3月末の恒例である育児支援コンサートが終わった(3/29)。一応私としても一つの区切りのコンサート。
2000年、第一生命ホールのオープニングコンサートを考えていくなかで生活提案型企画をどう考えるかというのは案外悩ましい問題だった。生活提案型、というのはパルコの企画をやりながら自分の中に意識として強く芽生えてきた考え方で、岐阜のメルサホールでも試みた手法なのだけれど、東京という日本の中でも特異といえる立地と金融業という持ち主という前提を考えたときに簡単ではないとおもわれた。戦略として掲げた芸術性とコミュニティ(グローバルとローカル)という事のちょうど間を確保する企画として考えたライフサイクルコンサートで一番初めに手がけたのが育児支援コンサートである。前半を子供と大人を分けて音楽を体験してもらう、というのはどちらかというと素人っぽい発想。しかし、サポーターが居るから何とかなるかも、と始めたのは正解だったかもしれない。数年のうちにサポーターが自主的に活躍するコンサートとして形が出来ていった。数年前、JATETの機関誌にも書いたけれど、サポーター抜きでは考えられない企画だし、サポーターはトリトンアーツネットワークの宝である・・ともいえるとおもう。その意味で、この企画は容易にまねの出来ない企画だろう(全国のホールでもいくつかしか思い浮かばない)。
まあ、生活提案型は一種のマーケティング企画だと思う(儲けるという意味ではない)けれど、ターゲットを絞るという手法は、必然的に分母を少なくするので(芸術性の高さを担保する企画も別の意味で分母が少ないけれど・・)難しいのだ。マーケティングの常識は「ターゲットを絞る」事が効果を呼ぶ・・という事にあるのだけれど、クラシック音楽では必ずしも正解かどうか判らない。マーケットを意識した企画でも失敗する可能性もある(というか随分失敗した)。
でも、育児支援コンサートは普通の親子コンサートとは一線を画した明解なコンセプトで始めたことと、それをトリトンの関係者が一生懸命広めてくれたおかげだろう、最近はいつも売り止めにしないといけない位に定着してきた。今年は8回目になるけれど、今回担当の菊地さんがフューチャーしたのは、新日鐵音楽賞を取ったばかりのクァルテット・エクセルシオ。
前半、大人がホールで演奏を聴いている間、小さな子どもには年齢に分かれて4つのスタジオが用意されている。今回は、エクのメンバーの3人とオーボエの古部さんにお願いした。そこでは音楽や楽器の体験などで30分ほどの時間を過ごすのだけれど、後半の演奏会ではスタジオで会った演奏家が舞台に上がるのである。今までのスタジオの経験では弦楽器が予想以上に苦戦する、というデータがあったのだけれど、後半エクのメンバーが舞台に出た瞬間、子供たちが大きな声で「ももちゃーん」「ゆきちゃーん」とかそれぞれの名前を呼んだのだ。これは過去にはない事だったのでちょっとびっくり。一気に会場が盛り上がった。演奏家の方もそれで嬉しくなったみたい。最後にやった絵本とのコラボ「くものす親分捕物帖」も良いできだったけれど、今回の圧巻はやはり子供の声だっただろう。これを引き出したのは前半のスタジオの出来で、雰囲気が最高に良かった証拠である。たぶんエクセルシオが8年くらい続けているアウトリーチ活動の経験の成果だと思う。嬉しいことだ。
あと、演奏そのものでは、こういう演奏に集中しにくい環境で、ぱっとカルテットの音が出てくるのはやはり常設カルテットとして活動をしているグループの強みだと思う
2000年、第一生命ホールのオープニングコンサートを考えていくなかで生活提案型企画をどう考えるかというのは案外悩ましい問題だった。生活提案型、というのはパルコの企画をやりながら自分の中に意識として強く芽生えてきた考え方で、岐阜のメルサホールでも試みた手法なのだけれど、東京という日本の中でも特異といえる立地と金融業という持ち主という前提を考えたときに簡単ではないとおもわれた。戦略として掲げた芸術性とコミュニティ(グローバルとローカル)という事のちょうど間を確保する企画として考えたライフサイクルコンサートで一番初めに手がけたのが育児支援コンサートである。前半を子供と大人を分けて音楽を体験してもらう、というのはどちらかというと素人っぽい発想。しかし、サポーターが居るから何とかなるかも、と始めたのは正解だったかもしれない。数年のうちにサポーターが自主的に活躍するコンサートとして形が出来ていった。数年前、JATETの機関誌にも書いたけれど、サポーター抜きでは考えられない企画だし、サポーターはトリトンアーツネットワークの宝である・・ともいえるとおもう。その意味で、この企画は容易にまねの出来ない企画だろう(全国のホールでもいくつかしか思い浮かばない)。
まあ、生活提案型は一種のマーケティング企画だと思う(儲けるという意味ではない)けれど、ターゲットを絞るという手法は、必然的に分母を少なくするので(芸術性の高さを担保する企画も別の意味で分母が少ないけれど・・)難しいのだ。マーケティングの常識は「ターゲットを絞る」事が効果を呼ぶ・・という事にあるのだけれど、クラシック音楽では必ずしも正解かどうか判らない。マーケットを意識した企画でも失敗する可能性もある(というか随分失敗した)。
でも、育児支援コンサートは普通の親子コンサートとは一線を画した明解なコンセプトで始めたことと、それをトリトンの関係者が一生懸命広めてくれたおかげだろう、最近はいつも売り止めにしないといけない位に定着してきた。今年は8回目になるけれど、今回担当の菊地さんがフューチャーしたのは、新日鐵音楽賞を取ったばかりのクァルテット・エクセルシオ。
前半、大人がホールで演奏を聴いている間、小さな子どもには年齢に分かれて4つのスタジオが用意されている。今回は、エクのメンバーの3人とオーボエの古部さんにお願いした。そこでは音楽や楽器の体験などで30分ほどの時間を過ごすのだけれど、後半の演奏会ではスタジオで会った演奏家が舞台に上がるのである。今までのスタジオの経験では弦楽器が予想以上に苦戦する、というデータがあったのだけれど、後半エクのメンバーが舞台に出た瞬間、子供たちが大きな声で「ももちゃーん」「ゆきちゃーん」とかそれぞれの名前を呼んだのだ。これは過去にはない事だったのでちょっとびっくり。一気に会場が盛り上がった。演奏家の方もそれで嬉しくなったみたい。最後にやった絵本とのコラボ「くものす親分捕物帖」も良いできだったけれど、今回の圧巻はやはり子供の声だっただろう。これを引き出したのは前半のスタジオの出来で、雰囲気が最高に良かった証拠である。たぶんエクセルシオが8年くらい続けているアウトリーチ活動の経験の成果だと思う。嬉しいことだ。
あと、演奏そのものでは、こういう演奏に集中しにくい環境で、ぱっとカルテットの音が出てくるのはやはり常設カルテットとして活動をしているグループの強みだと思う