リコラたちはオーブの結婚相手を見つけるためにジュリーに頼るが、
彼女の指摘でようやくお互いの目的の違いに気づき始めたのである。
リコラ「こうも噛み合わないとはね。」
ジュリー「ええ、ルーシーは結婚相手を見つけさせるため。オーブはルーシーに自分をあたしに紹介してると思ってたのね。」
オーブストトルテ「僕は帰らせてもらうよ。」
ジュリー「待って、ルーシーが唯一無二なんて考えてるうちは結婚なんてできないよ。」
オーブストトルテ「どういう事だい?」
ジュリー「ていうかあたしの事を覚えてないの。昨日ギルドカフェで会ったでしょ。」
オーブストトルテ「ギルドカフェ・・・・あっ、まさかあの時ルーシーの近くの席にいた。」
ジュリー「やっと思い出してくれたね。あなたの言動はずっと見てたけど、あんな強引な性格じゃルーシーとはまず合わないと思うし、ルーシーが嫌がってる以上は、本気でルーシーの幸せを願ってるなら諦めてくれない?」
オーブストトルテ「そ、そんな。」
ジュリー「その代わり、ルーシーに匹敵する婚活女子たちを紹介するから。ねっ。もしかしたらルーシーよりも相性の良い相手に出会えるかもしれないでしょ。」
オーブストトルテ「本当にルーシーに匹敵する相手を紹介してくれるのかい?」
ジュリー「もちろんよ。あなたなら色んな婚活女子の中から選び放題だし。」
オーブストトルテ「・・・・分かったよ。」
リコラ「大丈夫ですよ。ジュリーは今までに多くの婚活している人たちをカップリングに導いたんですから。」
オーブストトルテ「(凄く可愛い。ファッションセンスも悪くない。そして何より、でかい。)ジュリー、彼女とお見合いさせてくれないか?」
ジュリー「駄目よ。彼女はもう相手がいるから。」
オーブストトルテ「なんという事だ。僕が良いと思った相手に限って既に相手がいる展開ばかりじゃないか。」
ジュリー「そりゃそうよ。あなたが最初から婚活していれば、リコやルーシーみたいな人とカップリングできたはずなのに、あなたはずっと婚活法の間はお茶会でごまかしてたんでしょ。その間に良い人はみんなカップリングしていったの。」
オーブストトルテ「そうだったのか。ジュリー、僕に婚活の極意を教えてくれないか?」
ジュリー「ええ、もちろんよ。」
オーブはジュリーの指導を受ける事になり、リコラはギルドカフェに帰った。
リコラは店番をしながらチョコ作りをし、アーサーと仲睦まじく話していた。
アーサー「テンパリングはじっくりやってたのに、ミルクチョコレートはかなり迅速にやるんだな。」
リコラ「ミルクとチョコは混ざりにくい上に、早くかき混ぜないと分離した状態で固まっちゃうから、混ぜるのは少しずつだけど混ぜる時は迅速にやるの。」
アーサー「分かってはいたけど相応の工夫が必要なんだな。これをショコラティエ教室でやってるのか?」
リコラ「うん。何かを極めた人がずっとプレイヤーで居続けるのも良いけど、私は何かの頂点に立ったら今度は後に続くプレイヤーに教える立場になるべきだって思ったの。」
アーサー「いつかリコの指導を受けた人の中からワールドチャンピオンが出てくるかもな。」
リコラ「だと良いね。」
アーサー「そういえば、オーブはもう迫ってこなくなったのか?」
ルーシー「ええ、彼が次の相手を見つけるためにお母さんに紹介するって言ったら、あたしと結婚するものだと思ってお母さんに紹介してるって勘違いされたけど、今頃はお母さんの婚活コンサルティングに夢中になってるはずよ。」
アーサー「とことん勘違いが多いんだな。」
ルーシー「彼、悪い人じゃないんだけど、彼の芸術の素晴らしさが全然分からなかったし、性格や価値観にも一般の人との乖離があったから、あたしとは人生観合わない気がしたの。」
リンツァートルテ「ルーシーさん、うちの兄が世話になったね。」
ルーシー「リンツ、どうしたの?」
リンツァートルテ「ベルガさんがワンダー島までお出かけしちゃったから僕も行きたかったんだけど、ヘレンに反対されて行けなかったからこっちに来たんだ。」
