日経不動産マーケット情報
フランスを代表する欧州の名門金融機関・ソシエテジェネラル系のファンドが購入した、上野一丁目のビルを見ました。
最寄り駅は湯島駅(地下鉄千代田線)で、徒歩1分。上野駅からも近い。周辺は、上野の繁華街からちょっと離れた、オフィスビルとレジデンスが混在する地域。最近は港区ばかりをウロウロしていたので、どうしても渋いエリアに見えますが、交通便利です。
広い間口に、太い鉄パイプの柱が印象的。
敷地面積213坪で、総額は「21億8千万円」とのこと。築20年ちょっとの建物価格を引いて、地価は「坪あたり9百万円」といったところか。国内勢が低迷する中、なかなかの好水準で購入するパワーは外資ならでは?
注目の仏ソシエテジェネラルは、昨年から本格的に日本の不動産マーケットに参入しました。
本業の金融では、ディーラーの不正取引で、金融マーケット史上最大級の巨額損失を出したばかり。でも、それはいわば「雲の上の話」。それとこれとは別でしょう。
最近の日本の不動産マーケットでは、「捨てる神あれば拾う神あり」とばかりに、欧州勢が活発に動いています。中でも注目はドイツ系のファンド。 一方、今までの主役だった米国勢や豪州勢は、足が止まった観があります。 祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり・・・(?)
日経不動産マーケット情報
東京証券取引所が、J-REITの海外不動産投資を解禁すると発表しました。
記事によると
>東京証券取引所はこれまで、標準的な鑑定評価手法が定まっていないことなどを理由に、REITの海外不動産投資を禁止してきた。しかし、今年1月に国土交通省によって「鑑定評価ガイドライン」がまとまり、海外不動産投資に必要な環境が整ったと判断し、解禁に踏み切った。
・・・とのこと。
もっとも、これは以前から時間の問題とされてました。
日本の不動産マーケットでは、海外のREITがすでに大きな存在感を示しています。特に大きいのは、米国プロロジス。物流施設に特化したこの不動産ファンドは、最大手のJ-REITに匹敵する規模を日本で運用しています。
さらに存在感が大きいのは、オーストラリアのファンド。バブコック、ガリレオ、ルビコン・・・といった、日本の不動産に特化したファンドがいくつもある。運用資産の規模は一千億円前後で、かなり大きい。オーストラリアは、サウジアラビアと同様、広大な砂漠の資源国。海外での運用で存在感を示してます。
そんな中、日本の不動産ファンドはグローバル展開において出遅れ感があるのは否めないわけで、今後に期待したいところ。80年代には遠く及ばないとはいえ、ジャパンマネーの進出で世界のマーケットを活性化する?
もっとも、今のところ、海外進出を表明しているファンドはまだありません。「海外の不動産への投資を考えてはいるが、やるなら今のREITとは別のファンドを立てる」という運用会社もありました。
不動産証券化協会が行った私募ファンドの実態調査結果によると、2007年の私募ファンドの運用資産総額は前年比で42%増加し、11.8兆円だそうです。
Jリートが6兆6千億円なので、倍近く多い。上場していることもあって、Jリートは目に入りやすいですが、実際には私募ファンドの方が規模は断然大きい。見えにくいだけで・・・。
私募ファンド同士の売買、Jリートへの売却なども多い。もっとも、アンケートの調査結果によると、「Jリートへの売却」という出口戦略を描いているファンドは減少しているとか。不動産業界の厳しい現実を反映しています。
私募ファンドの運営には、リートほどの透明性は要求されないため、かなりの自由がききます。更地を買って開発したり、古い建物を解体して再開発する案件や、リスクを取って高利回りを追求する運用は、今のJリートではかなり難しい。
「アメリカでは、REITが不動産会社の役割を果たしている」とよく言われますが、日本の場合は、今のところリートより私募ファンドのようです。
日経NETアイ プロの視点 有料老人ホームに「異変」(2008/5/9)
一昨年頃から、「認可がなかなか下りない」と評判だった「介護つき有料老人ホーム」。介護保険ビジネスに目を向けた事業者が一斉に参入したものの、給付の増大を恐れる行政側が「総量規制」をかけ、新設するのが難しくなりました。
その名のとおり、施設内での介護サービスが売り物です。
上記の記事によると、総量規制は着実に効果を発揮し(?)、「介護つき有料老人ホーム」が予想以上に急減しているという、衝撃の実態が明らかになりました。
