しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

日蝕 平野 啓一郎著 新潮文庫

2013-01-31 | 日本小説
「鏡の影」の流れで読もうということで入手。
こっちは「芥川賞作品」ということでブックオフにまぁあるだろうということで探して購入(250円)。

本作が芥川賞を取った時(1999年)に単行本を購入したのですが、途中まで読んで断念しました、探せば物置にありそうなんですが....。

挫折したのは同じような時期に村上春樹の「スプートニクの恋人」が出て読み出したためだったような記憶があります。
作品としての出来はともかく、面白さは村上春樹だったなぁ、などと思いながら読み出しました。


ということで
あらすじ(裏表紙記載)
現代が喪失した「聖性」に文学はどこまで肉薄できるのか。舞台は異端信仰の嵐が吹き荒れる十五世紀末フランス。賢者の石の創生を目指す錬金術師との出会いが、神学僧を異界に導く。洞窟に潜む両性具有者、魔女焚刑の只中に生じた秘蹟。華麗な文体と壮大な文学的探究で「三島由紀夫の再来」と評され、芥川賞を史上最年少で獲得した記念碑的デビュー作品。

物議をかもした(らしい)「三島由紀夫の再来」ですが、私はどうも三島由紀夫氏が苦手で読了した作品がないため、その点はわかりません。
読み出した動機の「鏡の影」との関係、中世ヨーロッパ、錬金術などの道具立てと漢字が
多いというところは似ていましたが、パクリとは私には感じられませんでした。
出来はともかく「鏡の影」の方が力作な気はしましたので、「日蝕」が大々的に売り出されて、同じような道具立ての片方が絶版になればいい気はしなかったかもしれませんね。
(なお文庫版の表紙の図はあおっているような気がしたんですが...)

で、本作の感想ですが、印象としてまず浮かんだのが斉藤智裕=水嶋ヒロ氏の「KAGEROU」、処女作ということで気負いがちなような気がするところ「似ているなー」というところ。
(パクリ云々ではありません)

出だしの錬金術者との出会いくらいまでは、不気味な感じと当時話題となった「擬古文調」もマッチしていてよかったと思います。
ただ「両性具有者」出現あたりからクライマックスの焚刑のあたりが、どうも入っていけませんでした。
現実離れした「両性具有者」をわざわざこの筋立てで出す必要がわからなかった。
(そういう意味ではKAGEROUの心臓を巻く「ゼンマイ」の方が斬新)
いっそのこと「両性具有者」=「異星人」とでもして、SF仕立てにした方が面白そうな気がしました。
もしかしてそういう筋立だったのだとしたら読みが足りなかったですが...、日食=太陽をUFOが隠したからだとか。(純文学にはならない気がしますが)

主人公もこの経験をしてもあまり変わっていないですし...(人間そんなに変わらないということを言いたかったのかもしれませんが)
錬金術者と両性具有者の関係も謎のままだったのも気になりました。
(これは余韻ということでいいのかもしれません)

処女作らしい新鮮さと雰因気を軽く楽しむにはいい作品かと思いますがあまり期待をもって読むとお勧めできないというのが本音の感想です。
物語としては「鏡の影」の方が面白いです。(すごくではないですが...)

まぁ「スプートニクの恋人」の方が面白いという結論で...(よくわからない結論ですが。)


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