しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

飲めば都 北村薫著 新潮文庫

2015-05-03 | 日本小説
新しい太陽の書」シリーズ5作を読んでお腹いっぱいだったこともあり「軽いものを」ということで本書を手に取りました。

北村薫の作品は円紫師匠とわたしシリーズ(の初期、最近新作出たようですが…)やスキップ、ターンあたりの作品を90年代前半にオンタイムで読んでいて大好きでした。

ただ最近の氏の作品は正直「いまひとつかなぁ」とも感じていて、本作主人公の「出版社勤務の若い女性」という設定が「円紫師匠シリーズ」的ということもあり前から気になっていながらも買うに至っていませんでしたが….。
今年の始めブックオフで108円のものを見つけ入手しました。
2011年新潮社から描き下ろしで発刊。

容紹介(裏表紙記載)
人生の大切なことは、本とお酒に教わった――日々読み、日々飲み、本創りのために、好奇心を力に突き進む女性文芸編集者・小酒井都。新入社員時代の仕事の失敗、先輩編集者たちとの微妙なおつきあい、小説と作家への深い愛情……。本を創って酒を飲む、タガを外して人と会う、そんな都の恋の行く先は? 本好き、酒好き女子必読、酔っぱらい体験もリアルな、ワーキングガール小説。


主人公、小酒井都のお酒にまつわるちょっとした謎やらなにやらを描いた連作短編という感じの構成です。
冒頭の新入社員時代の話が強烈で期待感を抱いたのですが...。
段々大人しくちぅちゃくまとまってしまったような…。
成長といえば成長なんですけどねー。
ラスト、結婚で終わるのもかなり安直ですし相手の職業やらキャラクターやらもいかにも北村薫的でひねりがない気がしました。

よくも悪くも北村薫らしい「善意」の世界が繰り広げられますが、登場人物全般紋切型です....。

作者になじみの出版界の事情とターン辺りで調べたであろう版画の知識やらを組み合わせて「安直に仕上げた?」という印象も...。

中盤の先輩女性編集者と後輩男性社員のエピソードを描いた「指輪物語」に初期の北村薫らしいテンションの高さをちらっと感じましたがそれ以外はまぁ軽く読むにはいいかなぁという程度の感想でした。

内容紹介も「そんな都の恋の行く先は?」「ワーキング・ガール小説」ですから安直としか思えないですよね....。

ただここまで安直な素材と展開でも円熟の直木賞作家 北村薫の作品ですから「面白い」ことは面白いので読んで損はないとは思います。(フォローになっていますかねぇ)
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