しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

小説 君の名は。新海誠著 角川文庫 君の名は。Another Side:Earthbound 加納新太著 角川スニーカー文庫kindle版

2017-08-20 | 日本SF
まぁ当たり前ですが…1月に見たアニメ映画「君の名は。」に刺激され読みました。
小説 言の葉の庭」の感想を書いていて新海誠氏の小説、一冊だけで評価(えらそうですが…用語として使用します)のもなにかなーということもありました。

本自体は昨年上の子供(男-当時中2、現 中3)が買って持っていたので借りました。

「Another Sid:Earthbound」の方は上記を読了した勢いでKINDLEで購入して読みました。


別建てで書くのもなんなので(意味不明ですが…)一緒に感想書きます。

まずは「小説 君の名は。」
内容紹介(裏表紙記載)
山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉(みつは)は、自分が男の子になる夢を見る。見慣れない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。一報、東京で暮らす男子高校生・瀧(たき)も、山奥の町で自分が女子高校生になる夢を見る。やがて二人は夢の中で入れ替わっていることに気づくが――。出会うことのない二人の出逢いから、運命の歯車が動き出す。長編アニメーション『君の名は。』の、新海誠監督みずから執筆した原作小説。


一応ノべライズですが映画完成前に「小説版の方が先に世に出る」わけで「どちらが原作か問われると微妙なところ」(あとがき)らしいです。
映画と小説を一緒に作り上げていったことで映画づくりに生かされた部分はあったそうですが…。
著者自身が「君の名は。」は、アニメーション映画の形がいちばん相応しいと思っていた」と書いていますが、確かに「映画」の方が…(笑)とは感じました。

「小説 言の葉の庭」ではストーリーを追うのでなく、主人公・ヒロインの画像に出なかった部分やあまり登場しなかった人物のサイドストーリーを書いていたので、映画を見ないとわからないような構造でしたが、本作では基本映画のストーリーそのままが書かれていますので小説単体でも内容を理解できるようにはなっていますがその分映画と比較してしまうので小説の方の残年感が目立ちます。

映画=画像では想像するしかなかった主人公・ヒロインのそのときの感情が、文字化されると「へー」と感じた部分もないではないのですが、それほど「違和感」感じなかったので「画像で見ていた以上のものはなかったかなぁ」という感想でした。
とくに後半部分は映画では情景描写がメインですので映像のスケールにはとてもかないません。

アシモフでもノベライズの「ミクロの決死圏」では苦労していた感ありましたし、映画主体でつくられたストーリーを文字化するノベライズの宿命ですかねぇ。

なお映画と小説の違いで目立ったのは掌に書かれた「すきだ」を見るタイミングくらいでした。
この設定は最後変えたんですかねぇ?

掌の場面ふくめ後半のスケールの大きいアクション場面の書き込みは薄く感じました。
著者自身が映画では第三者目線の「俯瞰」で描けるのに対して、小説は主人公とヒロインの一人者目線になるので云々と書いていましたが…。

「小説」は「俯瞰」を書けないメディアではないとは思うのでそこはもう少し工夫してもとは思いました。

もう1冊「君の名は。Another Side:Earthbound」

前述のとおりKindle版を購入しました。

こちらは「小説 言の葉の庭」と同様ストーリーに沿った展開ではなく、主人公・ヒロインの画像に出なかった部分やあまり登場しなかった人物のサイドストーリーを書いています。
原案は新海誠氏のようですが、著者はライトノベル作家の加納新太氏となっています。
この加納新太氏、他新海誠作品「秒速5センチメートル」「ほしのこえ」「雲のむこう約束の場所」でも同様に「新海誠原作」の形で作品を書いているようです。
内容紹介(amazonより)
東京に暮らす男子高校生・瀧は、夢を見ることをきっかけに田舎町の女子高生・三葉と入れ替わるようになる。
慣れない女子の身体、未知の田舎暮らしに戸惑いつつ、徐々に馴染んでいく瀧。
身体の持ち主である三葉のことをもっと知りたいと瀧が思い始めたころ、普段と違う三葉を疑問に思った周りの人たちも彼女のことを考え出して――。

新海誠監督長編アニメーション『君の名は。』の世界を掘り下げる、スニーカー文庫だけの特別編。

「小説 言の葉の庭」の感想でも書きましたが、サイドストーリーである限り本体の「映画」がなければ成り立たないわけですが、映画を観ている前提に立つと「あの場面はこういうことだったんだー」とか映画であまり出てこなかった登場人物の「思い」「生活」「過去」はこんなだったんだーという観点で楽しめました。

新海誠氏がどこかで、「小説 言の葉の庭を書いたことで、映画の登場人物の周辺などを深く掘り下げることができて映画づくりに役立った」というようなことをいっていたのを見ましたが、本作もそういう意味での映画作りの副産物でもあるんでしょうね。

第一話「ブラジャーに関する一考察」第二話「スクラップ・アンド・ビルド」第三話「アースバウンド」第四話「あなたが結んだもの」の4話構成になっています。

第一話は三葉に入れ代わっている瀧の視点。
映画ではさらりと流されていて「転校生」的女の子の体に入れ替わった男の子の戸惑いを描いています。
まぁオクテの男子高校生、ブラジャーの付け方わからないよねぇ。

第二話は三葉の男友達、勅使河原の視点。
新海誠氏自身も地方のゼネコンの息子だそうですから、勅使河原君の地元愛と閉塞感の入り混じった気持ちがよくわかるんですかねぇ。
また三葉に入れ替わった瀧目線での「男」勅使河原の好男子ぶりが微笑ましかったです。

第三話は三葉の妹四葉視点
四葉の妹視線もありますが、それよりも宮水家の因縁を描いたファンタジー風な作品になっています。
第四話へのつなぎ的な位置づけもあるんでしょうか。

第四話は三葉の父宮水俊樹の視点
運命の家に取り込まれた男の姿が描かれています。
浦島太郎などもそうですが、巻き込まれるのは男ですね~。
三葉の母、一葉に取り込まれて人生狂った男の物語です。
個人的には宮水俊樹が婿入りするとき持ってきたレコードのグレン・グールドというのが興味深かったです。
グールド、ミステリアスな雰因気に合いますね。

全話それなりに面白かったですが力が入っているなぁというのは第四話「あなたが結んだもの」ですかねぇ。
映画「君の名は」見た方にはお勧めです。

↓よろしければ下のバナークリックいただけるとありがたいです!!!コメントも歓迎です。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へにほんブログ村


最新の画像もっと見る

コメントを投稿