スイス公文学園 (KLAS) を知りたい!

スイスの日本人学校の国語教師が
学校紹介 卒業生紹介 スイスでの生活など
スイスからの「生の声」をお届けします!

ヤワラカあたま

2017年02月11日 | 日記
自宅でスイス料理を食べています。
本日の献立は「ラクレット」
専用の電熱器で溶かしたチーズを、
パン、ソーセージ、ブロッコリー、トマト、マッシュルームなどと一緒に食べる。
これが絶品なのです。





数年前、父が当地スイスに来訪した時、
スイスのチーズを晩飯に出したら、
「これは匂いがダメだ。。。」

父は戦前・戦中の食糧難の時代を生き抜いて来た世代ですので、
「食べ物の好き嫌いを言わないこと」が自慢の男です。

幼少の頃から、私は父に厳しく躾けられて来ました。
「食べ物を粗末にすることだけは許さん!」と。

そんな父から出た上記のセリフに、少し驚きました。

スイスのチーズ料理について、前々回の本ページでお伝えしましたが、
日本の大手食品企業が作るプロセス・チーズを食べ慣れている日本人にとっては、
父ならずとも、スイスのチーズの独特の匂いに違和感を覚えることは致し方ない所かも知れません。

かく言う私も、スイスに住み始めた当初は、父と同じ思いをチーズに対して持っていました。
しかし、スイスで暮らしていると、否が応にも、何度かはチーズ料理を食べる機会を持つことになりますね。
そんなことを繰り返している時、ふと気づくのです。
「これがホントのチーズなのだ」と。
そんな気づきがあってからは、その後の自分の食生活は何倍も豊かになったように思っています。
スイスのチーズに「はまって」食べ始めたのもこの頃だったと記憶しています。

同じことが、
ドイツのソーセージ、
スペインのパエリア、
イタリアのパスタ、
フランスのバケット・パン、
などなどなど、
それぞれの地域のオリジナル食品について言えるのだと思っています。

ドイツの、例えばフランクフルト・ソーセージは、香辛料の独特の香りがします。
日本の「平板化」されたソーセージを食べ慣れている人には、やはり違和感があると思います。
スペインのパエリアで使っている米は、日本のササニシキ、コシヒカリとは違った食感、味わいです。
イタリアのパスタ料理で提供される「アルデンテ」の茹で加減、日本人には少し固い、と感じられるかも知れません。
フランスのバケット・パンは、日本のふわふわパンに慣れている人には、これも固すぎる、と思われるのではないでしょうか。

西洋人が納豆の匂いを嫌悪していたのに、数年間日本で暮らしてみたら、納豆が大好きになった、
などという話は、よく耳にしますよね。

現地に赴いて、現地の人が楽しんでいることを体感する。
その際に必要なのは「ヤワラカあたま」ですね。
固定観念を捨てる、と口で言う程簡単なことではありませんが、
「とらわれ」から逃れると人生が豊かになるのも事実なのであります。

尖れば輝く

2017年02月11日 | 日記
2007年卒業(15期生)のささき たかひろさんは、
本校卒業後は米国の大学に進学、卒業後は、日本英語検定協会に入社。
その後は、国際教育を行う学童保育ブランドの立ち上げをやりながら、
小学生低学年の学校外教育の現場に携わりました。
2016年7月に自身の団体ルミオハナの立ち上げをして、
同社非常勤契約のコンテンツ開発担当になりました。
現在も教育の現場で、オルタナティブスクール、まなびスペースの運営を行っています。

この後のささきさんの言葉を読めば明らかなように、
その個性は在学中から「むちゃむちゃ尖ったもの」でした。
ささきさんは、
高校2年時には「Chairman of Midnight Kumon Committee」= 高校3年生の卒業を祝う会実行委員長、
高校3年時には「Chairman of Kumolympic」= 体育祭実行委員長、
卒業前には「Chairman of Graduation Committee」= 卒業準備委員長、
を務めた、という、本校の主要行事のリーダーを「総なめ」した男です。

お話を伺いました。

「KLASでは、人生を自分らしく生きる、幸せに生きるための基礎を2つ学びました。
それは
『自信』と『行動』
だと思っています。

KLASでは否が応でも勉強します。
1年目はみんな英語を重点的にやって
基本的な英語でのコミュニケーション能力を体験ベースで習得する。
残りの2年間で日本の進学校とかに負けないくらいの学力を身につけるには、
単純に量と質を上げるしかない。
つまり、真剣に勉強しまくるしかないわけです。