代わりに台頭してきたのは、「住宅型」の有料老人ホームです。
>ところが、2007年中に開設された有料老人ホームの定員数を調べてみると、介護付きが1万5600人で住宅型は1万1800人となった。2年前の05年と比べると、「介護付き」は3分の1に減少し、一方の住宅型は4.5倍も伸びている。
>これまで、介護付きは順調に増え続けてきた。それが06年は前年から約3200人減少し、07年は前年より約5600人減った。代わって、これまでほとんど人気のなかった住宅型の急増が目覚ましい。05年には、住宅型の9分の1にも達していなかったが、07年には8割近くにまで追いついてきた。
「住宅型」とはどういうものかというと、名目上は高齢者向けの共同住宅。でも、そのままでは介護保険の対象となりません。どうするかというと、その共同住宅に向けて「訪問介護」を実施するのだという。
つまり、「これは在宅介護の一種だ」と言うわけ。「上に政策あれば、下に対策あり」を地で行くような話です。
でも、実質的には同じサービスなので、利用者にはどう違うのか分からず、介護業界に戸惑いが広がっているということだ。
介護施設は、典型的な許認可ビジネス。行政の意向に大きく左右されるのは、仕方ありません・・・・・
資産流動化法は、当初は「SPC法」とも呼ばれました。つまり、資産流動化法は「SPC」(特定目的会社)を作るための法律。いまやすっかりメジャーな法律になりましたが、あの片山さつき代議士が大蔵省時代に法案に携わったことでも知られています。
不動産業界において「SPC」と言えば、不動産の名義人にして土地建物を持たせておくために設立するペーパーカンパニー。
かつての日本では、ペーパーカンパニーは「怪しい」ということで嫌がられていましたが(?)、証券化(資産流動化)を促進するためには、それを作りやすくすることが急務でした。
あの頃は、とにかく何がなんでも「不良債権問題」をなんとかするのが先決。後のことは、それから考えようじゃないかという時代だった・・・・・。
つまり、資産流動化法が制定された当初の目的は、「銀行の不良債権を証券化して売却し、バランスシートを早く立て直そう」ということだったのです。
でも、今では便利なツールとして、どこでも当たり前に使われてます。
SPCに不動産を持たせる理由は、信託受益権売買と同様に「動かしやすくて便利」ということはもちろんですが、やはり税制面で有利なのが最大のメリットです。不動産取得税や登録免許税がかなり安くなります。
もっとも信託受益権売買の場合は、もともと、これらの税金がかかりません。実際のところ、SPCが信託受益権を売買することは多いので、その場合は「不動産取得税や登録免許税が安い」というメリットは意味がなくなります。
それでも、SPCには税制面で大きなメリットがあります。「税引き前の利益から配当できる」というのが、それです。
通常の会社では、1億円の利益が上がったら、それに対して約40%の法人税がかかり、4千万円を税金で持っていかれます。そして、税金を引かれた後の6千万円から、出資者に配当することになります。
ところが、SPCの場合は、税金を引かれる前の1億円の利益から、出資者に分配することができるのです。
一見、「そんな不公平な」という感じですが、その配当を受け取るのはSPCを設立した親会社ですから、結局は親会社に法人税が課されることになります。
(もちろん現実はここまで単純じゃないですが、あえて大雑把に言えば、そんなところです)
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日経NET
新興国特需で、海運業界は絶好調。
そんな業界動向を反映して、中古船舶の価格が暴騰しているとか。
日経の記事によると
>中古船のうち鉄鉱石などを運ぶばら積み船の国際価格は鉄鉱石などを運搬するケープ型(積載重量15万トン超)で一隻1億4700万ドル程度。1年前より55%高く、2年前の2.2倍だ。
というから、すさまじい。
先日、韓国の海運会社が銀座の不動産を購入しましたが、やはり、こういったところにも好況が表れるのか。
船舶の場合、造船会社に発注しても、完成まで時間がかかります。そのため、買ってすぐに投入できる中古船に人気が集まり、新造より5割も高いという逆転現象が生じているのは面白い。
不動産業界も、こんな具合に中古市場が盛り上がらないものか・・・。
それにしても、こんなに新興国の資源輸入が増えて、地球は大丈夫なのでしょうか??
