ひとひらの雲

つれづれなるままに書き留めた気まぐれ日記です

あやめの根合せ

2015-06-03 19:37:18 | 日記
 ようやく雨が降りましたね。暑い5月でした。気温が高いので紫陽花もあやめも咲き始めましたけれど、雨が降らないので何だかクシュンとした感じです。これからもっともっと雨が降って、元気な花を咲かせて欲しいものです。

 元気のないあやめ?(5月30日撮影)

 平安時代の5月5日といえば夏、今頃の季節になりますね。ですから菖蒲やあやめの季節とも合致するわけです。「端午の節句」でも書きましたように、この日菖蒲はよく用いられたのですが、菖蒲とあやめは混同されていたようで、だいたい同じものだと解釈してよいでしょう。今でも「菖蒲」と書いて「あやめ」と読んだりいたしますから。

 さてそのあやめ(菖蒲)ですが、平安時代には親しい人に贈る習慣があったようです。何しろその根には邪気を遠ざける効能があると信じられていましたから、長寿を祈る意味もありました。そしてその根が長いほど良いとされ、根合せの催しとなったようです。根合せは絵合せ、物語合せなどと同じ平安時代に行われた物合せの一つで、『栄華(えいが)物語』や『堤(つつみ)中納言物語』などにそのような場面が登場します。

 堤中納言が中宮の根合せで、「浅香(あさか)の沼を尋ねて求めて参りました」と差し出したあやめの根が見事なものだったので、中納言側が勝利するという話です。当時、奥州の浅香の沼は歌枕でもあり、あやめの名所として有名でした。

 君が齢(よ)の 長きためしに あやめ草 千尋(ちひろ)に余る 根をぞ引きつる
 これはその時合せた歌ですが、千尋というのは長さの単位で、この場合は「こんなに長い」というくらいの意味でしょうか。あなたのご長寿を願って、こんなに長い根のあやめをとって参りましたよという自分の誠意を表しているのですが、ちょっと恩着せがましい気もします。

 先日「なんでも鑑定団」を見ていましたら、大阪守口市で「守口大根長さコンクール」が行われている映像が紹介されました。本当にひょろひょろと長い大根の長さ比べをしているんですね。これも「根合せ」の一種かなと思いながら見入ってしまいました。

 あやめを詠んだ歌はあまり見当たりませんけれど、『古今集』の中に、
 ほととぎす 鳴くやさつきの あやめ草 あやめも知らぬ 恋もするかな(読み人知らず)
 というのがあります。あやめもわからない恋って、どんな恋なんでしょう。

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