しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

マイナス・ゼロ 広瀬正箸を読んで

2011-01-08 | 日本SF
5年ぶりくらいに読みましたが、面白くて2日で読んでしまいました。
昨晩など酔っ払って帰ってきて2時まで読んで読了してしまいました。
「面白さ」ということではハインラインの「夏への扉」とタイムマシン小説の双璧をなす名作ではないでしょうか。
この作品はもう10回は読んでいるので筋だてはほぼ覚えているのですがそれでも引きずり込まれました。
5年前に読んだ時には、話の展開のテンポが遅いような気がしたのですが、今回は丁度良く感じました。
今の自分の方が余裕があるのかもしれません。
読む時の自分の状態で評価も変わるんですね。

鏡の国のアリスの直後にこっちを読んだのでディテールを充分書き込んでいることや、登場人物の心理も全部あられもなく書かないことで読者にいろいろ考えさせるところなど感心しました。
(鏡の国のアリスに比べればという話ですが・・・。)

内容としては若干無理のあるところもあるし、キャラクター設定なども粗いところもあるのですが目立たなくなっています。
アイディアだけではいい作品は生まれないんですね。
どうしてこの作品のあとこの著者は正常進化しなかったんでしょうか、体力の問題でしょうか?
ツィス」「鏡の国のアリス」では構成の無理さやキャラクター設定の粗さが目立ちます。
「エロス」はうまく書かれていましたが。
解説で星新一も「マイナス・ゼロ」「エロス」についてあげ「ノストラジアの作家」であると評していますが、他の長編はかっていなかったのかもしれませんね。
ちなみにこの全集は豪華解説者陣の解説が見逃せませんが、
個人的にはこの巻の星新一と6巻の筒井康隆がベストだと思います。
あと今回思ったことは、北村薫の「スキップ」などの3部作はアイディア「街の灯り」などのシリーズは昭和初期の風俗を描いている点で広瀬正の影響を受けているのでは?などと感じました。

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