「マザーズオークション」を運営するIDUは、「東京不動産取引所」の開設に向けて準備を開始しました。すでに4月14日、準備会社となる「㈱東京不動産取引所」を設立しています。
この「東京不動産取引所」は、社団法人・東京都宅地建物取引業協会(都宅協)が構想してきたもので、不動産オークションサイトの運営ノウハウを持つIDU社と組んで実現に動き出したものです。
この取引所では、競り上がり方式のオークションを採用して、不動産取引の流動性向上を目指すとのこと。早ければ2009年夏にも運営がスタートします。その際には、マザーズオークションが、オークションによるマッチング機能(売却希望者と購入希望者を引き合わせる)を引き継ぐ予定。
「株式市場と同様、買い気配・売り気配が分かるようにしなければ」と、関係者は意気込んでいます。もっとも、実現には、まだ法改正が必要な部分もあるらしい。
不透明なことで知られてきた不動産業界。ここ5年~10年ほどで様相が一変してきたとはいえ、実勢取引相場などは、プロの経験と勘にゆだねられています。
「不動産取引所」の設立で、株式や商品みたいなマーケットが育つかどうか、乞うご期待??
(“週刊住宅”新聞の記事を参考にしました)
日経不動産マーケット情報
韓国系の海運会社、シノコー成本(せいほん)が、銀座五丁目のサンビルを購入したという報道がありました。
売主は、オーストラリアの不動産会社。外国人同士の売り買いは、もう当たり前になりましたね。
価格は「62億円」とのこと。昭和通を越えた東銀座駅の近くで、坪4千万円を超える好水準。
銀座に位置して、築地にも近い。海運会社にとっては、格好のロケーションでしょう。
国内勢の動きが乏しい昨今、韓国企業が気を吐いた。というより、新興国特需で絶好調の海運業界が気を吐いたと言うべきでしょうか。
いずれにしても、現在の不動産業界においては輝いて見えます・・・
日経記事
「高級食材を中心とするスーパー」として知られる、成城石井が出店を加速するそうです。
成城石井は、その名のとおり、成城駅前の店舗が発祥。高級住宅地・世田谷区成城の住民には「石井さん」といって親しまれています。昔は、地元の人たちに高級な果物を売ってました。
個人的には、スーパーといえば「一円でも安く」というイメージがあります。中には、閉店まぎわに駆け込んで「見切り品を半額で!!」というような人も・・・(?)。
でも、世の中はそういう人ばかりではありません。良い食材で、充実した食生活を楽しもうという顧客層もいます。富裕層なら、そう考えるのが当然でしょう。
本来なら希少価値を狙う店舗展開の会社なんでしょうが、現在の親会社であるレックスは、非常にアグレッシブな「外食業界の買収王」。現在、首都圏・中部圏・関西圏に50店舗だそうですが、これを3年以内に倍にして、積極展開を図るという。
気になるのは、やはり立地でしょう。どこに店舗を作るのか。高級志向だけに、場所を選ぶのは間違いありません。
ちなみに成城石井は、大宮・横浜・立川など、7ヶ所で「ルミネ」に店舗展開しています。また、“SEIJOISHII Select”という24時間営業の高品質ミニスーパーマーケットを西麻布・代官山・日本橋・池袋サンシャインの4ヶ所で展開しています。