ひとひらの雲

つれづれなるままに書き留めた気まぐれ日記です

花は咲けども山吹の…

2013-04-19 18:24:35 | 日記
 ちょっと地味ですが、垣根越しに咲いている山吹の花が目に止まりました。小さくても地味でも、一生懸命咲いている花は綺麗ですね。
 山吹というと思い出すのがあの歌。兼明親王の「七重八重 花は咲けども 山吹の 実のひとつだに なきぞ悲しき」という歌です。高校の時に習ったと思うのですが太田道灌の伝説、ご存じの方も多いと思います。にわか雨に遭遇した太田道灌が蓑を借りようとしてあばら家へ立ち寄ると、出てきた娘は黙って山吹の一枝を差し出します。その時道灌は「花を求むるにあらず」といって立ち去るのですが、実はこの古歌に寄せて蓑のない悲しさを訴えたのだと、あとになって知るんですね。「実の」と「蓑」がかけてあったわけです。それから道灌は己を恥じ、歌道に精進するようになります。

 

 伝説には続きがあって、軍事の時に潮の満ち干を知ったり(「遠くなり 近くなるみの 浜千鳥 鳴く音に潮の 満ち干をぞ知る」)、闇夜に利根川を渡る時、「底ひなき 淵やはさわぐ 山川の 浅き瀬にこそ あだ波は立て」という歌によって無事に浅瀬を渡ることができたというエピソードが添えられています。情報の少なかった時代、和歌から学ぶことも多かったんですね。

 学ぶかどうかは別にして、私はこうした古典文学の精神世界が人間の情緒を豊かにするものだと思っています。そして人の心を形成する情操教育が技術革新と等しく重要なものだと…。テロや犯罪を起こすのが人間なら、セキュリティを強化するより、情操教育に力を入れる方が近道なのでは。

 タイトルと関係はありませんが、石楠花が綺麗に咲いていたのでアップしておきます。
 見とれてしまうほど綺麗だったので。

      真っ赤な石楠花

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菜の花畑に…

2013-04-08 18:29:23 | 日記
 「菜の花畑に入り日薄れ…」で始まる「おぼろ月夜」。「ふるさと」でお馴染みの高野辰之さんが作詞されたそうですが、本当に心安らぐ歌詞ですね。昭和のよき時代を懐かしむ人には忘れられない歌と言えます。桜と同時に咲き始めました。


 菜の花と桜   


 蕪村にも「菜の花や 月は東に 日は西に」という句がありますが、月の白と夕日の赤、そして菜の花の黄色が一直線上に並ぶ絵画的風景。実に色鮮やかです。菜の花の黄色は、ぱっとまわりを明るくする効果がありますね。正岡子規の句にも「菜の花や ぱっと明るき 町はずれ」というのがあります。町を通り抜け、菜の花が咲き誇る野辺に出た時の驚きが伝わってきます。本当に春を感じさせてくれる花ですが、一方で「菜種梅雨」という言葉から雨を連想される方も多いかもしれません。


 今年はいろいろな花が一気に咲き始めています。初夏に咲く石楠花(しゃくなげ)がもう咲いているんですよ。桜とのコラボははじめてです。


 石楠花     石楠花と桜


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