さて、漫画紹介するのも久々かも知れない第575回は、
タイトル:ニーベルングの指輪(上・下)
著者:あずみ椋
文庫名:角川文庫
であります。
かのワーグナーの大作『ニーベルングの指輪』のコミック版です。
この方、他の作品読んだことないのですが、少なくともこれは凄く出来が良かった。
原作、『ニーベルングの指輪』は全四部から成る壮大な歌劇です。
北欧神話や英雄伝承をモチーフにした神・人物が多数登場し、持つ物に強大な力を与えるという指輪を巡って、醜い争いを繰り広げます。
ざっと概要を説明すると――。
『序夜 ラインの黄金』……ラインの川底に輝く至宝・ラインの黄金。愛を断念した者だけが、その黄金を鍛え、世界を手にする指輪を作ることができる。ニーベルング族のアルベリッヒは、指輪を得て地下世界の王となった。それに呼応するように、天界でも問題が発生する。神々の王ヴォータンが、城を建設させる代わりに巨人族と取り交わした約束――女神フライアの引き渡し――を反故にしたのだ。神対巨人、一色触発の状況の中、炎の神ローゲは一計を案じる。
『第一夜 ワルキューレ』……ヴォータンの血を引くヴェルズング一族は戦いに敗れ、滅亡した。兄のジークムントは父とともに放浪者となり、妹のジークリンデは山賊によってフンディング家に売られる。父ヴォータンの手引きによって再会した二人は愛し合い、フンディングの元から逃れるが、二重の禁忌を犯したことで女神フリッカの怒りを買ってしまう。そしてジークムントの元に、ヴォータンと知恵の神エルダの娘ブリュンヒルデが遣わされた。
『第二夜 ジークフリート』……時が過ぎ、ジークムントとジークリンデの息子ジークフリートは逞しい青年に成長していた。育ての親であり、アルベリッヒの弟でもあるミーメにけしかけられ、彼は恐れを教えてくれるという巨竜に戦いを挑む。竜の宝物の中から例の指輪を発見したジークフリートは、殺意を抱いて迫ってきたミーメを返り討ちにし、旅に出る。彼が求めるのは、炎の中で眠るブリュンヒルデ!
『第三夜 神々の黄昏』……再び指輪が世に放たれ、呪いが世界を犯し始めた。ヴォータンはワルハラに座して終末を待ち、ジークフリートはアルベリッヒの息子ハーランの罠に落ちる。そして、誰にも止められない破局が迫ってくる。
指輪って、持ち主に力を与えるどころか、呪いの効果しか発揮してないじゃん! というツッコミは入れない方向で。(笑)
最後のカタストロフは北欧神話のラグナロクの方が好きだけど、神話伝承ごっちゃにしてワンパックにまとめたストーリーは結構好きです。
ちなみに元ネタはあるものの、各キャラクターの性格は殆どワーグナーのオリジナルです。特にヴォータン(オーディン)とローゲ(ロキ)は変わりようは凄い。
で、本書ですが、かなり忠実に原作を再現しています。
非常に長い台詞を簡略化して会話として成立させていたり、舞台を意識した構図を使うことで雰囲気を出してみたりと、漫画ならではの工夫が随所に見られるのもポイント高し。
オリジナル要素で特に気に入ったのは、トリックスターであるローゲを全体の見届け役として抜擢したことと、そのキャラクターがとにかく格好良かったこと。どう考えても作者はローゲのファンだな、こりゃ。(笑)
絵は綺麗だし、原作知らなくても充分面白いし、かなりオススメです。
内容的には少年漫画に近いので、少女漫画が苦手な男性諸氏でも楽しめるかと思います。
――【つれづれナビ!】――
◆ 『ニーベルングの指輪』のまとめページへ
◇ 『コミックス一覧表(紅組)』へ
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タイトル:ニーベルングの指輪(上・下)
著者:あずみ椋
文庫名:角川文庫
であります。
かのワーグナーの大作『ニーベルングの指輪』のコミック版です。
この方、他の作品読んだことないのですが、少なくともこれは凄く出来が良かった。
原作、『ニーベルングの指輪』は全四部から成る壮大な歌劇です。
北欧神話や英雄伝承をモチーフにした神・人物が多数登場し、持つ物に強大な力を与えるという指輪を巡って、醜い争いを繰り広げます。
ざっと概要を説明すると――。
『序夜 ラインの黄金』……ラインの川底に輝く至宝・ラインの黄金。愛を断念した者だけが、その黄金を鍛え、世界を手にする指輪を作ることができる。ニーベルング族のアルベリッヒは、指輪を得て地下世界の王となった。それに呼応するように、天界でも問題が発生する。神々の王ヴォータンが、城を建設させる代わりに巨人族と取り交わした約束――女神フライアの引き渡し――を反故にしたのだ。神対巨人、一色触発の状況の中、炎の神ローゲは一計を案じる。
『第一夜 ワルキューレ』……ヴォータンの血を引くヴェルズング一族は戦いに敗れ、滅亡した。兄のジークムントは父とともに放浪者となり、妹のジークリンデは山賊によってフンディング家に売られる。父ヴォータンの手引きによって再会した二人は愛し合い、フンディングの元から逃れるが、二重の禁忌を犯したことで女神フリッカの怒りを買ってしまう。そしてジークムントの元に、ヴォータンと知恵の神エルダの娘ブリュンヒルデが遣わされた。
『第二夜 ジークフリート』……時が過ぎ、ジークムントとジークリンデの息子ジークフリートは逞しい青年に成長していた。育ての親であり、アルベリッヒの弟でもあるミーメにけしかけられ、彼は恐れを教えてくれるという巨竜に戦いを挑む。竜の宝物の中から例の指輪を発見したジークフリートは、殺意を抱いて迫ってきたミーメを返り討ちにし、旅に出る。彼が求めるのは、炎の中で眠るブリュンヒルデ!
『第三夜 神々の黄昏』……再び指輪が世に放たれ、呪いが世界を犯し始めた。ヴォータンはワルハラに座して終末を待ち、ジークフリートはアルベリッヒの息子ハーランの罠に落ちる。そして、誰にも止められない破局が迫ってくる。
指輪って、持ち主に力を与えるどころか、呪いの効果しか発揮してないじゃん! というツッコミは入れない方向で。(笑)
最後のカタストロフは北欧神話のラグナロクの方が好きだけど、神話伝承ごっちゃにしてワンパックにまとめたストーリーは結構好きです。
ちなみに元ネタはあるものの、各キャラクターの性格は殆どワーグナーのオリジナルです。特にヴォータン(オーディン)とローゲ(ロキ)は変わりようは凄い。
で、本書ですが、かなり忠実に原作を再現しています。
非常に長い台詞を簡略化して会話として成立させていたり、舞台を意識した構図を使うことで雰囲気を出してみたりと、漫画ならではの工夫が随所に見られるのもポイント高し。
オリジナル要素で特に気に入ったのは、トリックスターであるローゲを全体の見届け役として抜擢したことと、そのキャラクターがとにかく格好良かったこと。どう考えても作者はローゲのファンだな、こりゃ。(笑)
絵は綺麗だし、原作知らなくても充分面白いし、かなりオススメです。
内容的には少年漫画に近いので、少女漫画が苦手な男性諸氏でも楽しめるかと思います。
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