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NHKスペシャル「ユーロ危機 そのとき日本は」

2011-11-24 23:12:32 | 日々の徒然

タイトルに惹かれたので視聴。朝の短いニュースでは、何が起きているのか理解できないテーマだったので、その点を解決してくれる番組だと思って。

 

 

番組の導入として、ユーロ危機を「年金基金が目減りしている」という身近な問題から取り上げていくのは非常に良かった。ユーロ危機が対岸の火事ではなく、まさに自分の身に降りかかっている問題として認識することが出来たし。

ユーロ問題が身近な問題であると定義して、次に「ユーロ危機」について説明。ユーロ危機とは具体的に「国債の価値の低下」であると説明して、その国債はCDS(Credit Default Swap)という取引によって市場から介入出来る点を指摘。
国債は、その信用力に応じて利回りが上下し、これに応じてCDSも連動することを逆手にとる手法。CDSを意図的に上昇させれば国債の信用が落ち、あとは雪だるま式にCDSのが上昇していく。番組ではこの手法を鍵としてユーロ危機を紐解いていく。
このあたりの説明は、さすがはNHKといった所。上手いですねぇ。

ニュースでも良く聞く「市場の反応」とは、資本主義世界に住む全ての人達の総意、という意味ではなく、実はこのヘッジファンド達であることが番組から透けて見えてくることも好印象。市場は市民の見方でない、と頭でわかっていても実感がわかないので、このような描写は非常に大事かと。

 

また、ユーロ圏特有の「通貨は統一されているが財政政策はバラバラ」である点も指摘。各国の思惑が交錯し、フットワークが重くなっているユーロ圏では、市場の格好の標的になる可能性が高いと説明。
では、他国と通貨を統一していない日本では同様の現象が起きないのか、という点については、日本が市場の標的なる、ということではなく、ユーロ危機が日本にも飛び火することにより(例えば産業界などに)影響が出るという説明を付け加えて、ちゃんと忠告も忘れない。
この点も好印象かなー。 ちゃんとローカライズ、というか日本の番組になっている点は大事かと。別にユーロ問題だけを掘り下げるならば、BS1で輸入されたドキュメンタリーを見ればいいわけだし。

 

ただし、忠告止まりなのが問題。番組の作り方で疑問を持ったのは、この日本の反応についての描写。
ヘッジファンドについては良く取材されており、彼らの目的や行動原理が明確に示されているのに対して、日本側については非常に不明確。番組からは状況を理解できておらず「うろたえている」様子しか伝わってこなかった。

これは、日本側のもう一つの視点であるキャノンの対応についても同様。やはり「ユーロ危機に対して、どう考え、どのように対応しているか」が見えてこない。3日のタイムラグで調整できる在庫や、0.1秒単位の生産効率向上といった対策が、巨額の資金を大胆に使うヘッジファンドと釣り合いが取れているようには到底思えなかった。
イタリア・ベルルスコーニ政権は、ヘッジファンドたちによって追い詰められ辞任させられた、とまで思わせる演出に対して、日本側は現状説明にとどめた 番組の意図も理解できない。
日本の対応について視聴者に意見をゆだねるのではなく、番組としての意見を明確に打ち出すべきでは?

もし、「放送時間の都合で結論を描くことができなかった」ということならば、それは輸入物のドキュメンタリーで良かった、という話にもなりますし。

 

もう一点、ヘッジファンド側の人間として一人しか登場してなかったのも気になった。これって、この人が一人考えてたことで、市場全体では別の意図があったのでは?という疑問を持った。というか、これ「特定の商品/企業を取り上げている」事にはならないんだろうか・・

 

 

50分でここまで まとめ上げた手法は、率直に素晴らしいとは思いますが、もう一声ほしかったです。。


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