リコラ「お兄ちゃんなら明日には帰ってくると思いますよ。」
リンツァートルテ「そうか。思えばずっとリコラさんは苦労の連続だったね。慣れない婚活法に振り回され、婚活市場での色んな人との出会いがあった。でもそれがあったからここまで成長できたんだと思うよ。」
リコラ「確かに婚活法がなかったら、お兄ちゃんみたいにずっとプレイヤーの立場だったかもしれませんね。」
アーサー「あいつは婚活法の状態になっても教える立場にはならなかったけどな。」
リンツァートルテ「ベルガさんはぶれないからね。」
ルーシー「あたし決めた。リコの魅力を超える人に出会ったら、その人とつき合おうと思う。相手が男子でも女子でもその他でも関係なく、ずっと愛しぬくわ。」
リコラ「ルーシーも次の目標が決まったんだね。」
ルーシー「リコはアーサーに取られちゃったからねー。まっ、リコの魅力を超える人なんてそうそう現れないと思うから、その日が来るまではずっと仕事一筋でやっていこうと思うの。」
リコラ「当分はアーサーの会社を伸ばしていかないと心配だもんね。」
アーサー「あのなー、俺がルーシーを雇ったのは専属モデルになってもらうだけじゃないぞ。うちの会社が伸びていけば、どっかのモデル事務所がルーシーに注目するかもしれないだろ。このやり方で誘いを受けたなら、それはもう本人の力で勝ち取ったものと言えるだろ。」
リコラ「ルーシーの扱いに慣れてるんだね。」
アーサー「俺がまだ小さい時に、誰かに叶えてもらったものを夢とは言わないって、お袋が言っていたのを思い出したんだ。もしかしたらルーシーもそう思ってるんじゃないかと思ってな。」
ルーシー「アーサー。」
手の平返し女「ねえ、あなたアーサー君でしょ?あたしの事覚えてる?ずっと前婚活イベントで会ったでしょ。」
アーサー「そういえば会った事あるな。あんたの事はよく覚えてるよ。確か俺の会社が倒産した後、婚活法対策課所属になったって事を知った途端に俺から離れていったよな?」
手の平返し女「あー、あの時はそうだったけど、今はまた起業して事業もうまくいってるって聞いたの。あたしそれでアーサー君の事見直したの。ねえ、良かったらあたしとつき合わない?」
アーサー「断る。」
手の平返し女「えー、どうして?」
アーサー「もうすでにカップリングしている女がいるんだ。それに、たとえ俺が誰ともカップリングしていなかったとしても、失敗した時に見限る女なんかとつき合いたくないんだよ。」
手の平返し女「ひ、酷い。うわあああああん。」
リコラ「帰っちゃったね。」
アーサー「あれで良いんだよ。」
ルーシー「リコはアーサーがどんなにピンチでも決して見捨てなかったもんね。あっ、あたしもう帰るね。明日はうちの会社のプロモーションで出かけないといけないから。じゃあね。」
リコラ「ルーシーも仕事頑張ってるんだね。」
アーサー「あれはルーシーなりに気を遣ってくれたんだよ。さっきの客がいなくなって3人だけになったから、こうして俺たちを2人きりにするために帰ったんだ。明日のプロモーションだって午後からだし、もっとゆっくりしようと思えばできたはずだ。」
リコラ「アーサーってたまにお兄ちゃんみたいな事言うよね。」
アーサー「これは推理じゃないぞ。ずっと一緒に暮らしてると、何故か自然に分かるようになるんだ。」
リコラ「そうだったんだ。」
アーサー「確か明日は休みだったよな。良かったら久しぶりにデートに行かないか?」
リコラ「うん、良いよ。でも仕事は良いの?」
アーサー「良いんだよ。俺も経営者だからな。休もうと思えば休めるんだよ。」
リコラ「私もお兄ちゃんと共同経営者だから休みの日は選べるけど、普段はお兄ちゃんがヘクセンハウスと一緒に出かけちゃうから全然休めなかったなー。私も婚活法が終わった記念にデートしちゃおっかな。」
アーサー「じゃあプールでも行くか。明日の正午にアウグストのプールに集合な。」
