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詰将棋解答選手権 速報ブログ

解答選手権のお知らせと速報です
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【チャンピオン戦出場者インタビュー】第6回 谷川浩司九段(前編)

2009年02月16日 18時00分00秒 | その他

チャンピオン戦出場者インタビュー.今回は優勝候補の一角,プロ棋士の谷川浩司九段の登場です.今回のインタビューも2回に分けてお送りします.

---谷川九段は第4回から3回連続の出場です.そもそも出場されるきっかけは何だったのでしょうか.
谷川「以前から興味はありましたが,ずっと東京開催だったので,そのために東京に行くという気にはならなかったんです.きっかけは3年前,創棋会(※1)の会合で『1年後の解答選手権には出たい』とポロっと言ってしまったんですよ.それで若島さん(※2)に気を使っていただいて,大阪開催を検討してくださったということもあると思うんですけど…」

---そして2年前,初出場となりました.
谷川「勝手がわからないので,特に第1ラウンドは『早く解かなきゃいけない』『全問解くのが当たり前で,時間の勝負』と思っていました.6問中5問は解けましたが最後(第4問.谷口均さん作※3)が盲点に入ってしまって,その間に関西の若手がどんどん出て行って,焦って….残り2分くらいでひらめいて,時間もないので慌てて書いたら2手抜かしてしまいました.
 ただ『早く解くよりも正確に解くほうが大事』ということが第1ラウンドの若手たちのミスを見てわかりましたので(笑),第2ラウンドは割合じっくりと考えることができました.だから一昨年に関しては,誤記はあったものの全問解けて,すごく出来がよかったと思います」

---前回大会はいかがでしたか.
谷川「去年は悲惨でした.一昨年つまづいた谷口さん作(第1ラウンド第5問)が解けなくて,これは(誤記ではなく)本当に解けなかったんですね.第2ラウンドでも最初の問題しか解けなかった.特に第2ラウンドの90分間は辛かったですね.ただ座っているだけでした」

---皆さん,共通だと思います.(※4)
谷川「反省としては,私は詰将棋作家でもあるので,最後の若島さん作はもう少し正解に近づくことはできたかと思います」

---難しい問題が3題あって,3題ともテーマがあって,そのテーマに気づいてもらえれば解いてもらえるんじゃないかなという油断がありました.反省しています.
谷川「理想としては全問正解者が2人くらい出て,時間の差で優勝が決まるくらいの難易度がいいんじゃないかなと思います」

---さて前回のように難問がいくつかあるとき,一点集中で考えるのか,いろいろ考えるのか,どうでしょうか.
谷川「本当は決めないといけないのでしょうが,どうしても目移りしてしまいました.結局,時間が分散されてどれも解けないという結果に終わりましたね」

---会場は静かで,対局とは違うと思います.鉛筆の音が聞こえたら焦りませんか.
谷川「それはあります.特に第2ラウンドの始まって1~2分で書かれると….一昨年全問解けたのも,第2ラウンドの第1問を最初に解けたのが大きかったです.優越感がありました」

---盤駒の使用も可能になっています.
谷川「大阪ではプロと奨励会員は使っていませんでした.プロの世界ではそれが基本ですね」

---活字の図面を見るのと,盤に並べてみるのでは違いませんか.
谷川「ああ,それはあるかもしれませんね.動かしはしなくても,並べるほうがイメージが湧く気がします.動かせたら数手後の局面を作りだせて絶対に盲点がなくなりますが,やっぱりプライドが許さないですね.他のプロが使っていたら使うかもしれませんが(笑)」

---90分間,集中力は続きますか.途中で気分転換のようなことはしますか.
谷川「実際の対局でもなかなか1時間30分は長考しません.1時間以上の長考は堂々巡りで同じことを考えていて,盲点に入っていることもあります.これ(解答選手権)はどうやってリフレッシュするか大事ですよね.90分というのは,そういう時間もあります」

---座ったままでできるリフレッシュは限られていると思いますが,具体的には.
谷川「対局なら手洗いに立つこともできますが,何ができるんでしょう….特に意識しているわけではないです.お茶を飲んだり,目薬を差したりということでもいいんじゃないでしょうか」

---ライバル,意識している人は.
谷川「東京は離れていて実感できないです.同じ会場にいれば動向は気になりますので,関西の若手ですかね」

---過去4回優勝の宮田敦史五段についての印象をお聞かせください.
谷川「去年の夏に将棋まつりのイベント(※5)で詰将棋カルタ対決がありました.伊藤果七段出題で,伊藤明日香女流1級が配置を読み上げ,最終手の書かれている札をとるという企画でした.
 配置は2回読み上げてもらいましたが,盤面を見るのと頭の中で考えるのはだいぶ違いますから,なかなかわからなかったですね.あれは随分厳しいなと思いました.やっぱり宮田君は凄いなと.初めてナマ宮田を実感しました」

---今回の意気込みは.北浜健介七段が「打倒宮田」は谷川九段に聞いてくださいということです.
谷川「そんなことを言える立場ではないです.前回よりはいい成績を,というところです」

(※1) 創棋会…定期的に大阪で開催されている,詰将棋の会合.
(※2) 若島さん…若島正・詰将棋解答選手権実行委員長
(※3) 谷口均さん…本文にあるように2年連続で谷川九段を悩ませた問題を出題し,「谷川キラー」の異名も.
(※4) 皆さん共通…第5回チャンピオン戦第2ラウンド第9問は平均0.06点,第10問は平均0.36点.(ともに5点満点)
(※5) 将棋まつりのイベント…2008年8月に横浜市の京急百貨店で行われた「京急将棋まつり」.谷川九段・北浜七段・宮田五段が出演した.


(2008年5月5日,前回大会にて)


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