクルコスト(LCC)と言いますが、「だいたい、建設費の3~4倍程度はかかると、覚悟すべき」と言われています。
 

購入後、続々と入居者が退室したケースもありました

2007-09-20 09:27:59 | 不動産
  
「オーナーチェンジ・現況は満室」といった触れ込みで高い利回りをうたっている収益物件には、大きな魅力があります。しかし、自己所有のマンションを売却したい売主が、空室に自分の身内を一時的に入居させて、満室を装っていることも現実にありました。売却交渉の時点では満室だったのに、購入後は入居者が続々と退去してしまった例も、実際にあったのです。筆者の知人は、これで散々な目にあいました・・・。
 
ここまでいかなくても、売主と賃借人が結託して、賃料を通常の相場より割高にして表面利回りを高く見せることは、その気になれば難しいことではありません。
  
このような、売主側に悪意あるケースは、少し極端かもしれません。しかし、購入後に収益が急速に悪化することは、売主に悪意がなくてもありうることです。
 
特に築年数が浅い物件の場合は、その地域の実勢賃料よりも、高めに家賃設定がなされていることが多いので注意が必要です。
 
Cさんのケースを紹介します。Cさんは、世田谷区内に築5年のオフィスビルを4億3000万円で購入しました。諸経費を差し引いた手取りの利回りは7%です。これは一見、優良物件のように見えます。ところが、その後の2年間で、テナントが相次いで撤退してしまったのです。不動産会社が懸命にテナントを探してくれたので、空室はなんとか埋まりましたが、オフィス賃料を値下げせざるを得ませんでした。
 
現在、この物件から得られる手取りの利回りは、4%弱に落ちています。まだ利回りが確保できているうちはいいですが、いずれ赤字に転落するかもしれないと、Cさんは不安を感じています。
 

賃貸住宅で人気の設備

2007-09-19 23:40:50 | 不動産
 
賃貸住宅に対する入居者の要求は、ますます高度化しています。
 
かつて、賃貸住宅で「人気の設備」といえば、ファミリー向けでは「追い炊き風呂」、シングル向けでは「高速インターネット」と相場が決まっていましたが、最近はさらに新しいものが求められている様子。
 
女性に人気なのは「ミストサウナ」だとか。ミストサウナは、サウナと違って低温で、浴槽とは違って水圧もかからないので、浴室内でリラックスできます。東京ガスと大阪ガスが積極展開しているそうです。
  
筆者もサウナが大好きで、かつては多忙のため、よくカプセルホテルに宿泊してサウナに入ってました。今は職場の近くに住んでいるので、その必要はありません(笑)。でも、サウナにはときどき行きます。家にあったらいいですね。

シングル向けで人気急上昇の設備は、「宅配ロッカー」。単身者は家を留守にしていることが多く、宅配便を受け取ることに困難を極めます。運送担当のドライバーと携帯で連絡を取り合いながら家で待ち合わせたり、何かと大変。結局、受け取り損ねて返品になってしまったり・・・。

そんなとき、ロッカーが代わりに受け取ってくれれば便利。電気工事が必要なものと、不要なものがあります。防犯対策も重要な要素。
 

手抜き・違反建築が横行していた

2007-09-18 20:18:12 | 不動産
  
平成17年11月、耐震強度偽装問題はマンション業界・建設業界ばかりでなく一般市民をも震撼させました。これまで耐震強度についてはあまり疑いを持たなかったマンションに対し、不安・不信が一斉に広がりを見せました。新聞・雑誌・テレビを通じて発信されるディベロッパー・設計士・施工会社・経営コンサルタント・指定民間検査機関の主張とやりとりは、責任の所在を明確にするどころか、不安を大きくした感があります。その後も耐震強度偽装問題は続々と出ています。
   
鉄筋コンクリート造に比較して、耐震力で劣る木造主体の建売住宅や建売アパートにも当然、疑問が沸いてきます。
  
あの頃、ある中堅ディベロッパーの担当者が「耐震強度偽装事件後、モデルルームの来場者数が半減した」と言って嘆いていたのを思い出します。実際、首都圏(東京・千葉・埼玉・神奈川)のマンションの契約率がこの影響で急低下し、好調の目安とされる70%を上回っていました。
 