リコラ「うん、分かった。あっ、でも水着持ってない。」
アーサー「水着なら貸し出ししてるから問題ないぞ。」
リコラとアーサーは翌日になると昼食を済ませて水着に着替え、
プールサイドで会うがアーサーの顔は真っ赤になっていた。
リコラ「どうしたの?顔赤いよ。」
アーサー「やっぱ胸大きいな。くびれもあるし。」
リコラ「もう、触らないでよ。ただでさえ恥ずかしいんだから。」
アーサー「じゃあもっと恥ずかしくしてやろうか。周りを見てみろよ。」
リコラ「周り?ええっ、何で私見られてるの?」
エロい男「すげえ、あの子スタイル良いじゃん。」
よこしまな男「顔も可愛いし、何より、でかい。」
魔性の女「理想的な顔と体ね。触ってみたい。」
アーサー「これで分かっただろ。リコは顔も体もかなり恵まれてるんだよ。」
リコラ「私が小さい時はクラスメイトから地味な子扱いされてたから気にならなかったのに。」
アーサー「ウォータースライダーでも行くか。」
リコラ「あれって、カップルは2人で滑れるって書いてるよ。」
アーサー「もうカップルなんだから問題ないだろ。俺後ろに座るから。」
リコラ「あんまり並んでないね。」
アーサー「今は冬だからな。でも室内は恒温の魔法で温度も水温も一定に保たれてる。俺はそれを知ってるから誘ったんだ。メルヘンランド大学の魔法学の授業でやってたんだ。」
リコラ「ここにきて教養の差が出たね。」
アーサー「ほら、俺の上に座れよ。」
リコラ「う、うん。ひいっ、あああああぁぁぁぁぁ。」
アーサー「おおおおおぉぉぉぉぉ。」
リコラ「ふふっ、結構楽しいねこれ。」
アーサー「じゃあ今度はあっちのウォータースライダー行ってみるか。」
リコラ「うん。」
不良の男「なあ、そこの彼女。そんな男なんかより俺と一緒に遊ぼうぜ。」
リコラ「遠慮しときます。」
不良の男「そんな事言わずにさ。なっ?良いだろ?」
リコラ「止めてください。離してください。」
アーサー「その汚い手を離せ。お前ら外国人観光客だな。だったらこの国のルールくらい守れよな。」
不良の男「ああん?この国のルールなら守ってるだろうが。」
アーサー「ここはコミュ障が多数派の国だ。ナンパなら他の国でやってくれ。」
不良の男「何だとてめえ。俺とやろうってのか?」
アーサー「あいにくだが、人を殴って訴えられるのはもうんざりなんでね。ちょっと警備員呼んでくるわ。女子を誘拐しようとしてるから職質してくれってな。」
不良の男「てめえ、ぶん殴られてえのか。」
アーサー「今俺を殴ったら間違いなく強制送還だぞ。それでも良いならやってみろよ。」
不良の男「・・・・ちっ、何だよ偉そうに。たくっ、やってらんねーぜ。」
アーサー「ふう、逃げてくれたか。」
リコラ「また助けられちゃったね。でも前にもこんな事あった気がする。」
アーサー「最初に婚活パーティで会った時の事を思い出すな。もうあんな事には関わりたくなかったんだけど、リコが魅力的すぎるからみんな放っておかないんだよ。」
リコラ「モテるって良い事ばかりじゃないんだね。」
アーサー「良い奴だけじゃなくて悪い奴も引き寄せてしまうからな。モテるのもモテないのも一長一短だ。」
リコラ「ていうか強制送還って本当なの?」
アーサー「あんなの嘘に決まってるだろ。せいぜい厳重注意がいいとこだ。」
リコラ「アーサー・・・・ありがとう。」
アーサー「ちゅっ、ちゅっ。」
リコラ「んっ、ちゅっ。」
アーサー「リコが無事で良かった。」
リコラ「もう、恥ずかしいよ。また胸触ってるし。」
アーサー「じゃあ次行くか。」
リコラ「あっ、誤魔化した。」
アーサー「それっ。」
リコラ「もう、いきなりそばにある水鉄砲使うんだからー。じゃあ私もお返し。」
アーサー「うわっ。やっぱり遊び足りないんだな。ならとことんつき合ってやるよ。」
リコラ「私も今日は今までできなかった分遊び尽くすんだから。」
