児玉真の徒然

峠にたつとき
すぎ来しみちはなつかしく
ひらけくるみちはたのしい
(真壁仁 峠)

スチューデントプロデュースコンサート

2006年06月28日 | 徒然
足立区の財団がスチューデントプロデュースコンサート、というのを今年始めた。今日はアーチスト(白石光隆)との初めてのお見合い。
足立の財団もご多分に漏れず指定管理者で、ギャラクシティの管理は別のところになり、財団は文化振興企画をする。こういう場合、普通なら「足立のギャラクシティがこういうコンサートをする」と書くのが普通の感じなのだが、面倒なことだ。
TANのティーンエイジャーコンサートに基本的には似た手法であるが、来年3月のコンサートに向け、まだ、参加者を増やしていく、という過程。

白石君が、こうしたことに興味を持ってどんどんやってくれるのは心強いのだが、今日はちょっと集まりが悪かった。試験前というのがその理由。高校生の場合スケジュールというのはなかなか難しい。
でも、参加者の顔を見ながら白石君がそれこそかんで含めるような話しをし、3曲ほどピアノを聴いてもらうことによって、「この企画は行けそう」という安心感が参加者だけでなくスタッフにも生まれたみたいだ。白石君の選曲は、スカルラッティのソナタ、ラフマニノフの前奏曲、ガーシュインの劇場のざわめき。最後の曲はラグタイムの定番であるが、他の2曲はみんな知らないだろう。こういう曲を、話しの文脈の中にきちんと入れて納得させて聞かせてしまうのはいつもながらではあるが見事なものだ。来ていた2社の新聞社の記者の方が、終わったあと、白石君や参加者の大学、高校生などにずいぶんと話しを聞いて楽しそうにしていたのがとても印象的だった。
この企画、どのように発展していくか期待したいと思う。
もし興味があるなら下記へどうぞ。きっと面白いよ。

電話 03-3850-7931 fax 03-5831-8660
足立区生涯学習振興公社 文化事業課
〒123-0842 足立区栗原1-3-1(ギャラクシティ内)


竹村佳子、村上敏明

2006年06月25日 | 徒然
埼玉県富士見市のキラリ☆富士見で、竹村佳子さんと、村上敏明さんのジョイントコンサート。音活支援事業。このホールは、平田オリザが芸術監督をしているので演劇の方で有名になり、音楽部門はやや遅れていたのだが、ホールの音響としてはアコースティックな楽器にバランスも良く、響きに伸びもあるので、演劇にはちょっと客席の残響が気になるだろうな、というホール。
ふたりとも、音活の登録アーチストを終えてからイタリアに留学した。久しぶりに演奏を聴くふたりである。村上さんは、音活の頃何度か一緒に行った人だが、あのころに比べ高音の伸びがずいぶん良くなったと感じた。ちょっと世慣れすぎた感じがあったのだが、イタリア留学はその意味でも良いタイミングだったのだろう。
竹村さんも伸びやかな声は、ますます磨きがかかったように思う。竹村さんは音楽活性化事業をやってみて一番思ったことが「やはり、地力をきちんとつけなくてはいけない」だったそうで、以前に音活のアーチストへの研修会で話しをして頂いたときに、そのように言っていた。こういう研修会での話しは、アウトリーチへの手法とか、スキルとかが語られることが多いのだが、「うーむ、その正攻法でいらっしゃいましたか」と妙に感心した記憶がある。こういう矜持はアーチストに絶対必要。今日の演奏、特に後半のプッチーニを聴いて納得させて頂きました。
このふたり、引き続きがんばって欲しい。またどこかで合いましょう。


山本祐ノ介ワールド

2006年06月18日 | 徒然
山本祐ノ介チェロワールドのコンサート。彼のリサイタルを聴くのは本当に久しぶり。私的には、リハーサルの合間でのちょっとした言葉や動作にどうしても直純さんを思いだしてしまうところがあって、お客様の顔ぶれもずいぶん昔を思いだす人たちがいて、ちょっと懐かしい時間付き、というコンサートでした。
祐ノ介さんのチェロは、ますます自分の世界が明確になってきていて、このコンサートタイトルをつけたことが、コンサートの性格をあらわしてるような演奏だった。今回のプログラムも祐ノ介さんの生き方と合致するスタイルだったとおもう。そういうコンサートを一緒出来たことに感謝すべきなのだろう。
鳥の歌も本当に久しぶりに聴いた。もしかしたら2000年から初めてではないかしらん(つい、青い照明を入れたくなったりして)。演奏家の音楽的人生ときちんとつきあっていけることがもう少しできるといいんだけど、と思えるような時間でありました。所謂音楽業界人からちょっと離れつつある最近の仕事の方向では、そういうのは少ないなあ。







緑(魚沼の地酒)

2006年06月17日 | 徒然
昨日、4日間にわたる宮本妥子の中越地震復興祈念事業(アウトリーチとサロンコンサート2カ所)が終わりました。
見附と魚沼それぞれの反応の違いもなかなか面白かった。学校訪問の実績は本当に毎回違うので、ついに完成型には至らない!というのが一番の面白さかもしれない。今回は地域創造からは飯川君、クラ協から野中さんが参加。お二人の動きの良さは抜群で、良いコンビで動けてました。おかげで私の方はずいぶん楽をさせてもらった。
今回は、アウトリーチもサロンも、導入で異質な時間を作ることを目指し、静かな中を打楽器で入場したが、スタッフも打楽器に参加、回を重ねるごとにエスカレートして、実は案外楽しみました。


