津城寛文・匡徹の徒然草Shiloh's Blog

時事問題や世間話その他に関して雑感を記し、著書その他の宣伝、関係者への連絡も載せています。

動乱(のはざま)のバルセロナ

2017年11月30日 | 日記
 バルセロナで8月、観光客でにぎわう歩行者道に自動車が突っ込むテロが起こり、10月には、長い前史があるカタルーニャ州独立問題が大きく動きだし、道路を埋め尽くす群衆が、ニュース映像で繰り返し流れました。

 その「動乱」と言ってよいバルセロナに、11月下旬、出張で行ってきました。思いがけず科研費がおりたのと、最初で最後のサバティカルがとれたのと、2つの幸運が重なってのことです。

 予定は7月に決まっていたため、テロ事件後は少し不安になりましたが、海外経験の豊富な先生から、「ご心配かもしれませんが、事件のあとしばらくは、かえって治安が良くなります」「世界中どこでも、危険はあります」とのことで、計画どおり進めました。

 現地での印象は、アパートの窓にところどころ独立旗が掲げられているのが目につくくらいで、テロのあった通りは人でにぎわい、ところどころ警察車両が道をふさぎ、警官(3種類)があちこちに立ち、デモもなく、テロの気配もなく、むしろ平穏でした。平穏すぎる、と言っていいくらい、つまり人出が少なくて、現地で迎えてくれた友人の話では、観光客がかなり減っているとのことでした。デモで埋め尽くされた凱旋門前の広場も、閑散としていました。

 動乱のバルセロナ、と思ったのに反して、12月21日の州議会選挙までは、大きな騒ぎもなさそうで、動乱のはざまの静かなバルセロナでした。

 仕事としては、2年後のシンポジウム&セミナーに招聘する大学の友人との打ち合わせ、それに先立ち、科研のテーマの1部を、学部生たち40~60人くらいに発表すること、そしてモンセラート山・モンセラート修道院を見学することで、それ以外の空いた時間は、友人夫妻の案内で市街を見学しました。

 西洋史やキリスト教に詳しい方はご存じなのでしょうが、ここはイグナシオ・デ・ロヨラが若いころに過ごし、軍人であったイグナシオが神のために生きることを決心、瞑想して啓示を受け、そのしるしとして剣をモンセラート修道院に奉納したとされる地で、また新大陸から帰ってきたコロンブスが、出迎えたカスティリャ王と契約を結んだという伝説があるなど、大航海時代、植民地主義の出発点のようなところでした。とくに、イグナシオの剣は、同地のイエズス会の教会に安置され、これも友人の案内で見ることができました。どれも予想もしなかった収穫でした。
 
 今回の出張は、7月に科研費がおりてから急きょ決まったことでしたが、他にも、この土地に歓迎されていると感じることがいくつかあり、嬉しいものになりました。とくに、宿舎からプレゼンテーション、研究者への紹介、市街地案内、バス停や駅への送迎まで、細やかにお世話いただいた友人夫妻に、感謝したいと思います。 

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