つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

静かに熱い女達

2005-12-06 20:20:25 | マンガ(少年漫画)
さて、珍しくまだ連載中の漫画な第371回は、

タイトル:CLAYMORE――クレイモア(1~9巻:以下続刊)
著者:八木教広
文庫名:ジャンプコミックス

であります。

『エンジェル伝説』で知られる八木教広が描くバトル・ファンタジー。
学園物だった前作から180度方向転換した本作ですが……さて。



それは、人に化ける妖魔が跳梁する世界の物語……。
妖魔は個体数こそ少ないが、人間を喰らい、糧とする術を知っている。
臓物を食い荒らされた死体が発見された時、町は死の恐怖に怯えることになる。

長きに渡る研究の結果、人類は彼らに対抗する術を得た。
自らの肉体に妖魔の血肉を取り込み、半人半妖となる技術である。
常人を遥かに超える力を得た者達は、妖魔狩り専門の組織を結成した。

奇妙なことに半人半妖の身体を手に入れることができたのはすべて女性だった。
妖魔の正体を暴く銀の瞳と、強靱な肉体を一撃で破壊する巨大な剣を持つ女達。
人は恐怖と嫌悪をこめて彼女達を呼ぶ――銀眼の魔女・クレイモアと。



正直、出だしはイマイチでした。
半人であるが故に迫害を受ける、半人だから異種族に対抗できるといった王道中の王道の設定を使っているだけで、独自のラインが全く見えなかったのです。
妖魔に家族を殺された少年を連れて行く、過去のトラウマから主人公は少年に情を移すようになる……といったストーリーもはっきり言ってありがち。

しかし、本作は途中から変わった展開を見せ始めます――。
主人公クレアはクレイモア組織の一員でありながら、個人的な復讐心で動いてる部分があるため、他のメンバーから狙われることになります。
そう……このテのバトル漫画が面白くなるには敵対勢力の幹部クラスを出すのが基本なのですが、それを味方組織に持ってきたのです。

おまけにクレアの階級ナンバーは最下級の47!
組織の上位ナンバーは揃いも揃って化物な方々ばかり、さらに覚醒者と呼ばれるクレイモアが妖魔化した強力な者達とも事を構えることになり、もう大変。
さらにさらに、クレア自身もそれらとの戦いの中で限界を越えてしまうと、自分が覚醒してしまってジ・エンドというタイトロープ状態。

クレアが勝てる要素は今のところゼロです、他が強すぎ。
ただ、そんな中でも彼女に協力してくれる人々がぽつりぽつりと現れます……もっとも、この世界でそういう人って早死にしそうだけど。
思えば、前作エンジェル伝説の主人公・北野君も逆境、逆境、逆境の中で、少しずつ周囲の人々の理解を得て前進していくタイプの主人公でした。

まだ連載中なのでラスまで保証できませんが、今のとこオススメ。
絵がちょっと人を選ぶところはありますが、慣れれば問題ない……筈。
まー、私は組織のナンバー3であるガラテア様命なので、他の顔がちょっと崩れてても気にしません。
再会した時は覚醒者になってるっぽいが……。


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