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彼女の指摘でようやくお互いの目的の違いに気づき始めたのである。
リコラ「こうも噛み合わないとはね。」
ジュリー「ええ、ルーシーは結婚相手を見つけさせるため。オーブはルーシーに自分をあたしに紹介してると思ってたのね。」
オーブストトルテ「僕は帰らせてもらうよ。」
ジュリー「待って、ルーシーが唯一無二なんて考えてるうちは結婚なんてできないよ。」
オーブストトルテ「どういう事だい?」
ジュリー「ていうかあたしの事を覚えてないの。昨日ギルドカフェで会ったでしょ。」
オーブストトルテ「ギルドカフェ・・・・あっ、まさかあの時ルーシーの近くの席にいた。」
ジュリー「やっと思い出してくれたね。あなたの言動はずっと見てたけど、あんな強引な性格じゃルーシーとはまず合わないと思うし、ルーシーが嫌がってる以上は、本気でルーシーの幸せを願ってるなら諦めてくれない?」
オーブストトルテ「そ、そんな。」
ジュリー「その代わり、ルーシーに匹敵する婚活女子たちを紹介するから。ねっ。もしかしたらルーシーよりも相性の良い相手に出会えるかもしれないでしょ。」
オーブストトルテ「本当にルーシーに匹敵する相手を紹介してくれるのかい?」
ジュリー「もちろんよ。あなたなら色んな婚活女子の中から選び放題だし。」
オーブストトルテ「・・・・分かったよ。」
リコラ「大丈夫ですよ。ジュリーは今までに多くの婚活している人たちをカップリングに導いたんですから。」
オーブストトルテ「(凄く可愛い。ファッションセンスも悪くない。そして何より、でかい。)ジュリー、彼女とお見合いさせてくれないか?」
ジュリー「駄目よ。彼女はもう相手がいるから。」
オーブストトルテ「なんという事だ。僕が良いと思った相手に限って既に相手がいる展開ばかりじゃないか。」
ジュリー「そりゃそうよ。あなたが最初から婚活していれば、リコやルーシーみたいな人とカップリングできたはずなのに、あなたはずっと婚活法の間はお茶会でごまかしてたんでしょ。その間に良い人はみんなカップリングしていったの。」
オーブストトルテ「そうだったのか。ジュリー、僕に婚活の極意を教えてくれないか?」
ジュリー「ええ、もちろんよ。」
オーブはジュリーの指導を受ける事になり、リコラはギルドカフェに帰った。
リコラは店番をしながらチョコ作りをし、アーサーと仲睦まじく話していた。
アーサー「テンパリングはじっくりやってたのに、ミルクチョコレートはかなり迅速にやるんだな。」
リコラ「ミルクとチョコは混ざりにくい上に、早くかき混ぜないと分離した状態で固まっちゃうから、混ぜるのは少しずつだけど混ぜる時は迅速にやるの。」
アーサー「分かってはいたけど相応の工夫が必要なんだな。これをショコラティエ教室でやってるのか?」
リコラ「うん。何かを極めた人がずっとプレイヤーで居続けるのも良いけど、私は何かの頂点に立ったら今度は後に続くプレイヤーに教える立場になるべきだって思ったの。」
アーサー「いつかリコの指導を受けた人の中からワールドチャンピオンが出てくるかもな。」
リコラ「だと良いね。」
アーサー「そういえば、オーブはもう迫ってこなくなったのか?」
ルーシー「ええ、彼が次の相手を見つけるためにお母さんに紹介するって言ったら、あたしと結婚するものだと思ってお母さんに紹介してるって勘違いされたけど、今頃はお母さんの婚活コンサルティングに夢中になってるはずよ。」
アーサー「とことん勘違いが多いんだな。」
ルーシー「彼、悪い人じゃないんだけど、彼の芸術の素晴らしさが全然分からなかったし、性格や価値観にも一般の人との乖離があったから、あたしとは人生観合わない気がしたの。」
リンツァートルテ「ルーシーさん、うちの兄が世話になったね。」
ルーシー「リンツ、どうしたの?」
リンツァートルテ「ベルガさんがワンダー島までお出かけしちゃったから僕も行きたかったんだけど、ヘレンに反対されて行けなかったからこっちに来たんだ。」