耐震強度偽装問題が発覚して以来、マンション業界や建設業界・指定民間検査機関の構造の改善が図られてきているのは言うまでもありませんが、不動産購入希望者側の自己防衛が必要不可欠な時代なのは間違いありません。
  
いまや、不動産購入希望者は、「立地」「環境」に加え「耐震性」「耐久性」「管理の質」を裏づけした情報開示を求めます。「納得した物件」と「信頼できる会社」を併せて選定する時代です。 
 
本当の影響はまだまだ尾を引いていると見るべきでしょう。
   

耐震偽装問題とは、何だったか

2007-09-17 21:13:05 | 不動産
 
「耐震偽装問題の再発を防止するため」に建築確認の手続きが厳格化されて以来、申請期間の長期化、申請件数の減少といった影響が出ており、話題になっています。
 
あの「耐震偽装問題」とは、いったい何だったのでしょうか。
 
そもそも、日本では「構造設計士」が不足していました。
  
建物の設計は、全体をデザインする意匠設計と給排水、電気、ガスの配管、配線を担当する設備設計、そして柱・梁・壁から建物の骨格を担う構造設計の3つから成り立っています。

一級建築士が10人いれば、そのうちの8人は意匠(つまり、デザイン)の設計士です。構造計算を専門とする「構造設計士」は、10人中1人いるかいないか。ちなみに残りの10%が設備専門の設計士です。
  
欧州では、構造は建物の根幹をなすものであり、構造設計者は高い立場にあると言われています。日本では、意匠計画が重視されることに加えて、意匠設計者から構造設計者や設備設計者へ仕事が発注されるケースが一般的です。つまり構造設計者は、重要な分野を担いながらも施主と直接対話するケースは少なく、下請け的な弱い立場となりがちです。このことも耐震強度偽装問題の一因と考えられます。
 
さらに一連の耐震強度偽装問題は、本来厳しいチェックにより偽装を発見、是正するたちばにある指定確認検査機関の弱点も露呈しました。このチェックの甘さが問題を大きくした責任は重大です。
 
平成10年の建築基準法改正により、建築確認は民間の指定確認検査機関でも行えるようになりました。平成18年1月時点で民間検査機関は124社あり、マンションブームに呼応して急増しました。建設会社が出資している検査機関もあります。検査の制度に大きな差が生じるのもやむを得ないのかもしれません。
 
一番の問題点は、検査される側がチェックの甘い検査機関を自由に選べるという点かもしれません。あの事件をきっかけに、行政の監視が厳しくなったのは確かです。しかし、現状においては、構造の専門家が少ないことに加え、機関の制約・検査員の質といった、「構造的な」問題を抱えています。この点の改善は、一朝一夕にできるものではありません。
    

建築確認手続きの厳格化で、住宅着工が急減

2007-09-16 18:07:52 | 不動産
 
六月に施行された「改正建築基準法」。一昨年から大問題となっている耐震偽装問題の再発を防ぐべく、建築確認を厳しくしたのが特徴です。

厳しくしたのはいいのだが、思わぬ副作用が出ています。それは、住宅着工の遅れ、着工件数の急減という形で表れました。国土交通省が発表した七月の新設住宅着工戸数は8万1714戸と前年同月に比べ△23.4%減り、減少率は1997年以来、約十年ぶりの大きさになったということです。

何がそんなに厳しくなったのか。「構造計算書の二重チェック、申請書類に不備画あった場合は差し戻して再申請」といった、役所の手続きの厳格化です。その結果、建築確認申請してから、建築許可が下りるまでの時間が大幅に長くかかるようになりました。

しかも、「差し戻して再申請」という厳しさに恐れをなした民間建設業者は、申請前に必死で図面と構造計算書を突き合わせたり、対策に頭を悩ませた結果、申請件数が大幅に減少したようなのです。

もちろん、耐震偽装問題の再発は防ぐべきです。でも、こういうことからも、景気が悪化するんだよなあ・・・。