しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

停滞空間 アイザック・アシモフ著 伊藤典夫・他訳 ハヤカワ文庫

2013-04-16 | 海外SF
引っ越し時に物置で発見。
中学生頃古本屋で買ったと思います。(奥付は昭和54年)

amazonで確認したら余裕の絶版で若干プレミアまで出ている(?)。
早川はアシモフ作品いつ頃復刊するのだろうか??、鋼鉄都市が映画化されそうな気配もあるようなのでその時くらいか....。

ちらっとみたら「夜来たる」(短編集)などはものすごいことになっている
中古で18,500円から....とても買えない。
確か実家にあったと思うので今度取りに行こう。

さて「停滞空間」。
昔読んだはずですが、表題作の「停滞空間」以外まったく記憶にない、記憶っていい加減ですね。
原書は1958年刊行、現題は「Nine Tomorrows」
表題の「停滞空間」(The Ugly Little Boy)はローカス誌オールタイムベスト中編部門(Novelettes)で46位に上がっている名作です。

内容(裏表紙記載)
時力線と平行に動き、エネルギーの過不足のない場<停滞空間>。この別の宇宙を通りぬけて、4万年前からネアンデルタール人の子供ティモシィは連れてこられた。最初ティモシィの異様な姿に恐れをなした世話係りのミス・フェローズも、やがて限りない愛情をその猿人の少年にそそぐようになっていく・・・・・・表題作「停滞空間」をはじめ。万能コンピューター<マルチヴァク>の不可解な行動を描いた「世界のあらゆる悩み」美貌の妻ヒルダぬきで、太陽系随一の繁華街マーズポートでのエージェントの活躍を描く「ヒルダぬきでマーズポートに」など巨匠のが著した九つの未来の物語。

人間の手がまだ触れない」で「アシモフよりシェクリィの方が上か?」などとも書きましたが、本書は落穂拾いでないちゃんとした短編集。
レベルの高い作品が収録されていました。
やはりアシモフ、天才です。(全部が全部天才ではないですが...)

-見よ、いまここに成し遂げる!
 アシモフのSF詩(あまりいいと思わないなぁ・・・)
○プロフェッション
抒情的な名作と思います、イメージにあるブラッドベリ的作品と感じました。
(萩尾望都の描いた「ウは宇宙船のウ」のイメージ、原作は未読)
なんで全然覚えていなかったんだろう、と不思議になりました。
「少年」の気持ちというかもどかしさが良く書かれていて、さらにいかにもアシモフ的な解決をするラストも見事としかいいようのない作品。

○ナンバー計画
プロフェッションよりは落ちますが、なかなか味わい深い仕上がり。
ラストの乾いた感じが不気味さを醸し出しています。

○やがて明ける夜
「アシモフのミステリ世界」収載
○ヒルダ抜きでマーズポートに
これも「アシモフのミステリ世界」収載

*上二作今回は読んだことに気づきましたが、「アシモフのミステリ世界」を読んだときにはまったく既読な感じがなかった。
 まったく覚えてないんですねぇ...。

○やさしいハゲタカ
タイトルと内容がマッチしていて絶妙かつ、なんだかイメージが頭に残る作品。

○世界のあらゆる悩み
マルティバックもの。
アシモフ、このテーマ結構好きなんでしょうね。
ミステリ仕立てでドタバタは楽しめますが、途中からラストはなんとなく読める感じ。

○ZをSに
タイトルから思いついたんでしょうねぇ...、というお話。
風が吹けば桶屋が的展開で普通に楽しめました。

○最後の質問
マルティバックもの、時間軸を伸ばしていくことで作品化しています。
安直といえば安直ですが、アイディアは買いですね、一回しか使えなさそうですが。

○停滞空間
筋立てはほぼ覚えていて、ベタベタなお涙頂戴ストーリーですが....。
ラストは泣いてしまいました。
脇役であるホスキンス博士の立ち位置と展開が絶妙なんでしょうね。
アシモフっぽくない作品ですが名作だと思います。

○返送票
アシモフらしい戯言文です、「停滞空間」の照れ隠し?

ネット上では最初の「プロフェッション」と「停滞空間」の二作に評価が二分していますが、「停滞空間」は素直に推しにくい内容ですしねー。
この二作を読むだけのためにも読む価値はあると思います。


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