リコラ「お兄ちゃんなら明日には帰ってくると思いますよ。」
リンツァートルテ「そうか。思えばずっとリコラさんは苦労の連続だったね。慣れない婚活法に振り回され、婚活市場での色んな人との出会いがあった。でもそれがあったからここまで成長できたんだと思うよ。」
リコラ「確かに婚活法がなかったら、お兄ちゃんみたいにずっとプレイヤーの立場だったかもしれませんね。」
アーサー「あいつは婚活法の状態になっても教える立場にはならなかったけどな。」
リンツァートルテ「ベルガさんはぶれないからね。」
ルーシー「あたし決めた。リコの魅力を超える人に出会ったら、その人とつき合おうと思う。相手が男子でも女子でもその他でも関係なく、ずっと愛しぬくわ。」
リコラ「ルーシーも次の目標が決まったんだね。」
ルーシー「リコはアーサーに取られちゃったからねー。まっ、リコの魅力を超える人なんてそうそう現れないと思うから、その日が来るまではずっと仕事一筋でやっていこうと思うの。」
リコラ「当分はアーサーの会社を伸ばしていかないと心配だもんね。」
アーサー「あのなー、俺がルーシーを雇ったのは専属モデルになってもらうだけじゃないぞ。うちの会社が伸びていけば、どっかのモデル事務所がルーシーに注目するかもしれないだろ。このやり方で誘いを受けたなら、それはもう本人の力で勝ち取ったものと言えるだろ。」
リコラ「ルーシーの扱いに慣れてるんだね。」
アーサー「俺がまだ小さい時に、誰かに叶えてもらったものを夢とは言わないって、お袋が言っていたのを思い出したんだ。もしかしたらルーシーもそう思ってるんじゃないかと思ってな。」
ルーシー「アーサー。」
手の平返し女「ねえ、あなたアーサー君でしょ?あたしの事覚えてる?ずっと前婚活イベントで会ったでしょ。」
アーサー「そういえば会った事あるな。あんたの事はよく覚えてるよ。確か俺の会社が倒産した後、婚活法対策課所属になったって事を知った途端に俺から離れていったよな?」
手の平返し女「あー、あの時はそうだったけど、今はまた起業して事業もうまくいってるって聞いたの。あたしそれでアーサー君の事見直したの。ねえ、良かったらあたしとつき合わない?」
アーサー「断る。」
手の平返し女「えー、どうして?」
アーサー「もうすでにカップリングしている女がいるんだ。それに、たとえ俺が誰ともカップリングしていなかったとしても、失敗した時に見限る女なんかとつき合いたくないんだよ。」
手の平返し女「ひ、酷い。うわあああああん。」
リコラ「帰っちゃったね。」
アーサー「あれで良いんだよ。」
ルーシー「リコはアーサーがどんなにピンチでも決して見捨てなかったもんね。あっ、あたしもう帰るね。明日はうちの会社のプロモーションで出かけないといけないから。じゃあね。」
リコラ「ルーシーも仕事頑張ってるんだね。」
アーサー「あれはルーシーなりに気を遣ってくれたんだよ。さっきの客がいなくなって3人だけになったから、こうして俺たちを2人きりにするために帰ったんだ。明日のプロモーションだって午後からだし、もっとゆっくりしようと思えばできたはずだ。」
リコラ「アーサーってたまにお兄ちゃんみたいな事言うよね。」
アーサー「これは推理じゃないぞ。ずっと一緒に暮らしてると、何故か自然に分かるようになるんだ。」
リコラ「そうだったんだ。」
アーサー「確か明日は休みだったよな。良かったら久しぶりにデートに行かないか?」
リコラ「うん、良いよ。でも仕事は良いの?」
アーサー「良いんだよ。俺も経営者だからな。休もうと思えば休めるんだよ。」
リコラ「私もお兄ちゃんと共同経営者だから休みの日は選べるけど、普段はお兄ちゃんがヘクセンハウスと一緒に出かけちゃうから全然休めなかったなー。私も婚活法が終わった記念にデートしちゃおっかな。」
アーサー「じゃあプールでも行くか。明日の正午にアウグストのプールに集合な。」
リコラ「うん、分かった。あっ、でも水着持ってない。」
