しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

それから 夏目漱石著 新潮文庫

2013-11-27 | 日本小説

「明暗」に続いて読んでみようと、武蔵小山のブックオフで105円で購入。

本書も実家にあるはずなんですがが...、まぁ105円ですし。
漱石は読もうと思えば、Kindleでも青空文庫でも無料で読めるのですがやっぱり紙の方が気分が出ます。

「それから」は高校生の頃「三四郎」を読んでそれなりに面白く、「続きを読もう」と読みだしたのですが....。
高校生の私には手が出ずそのままになっていました。
宿願果たせました。

内容(裏表紙記載)
長岡代助は三十にもなって定職も持たず、父からの援助で毎日をぶらぶらと暮らしている。 実生活に根を持たない思索家の代助は、かつて愛しながらも義侠心から友人平岡に譲った平岡の妻三千代との再会により、妙な運命に巻き込まれていく・・・・・・。破局を予想しながらもそれにむかわなければいられない愛を通して明治知識人の悲劇を描く、「三四郎」に続く三部作の第二作。

読み始めての感想、「つまらない」
主人公代助は何をするわけでもなくぶらぶらしていて、まったく魅力がない。
「こいつ、いったいどうするんだろう?」と思いながら読みました。

芝居小屋でのお見合いとか、「芸者と当節の女性が同じだ」というセリフなどが、「明暗」でも出てくる場面で「続いていくんだなぁ」と興味深かったくらいで、どうも…。

ただ終盤に代助が三千代を奪おうと決心したあたりから、俄然テンポが変わって代助ととりまく環境の壊れ具合は「すげぇ」と思いながら読みました。
終盤の布石としての前段であれば、つまらなさも許せるような気がしました。

代助の住む主観世界の「風船」の中で展開してた前段と、その「風船」を中から破ってしまい現実世界に翻弄される代助という感じでしょうか。

前段の部分は「代助の主観」世界ですから、書かれた人物やら関係性などが、客観的に事実かどうか、終盤ではかなり疑わしく感じました。
三千代の代助に対する感情やら言葉も本当かどうかはわからない。
三千代が平岡を振り向かせるために、代助を利用しただけかもしれない。
もしかしたら平岡と三千代で共謀した美人局かもしれない...。

自分の主観世界の内側だけで生きてきた代助は外の世界に触れた瞬間何もわからず、すべてが壊れていく。
ラストは「ノルウェイの森」をちょっと連想しました。
そう思うと類似性があるような気もします。

代助ほど極端ではないでしょうが、「自分の主観世界」で生きているというのは誰にでもあてはまることかもしれませんね。
私も「自分の職場」から「辞めてやる」といってやめたら同じようなことになるかもしれない...怖い。

男女の三角関係という点やらなにやらは「明暗」へつながっている作品な気がしました。
「それから」の書き直しが「明暗」かもしれませんね。

前段の「つまらなさ」に耐えられればすごい小説だとは思いました。

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