彼女の時効 | |
新津 きよみ | |
光文社 |
交通事故・・・と聞いただけでいまだに涙が出る私。
息子が警察署で事情聴取を受けた時に
おまわりさんに
相手にどんな罰をのぞみますか?
と聞かれて
救急車を呼んでくれただけで感謝します。
と答えたら、おまわりさんは
それは、人として当然の事なんだよ。
君はもっと怒っていいんだよ。
と息子を諭した。
もし、息子を20mも跳ね飛ばした加害者がそのまま通り過ぎてしまったら、
息子は大学生になるどころか、命さえ危うかったはず。
それでも、救急車を呼んだ加害者に感謝するなんてことは親としてはない。
息子の自由であったはずの高校生活を返してほしい。
とそう思う。
犯罪を犯した人は、たとえ警察に捕まらなくても
その罪に覚えた一生を送る。
じゃぁ、不起訴となった加害者はどうしてるんだろう?
一度もあったことも話したこともない人だけど
お詫びの一言もなしに、すっかり事故のことを忘れて生きていたら
私は許さない。
私の心に彼に対する時効はないよ。