アーサー「水着なら貸し出ししてるから問題ないぞ。」
リコラとアーサーは翌日になると昼食を済ませて水着に着替え、
プールサイドで会うがアーサーの顔は真っ赤になっていた。
リコラ「どうしたの?顔赤いよ。」
アーサー「やっぱ胸大きいな。くびれもあるし。」
リコラ「もう、触らないでよ。ただでさえ恥ずかしいんだから。」
アーサー「じゃあもっと恥ずかしくしてやろうか。周りを見てみろよ。」
リコラ「周り?ええっ、何で私見られてるの?」
エロい男「すげえ、あの子スタイル良いじゃん。」
よこしまな男「顔も可愛いし、何より、でかい。」
魔性の女「理想的な顔と体ね。触ってみたい。」
アーサー「これで分かっただろ。リコは顔も体もかなり恵まれてるんだよ。」
リコラ「私が小さい時はクラスメイトから地味な子扱いされてたから気にならなかったのに。」
アーサー「ウォータースライダーでも行くか。」
リコラ「あれって、カップルは2人で滑れるって書いてるよ。」
アーサー「もうカップルなんだから問題ないだろ。俺後ろに座るから。」
リコラ「あんまり並んでないね。」
アーサー「今は冬だからな。でも室内は恒温の魔法で温度も水温も一定に保たれてる。俺はそれを知ってるから誘ったんだ。メルヘンランド大学の魔法学の授業でやってたんだ。」
リコラ「ここにきて教養の差が出たね。」
アーサー「ほら、俺の上に座れよ。」
リコラ「う、うん。ひいっ、あああああぁぁぁぁぁ。」
アーサー「おおおおおぉぉぉぉぉ。」
リコラ「ふふっ、結構楽しいねこれ。」
アーサー「じゃあ今度はあっちのウォータースライダー行ってみるか。」
リコラ「うん。」
不良の男「なあ、そこの彼女。そんな男なんかより俺と一緒に遊ぼうぜ。」
リコラ「遠慮しときます。」
不良の男「そんな事言わずにさ。なっ?良いだろ?」
リコラ「止めてください。離してください。」
アーサー「その汚い手を離せ。お前ら外国人観光客だな。だったらこの国のルールくらい守れよな。」
不良の男「ああん?この国のルールなら守ってるだろうが。」
アーサー「ここはコミュ障が多数派の国だ。ナンパなら他の国でやってくれ。」
不良の男「何だとてめえ。俺とやろうってのか?」
アーサー「あいにくだが、人を殴って訴えられるのはもうんざりなんでね。ちょっと警備員呼んでくるわ。女子を誘拐しようとしてるから職質してくれってな。」
不良の男「てめえ、ぶん殴られてえのか。」
アーサー「今俺を殴ったら間違いなく強制送還だぞ。それでも良いならやってみろよ。」
不良の男「・・・・ちっ、何だよ偉そうに。たくっ、やってらんねーぜ。」
アーサー「ふう、逃げてくれたか。」
リコラ「また助けられちゃったね。でも前にもこんな事あった気がする。」
アーサー「最初に婚活パーティで会った時の事を思い出すな。もうあんな事には関わりたくなかったんだけど、リコが魅力的すぎるからみんな放っておかないんだよ。」
リコラ「モテるって良い事ばかりじゃないんだね。」
アーサー「良い奴だけじゃなくて悪い奴も引き寄せてしまうからな。モテるのもモテないのも一長一短だ。」
リコラ「ていうか強制送還って本当なの?」
アーサー「あんなの嘘に決まってるだろ。せいぜい厳重注意がいいとこだ。」
リコラ「アーサー・・・・ありがとう。」
アーサー「ちゅっ、ちゅっ。」
リコラ「んっ、ちゅっ。」
アーサー「リコが無事で良かった。」
リコラ「もう、恥ずかしいよ。また胸触ってるし。」
アーサー「じゃあ次行くか。」
リコラ「あっ、誤魔化した。」
アーサー「それっ。」
リコラ「もう、いきなりそばにある水鉄砲使うんだからー。じゃあ私もお返し。」
アーサー「うわっ。やっぱり遊び足りないんだな。ならとことんつき合ってやるよ。」
リコラ「私も今日は今までできなかった分遊び尽くすんだから。」
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