わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

5日物語 3つの王国と3人の女

2017-05-06 | 映画・ドラマ・本
 このあたりで劇場公開していた覚えはないのですが、図書館にあったのでDVDを借りてきました。やや冗長な気もしましたが、豪華絢爛な衣装、美しい光景、そしてエグい内容で、十分に楽しかったです。

 イタリアの昔話「5日物語」の3つのお話を元に、跡継ぎを求める女王、若さを求める老女、外の世界に出たいと願う若い王女の3人(+老女の妹)のエピソードが並行に進んでいきます。それぞれの望みは叶うのですが、それ故の苦い結末を迎えます。



 隠者の言葉に従って、海の魔物の心臓を食べて、望み通りに息子を得るけれど、引換えに優しい夫を失い(あんまり気にしてないようだったけどw)、溺愛する息子の心は離れてしまう女王はセルマ・ハヤック。50歳だそうですが、相変わらず美しく、女王の威厳も十分に身にまとい、豪華絢爛な衣装や宝石を着こなす姿は、五十路女性の憧れだわ。

 世継ぎを身ごもるには、処女が一人で調理した海の魔物の心臓を食べねばならないのですが、料理の際の煙を浴びた下女も処女懐妊。生まれた息子と王子は瓜二つ。この二人を演じるのはアルビノの双子。この世ならぬ者の神秘性がありました。なんで女王様が、息子と、そっくりな友人を引き離そうとするのか判らなかった。

 美しい歌声で好色な王の気を惹いたものの、実は皺くちゃの老婆、闇に紛れて王ベッドに潜り込むのに成功したけど、正体がバレて窓から放り出され、なぜか気が付いたら「皮が入れ替わって」ピチピチの美女になっており、しっかり女王の座に収まります。それまで共に慎ましく暮らしてきた妹は、自分も若返りたいと、生皮を剥いでもらいますが…

 結局、あの妹はどうなったんでしょうね?女王になった姉の方は、いつまでも魔法が続くわけもなく、老女に逆戻りなのですが、一時でも美しくなって、女王の暮らしができたんだから羨ましーわー、とか、思う私。美しいままで居ても、どうせ王様はすぐに浮気して、また放り出されるに違いないし。宝石や衣装は取っといて換金し、どこか他所の国でひっそり暮らしたいわ。

 そして、結婚して城の外に出たいと願う愛らしい王女様は、決して誰にも解けないであろう質問に答えた男が王女と結婚するなんて、アホな条件を父の王様が出したおかげで、醜い山男に山頂の洞窟に連れて行かれる羽目にハマります。旅芸人一家に助けられて楽しくお城に戻る途中で、死んだはずの山男に襲われ、一家全滅。しかし、お姫様は山男を殺して首を掻っ切ります。

 山男は正当にお姫様を得たし、彼なりに大事にしていたと思うんだけど、裏切られてかわいそうだし、とばっちりを受けた旅芸人一家がとっても不運。そのお姫様が、王座を父親から譲られ、その戴冠式に、アルビノの王子、好色王と元老女の女王が揃った場面で大団円です。この3国の中で一番これから栄えそうなのは、この国で一択だねぇ。

 Be careful what you wish for(望みごとには気をつけろ)とは、お伽噺ではよくある教訓。3つのお願いが、元の木阿弥になってしまうのは、日本でも、西洋でも、多分他の地域でも定番かも、と思うのですが、この場合は、一人で3つじゃなくて、3人の3つの願いが、やっぱり思ったようには行かなかった。

 この映画は「5日物語」の中の3話だけを基にしているので、他のお話をベースに、また、こんな映画を作って欲しいなと思います。豪華な衣装や宝石と、それに負けないゴージャスな女優さん、きれいな風景は大好物よv