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美しく儚い恋愛物語『欲望』by小池真理子

2017年11月15日 | 小説レビュー
〜三島由紀夫邸を寸分違わず模倣した変奇な館に、運命を手繰り寄せられた男女。
図書館司書の青田類子は、妻子ある男との肉欲だけの関係に溺れながら、かつての同級生である美しい青年・正巳に強くひかれてゆく。
しかし、二人が肉体の悦びを分かち合うことは決してなかった。正巳は性的不能者だったのだ。
切なくも凄絶な人びとの性、愛、そして死。小池文学が到達した究極の恋愛小説。「BOOK」データベースより


読み終えたあと、「はぁ〜〜〜〜っ」って、ため息がもれました(´ー`)=3

タイトルや表紙だけ見ると、安っぽい官能小説のような印象を受けますが、そうならないところが小池文学の素晴らしいところですね。

作中は、まさに『欲望』で埋め尽くされ、あらゆる描写に『欲望』が溢れ出ているんですが、キラキラとして、凛としていて・・・、オーロラのような、とても美しい内容です。

やっぱり小池真理子さんの書く文章や台詞、そして美しくも儚い描写、まさに刹那的な作品でした。

人をここまで深く深く愛し続けることが出来るもんでしょうか?やはり、小説の中だからこそなんでしょうねぇ。

決してハッピーエンドでもありませんが、ある意味では、ふんわりと緩やかにエンディングを迎えます。

あえて筆者はそのような描写を選んでいるんでしょうが、ヒロインの回顧録のように語られる場面が多く、「もしあの時に、この思いに気がついていれば、あんなことは起こらなかったであろうと思うと・・・」的な書かれ方が大事な場面で登場し、「あぁ〜、この人はこの後で・・・」と予測できるのが残念です。

もっと引っ張って、「ええっ!」となれば、ミステリー的で良かったのかも知れませんが、そこは読み手の好みですしね(^_^;)

こういう文章が『小池真理子イズム』なんでしょうし、これはこれで、僕は好きですよ。

とても深く美しい恋愛物語でした。

限りなく4つに近い
★★★☆3.5です。


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