しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

ハイペリオンの没落上・下 ダン・シモンズ著 酒井 昭伸訳 ハヤカワ文庫

2013-06-23 | 海外SF
2週間ちょいぶりの更新となりましたが、大作(少なくとも分量は)である本書上・下を読むのに2週間かかりました。
(ほぼ通勤時間で読んでいるので)

ちなみに下巻を大森のブックオフで500円で入手した後、上巻を秋葉原のブックオフで見つけ500円で購入しました。
求めれば出てくるもんです。

本書は「ハイペリオン」の続編、というか「ハイペリオン」の謎解決編というような位置づけで2作で1対となっています。
ハイペリオンのところでも書きましたがこの2部作非常に評価の高い作品。
'06SFマガジンオールタイムベストで10位となっています。(ローカス誌ではハイペリオンが4位)

内容(裏表紙記載)

連邦の首星TC2から、色鮮やかな光条を描いて、FORCE無敵艦隊が出撃していく。めざすは謎の遺跡<時間の墓標>を擁する惑星ハイペリオン。宇宙の蛮族アウスターから人類連邦を守るための壮絶なる戦いの火蓋が、いままさに切って落とされようとしていた。いっぽうハイペリオンでは、連邦の密命を受けた七人の男女がついに<時間の墓標>に到着していた。長い旅路のはてに、その地で彼らを待ち受けていたのは・・・・・・。

連邦の誇る無敵艦隊は、アウスターの大軍勢を前に苦戦をしいられていた。高度な予測能力をもつ独立AI群<テクノコア>の助言を信じ、連邦は対アウスター戦にもてる戦力のすべてをそそぎこむ。だがそのころ、惑星ハイペリオンを訪れた人々の眼前では、ついに<時間の墓標>が開き、驚くべき光景が展開されていた! はたして彼らの運命は? そして戦いの帰趨は? 壮大な物語はここに驚異のクライマックスを迎える!

読了後の全体の感想。
前作「ハイペリオン」、本作前半でいろいろ謎を拡げていきますが一応それらは解決されます。
無理は...あるといえばあるのですが一応納得できる形です。
話としても面白いのは間違いない。
非凡な手腕だと思いますが....なんだか釈然としないものがあります。

うまく言えませんが名作映画のつもりで見たら、TV映画の名作だったというような感じ。

前作同様SF的な基本的しかけ過去の名作SFから持ってきている感じがあります。
解説でも触れられていましたが、個々の作品の話は出ていませんので独断感じた部分としては、

主人公各の女性連邦CEOマイナ・グラッドストーン。
アシモフの「ファウンデーションの彼方へ」で出てきたターミナス市長ブラノに似ているような...。
(書かれた時代が近いからないかもしれませんが)
「コア」の居場所探究というテーマだけ見ると第二ファウンデーションを探し求める「ファウンデーション」シリーズ三部作にも似ているような気もする。
字体を変えたケレン味たっぷりの描写はベスターの「虎よ!虎よ!」に似ているような、人類の成長的なテーマもクラークあたりがどこかで書いていそうなテーマ。
うまいんですが...なんだか「これでいいのか?」と感じてしまいました。

そんなこんあ批判的に読んでいましたが、上巻の終わり頃から物語が急展開し出して引きずり込まれていき下巻からは最後まで一気に持っていかれました。
エンターテインメントとしての出来は素晴らしいと思います。
が...「なにかその他」をSFやら小説に求める人には消化不良になるかもしれません。
解説に「絶妙な人物描写」というようなことを書いてありましたが深みが足りないような気もする。
前期のCEOグラッドストーンなどももっと「弱さ」とかなにか違った面を感じさせる書き方もあったような気がする。

ただコンピューターとネットの関わりという点では、80年代後半に書かれたにしては今のインターネットやスマートフォンがなければなにもできないという状況をかなりリアルに描写しています。(これは前作ハイペリオンでもいえる)
今の時代ある意味SFですね。

名作度=なにか心が揺さぶられるという意味では「ハイペリオン」の方が上だと感じました。
でも「ハイペリオン」だけ読んでなんだか謎解きが中途半端に感じる人にはお勧めです。
これだけ読むという人は...まぁいないでしょうから問題ないでしょう。

なんだか微妙な読後感なんですが...とりあえずこのシリーズ第三作「エンディミオン」も入手してはいますがすぐに読もうという気分にはなりません。
まぁここまで評価の高い作品なので私の読み手としての力に問題があるようね気もしますが...。
う~ん。

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