ひとひらの雲

つれづれなるままに書き留めた気まぐれ日記です

五月雨や…

2013-07-03 19:25:27 | 日記
 まだ梅雨は明けそうにありませんね。ちょっと憂鬱な気分の方も多いかもしれません。そんな時、昔の人はどうやって過ごしたのでしょう。今のように軽装でもなく車もない時代、降り込められることも多かったに違いありません。病床にあった正岡子規などは、
 五月雨(さみだれ)や 今日も上野を 見て暮らす
と詠んでいます。自分の家から上野のお山が見えたんでしょうね。

 ご存知のとおり、五月雨は五月と書きますが、当時は旧暦ですから、現代でいうと六月の梅雨の時期にあたります。川も増水する季節。芭蕉のあの有名な、
 五月雨を あつめて早し 最上川
という句もこうして生まれましたし、もう一句、
 五月雨や 大河を前に 家二軒
というのがあります。こちらは蕪村の句ですけれど、今にも家が流されてしまうのでは、といった危機感がひしひしと伝わってきます。頭の中に絵として浮かんでくるところが蕪村らしいですね。

 そして少しロマンを感じる歌といえば、平安時代の歌人相模の、
 五月雨の 空なつかしく 匂ふかな 花橘に 風や吹くらむ
というのがあります。五月雨の空から懐かしい昔の人の香りが漂ってくる。きっと橘の花に風が吹いているのだろう、というのですが、花橘というのは「五月待つ 花橘の 香をかげば 昔の人の 袖の香ぞする」と歌われているように、昔の恋人の匂い(象徴)なんですね。ですからこの歌は、五月雨の空に橘の香りをふと感じて、昔の恋人を思い出しているということになります。現代女性がふと元カレのことを思い出すのはどんな時なのでしょう。

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