毎日2時間の学習時間と高2、高3では朝1.5時間ずつ。
レム睡眠とかも調べて計算して、
わりと真剣にパフォーマンス高めようとしてましたね。
僕の実家は決して金持ちじゃなかったし、
一族総出で費用を捻出してくれていたから
1ミリも留学の機会を無駄にしたくなかった。
そういう人、多かったんじゃないかと思います。

あえて言うならば、KLASで『落ちこぼれ』と呼ばれる奴でも
日本の普通の高校生よりは勉強していると僕は思います。

日本の環境とは完全に違って、
英語とかフランス語の環境に入るといったんリセットになる。
ちょっと頑張れば飛び出ることができるというチャンスが結構あったとも思います。

で、ここが多分一番重要なのですが、
KLASには、そこでちょっと頑張って頭1個だけ飛び出たような、
いわゆる「調子に乗ったやつ」を押し込めるような文化がなかった。
これが自然に自信とか行動力になったんですよ。
これは、正直、今の日本の学校にはなかなかないでしょうね。
受験勉強。
LINEグループでの「既読」がどうだとかいう集まり。
部活での必要以上の上下関係。
全国模試での順位。
飛び出ているやつがいると、
『どうせあいつは』『変なやつ』『足並みそろえろ』『ナルシスト』
とかいうレッテルを貼られる。

KLASにはそれはなかったです。
変わっているやつは面白い。
尖ってて、いいじゃないか。と。
そんな中で
『こういうのはあいつが得意だから聞いてみよう』
とか、そういう一人一人の力を持ち寄ってコミュニティを作っているような感があった。
勉強も運動もさえないヤツがいた。
でもコンピューターに詳しかった。ソフトウェアとか、ゲームとかそういうの。
で、そいつの部屋にはいつも誰か遊びに来てて、
僕もその一人だったんだけど、『パソコンでこれどうやってやんの?』と聞く。
そのかわり、彼には『おい、いい加減勉強しろよ。どこわかんないんだよ?』と助けてやったり。
出る杭が打たれない環境。
ずっと調子に乗っていられる環境。
これは、日本の学校にはない次世代の教育環境です。

人工知能とコンピュータが人間の仕事をやれるようになれば、
人間の存在意義は、
測定不可能な創造力や、
計算で導き出せない『人を感動させる力』の有無です。
その有機性を養うためには、無機質な教育環境にいたらだめです。
日本は『お勉強』はできるのに、
世界基準では『冴えない状況』にある、
その理由はここにあると僕は思っています。

フェイスブック、アップル、グーグル、アマゾン、スタバ、etc...(全部アメリカじゃん…)
日本は、ずっと1つの尖った個性に負けているんですよね。
ソニー、ユニクロ、TOYOTA
みたいな、すごい人達がもっといてもいいはずだ、と僕は思うんです。

そういった中で、日本の学校法人であるスイス公文学園は本当の個性教育をやっている。
30年近く前からそのことを自然と実践してきたオルタナティブスクールです。

そういう資源を使うかどうかも自分次第です。
行けば伸びるってもんでもない。
飛び出たやつの足を引っ張ることはないけど、
全然がんばらない奴を、ハイハイと救済するようななまぬるい環境でもない。

『え、やってくんないの?冷たいなあ!おカネ払っているのに、あんまりじゃない?』
と考える人は、KLASには多分向いていないです。
日本のガッコウはお金を払えば営業スマイルで
優しく丁寧にお勉強を教えてくれる場所かもしれませんが、
KLASは自ら学ぶ場所です。
みんな『おむつを履いて』入学しますが、
最初の1か月で、自分で生活できるようになり、
1年後は英語で議論をさせられます。

トガッタ人材の原石を集め、尖らせて世に送る。
KLASはそういう場所です。
行動と自信が人を尖らせる。
ダイヤモンドはダイヤモンドでしか削れない。
『尖った人間を輝かせる場所』それがKLASです。」


尖って輝くには、それなりの覚悟も必要。
私たち職員も、彼らの覚悟にとことん付き合う意気込みが求められます。
全力投球を全力で受け止める。
教員にとって、これほどやりがいのある環境は他にはない、私はそう考えています。
来週末の文化祭、生徒たちの全力投球、全力で受け止めます!

*ささきさんが発起人として設立された教育に関する情報発信サイト
「留学のすゝめ」
を紹介しておきます。
私もライターとして参加しています。