前回、今回は魚沼の4大そば屋も制覇したし、食生活もなかなか充実。最後に、魚沼の酒緑川の緑生酒で打ち上げました。本当にうまかったなあ・・・
小出郷文化会館の皆様、本当にありがとうございました。
次回の小出は11月。今度はキノコがおいしそうだなあ。



アウトリーチフォーラム

2006年06月12日 | アウトリーチ
先週は、宮城県でアウトリーチフォーラム(地域創造)があり、顔を出してきた。
コーディネーターと演奏家が一緒にアウトリーチプログラムを考えていくというのはなかなか出来ない機会。いろいろな人の考え方が聞けるのは、参考になるので嬉しい。今年は木管5重奏、弦楽四重奏、ピアノトリオ。全体進行をメモにしてみると、まだまだ隙があるけれど構成力のようなものはきちんとしている安心感がある。僕の今年のテーマは「旭山動物園」なのだけれど、クラシックのアウトリーチというものの本流はやはりこの辺にある。旭山はもう少しきちんと整理します。

昨日はえずこホールで久しぶりに浦壁君の舞台での音を聴けたし、良かったのではないかしらん。

フォーラムの進行プランは本人達の了解を得て、近々ブログにあげます(今日はso-netが工事中で作業できないので)。ちょっと細かく書ききれなかったところもあるけど・・。

鈴木秀美さんのこと

2006年06月07日 | 徒然
鈴木秀美さんが受賞された「サントリー音楽賞」の贈呈式に行ってきました。
モダーンの雄である堤剛財団理事長から秀美さんが賞を手渡されるのを見ていると、それなりに感慨のようなものがあります。
昨年のチェロコングレスでは結局バロックチェロとかの方を一人もお呼びできなかったのがちょっと残念でもあったので(私が相談に乗りはじめたのは参加チェリストが決まったところからでしたから、ICESやJCSの意向があったのかどうかもわからない。あんまり話題にならないままに来たのかもしれません)。でも全く同じ土俵に乗せるのも小さな意識のずれとかもありそうだし、難しいですね。
カザルスホールで毎年10月にチェロ連続リサイタルをやっているとき、常に気になってはいたのですがなかなか決断できず、結局、最終回になってしまった99年に秀美さんに出て頂きました。確か亡くなった小島さんと一緒だったと思います。もちろんその前から両方やっているゲリンガスとか酒井敦君とかも出てもらっ手はいたのですけどね。ちょうど、ある方向で動き出そうとした矢先のカザルス問題でしたから、ちょっと残念。コワンとか呼びたかった人も居たのだけれどなあ。

ちょっと昔のことを思いだしていたパーティでありました。でも、秀美さん本当に良かった。

博物館無料化の話し

2006年06月07日 | 徒然
3月15日の朝日新聞に「博物館,無料化じわり」という記事が載りました。本来博物館法的には無料が原則だと言うことなのだけれど・・。
コンサートの無料化、というのがあり得るものなのかどうか、という議論はあんまり出てこないのだけれど、実はコンサートも地域によっては無料で行った方が良いかもしれない、という誘惑に駆られることがあります。
実際、計算上は、チラシや当日プログラムを作ったり、宣伝をする経費の大部分を倹約して公演をすると、有料で売るよりも赤字幅が狭い、という事態も考えられる。たとえば、2000円で300枚売ることで入ってくる600000円×0.9=54万円と、宣伝費、印刷費の合計はほとんど変わらないという事があり得ます。でも、その300枚も心許ない事もあるわけで、それなら、無料にし宣伝費をかけず、600人来てくれる方が、文化政策的には意義がある、と考えることは出来ます。
実際、博物館でも無料化したところと逆に有料化したところがあります。それで確かに入場者はずいぶん変わったという事が書いてありましたが、これって当然ですけれど・・・
博物館はさておき、舞台公演で無料の方が効率的という計算結果が出てきたらどうするのだろう。何か変のような気がするけれどでも予算は少なくて済むとしたら?
今のところ、それを主張するには私の中にはいろいろな躊躇というか「変だぞ」という声がする。それは、「芸術が人を打つのは結局生命力である」という誰かの節にとらわれているだけなのか、やはり、興行という形の緊張感が演奏に与える影響をみれば当然と考えるか・・・
やはり今のところは、その話は敢えて出さないのが一番現実的のような気がします。あのスリルを知っていれば・・・

霊感

2006年06月04日 | 徒然
 一昨日庄原、昨日府中と2日間の会館でのオーケストラ普及プログラム本番。やっと、一週間に及ぶ広島ツアーが終わり、茂木さんとホテルのバーで打ち上げる。茂木さんとM氏と、地元福山のピアニスト、宇部から来たクラリネット奏者。
今回のように同じ人たちと一定時間以上を共有するというのは、芸術分野に置いてはなかなか大変だなあと言う所感。これも歳のせいなのかどうか。
 茂木さんが、ベートーヴェンは結局一つの方向の解釈しか許してくれないなあといっていた。チャイコフスキ-とかは、今日はあっちの方角から、今日はこちらからという解釈の演奏を許すところがあるが、ベートーヴェンは特別である・・とのこと。いつも何か新しい霊感がおりてくるのを待っていても、やはり一つの方向からどんどん深めていくしかない・・と。
 そういえば、「霊感」という言葉を久しぶりに生々しく聞いた気がする。天からの霊感は音楽家にきわめて重要なもの。その感覚こそが糧なんだったよね。そうそう、そうだったんだよ。