さて、第404回あたりになんか記念しようかと思う第370回は、
タイトル:後宮小説
著者:酒見賢一
出版社:新潮社
であります。
知る人ぞ知る中国風アニメーション『雲のように 風のように』の原作。
アニメの方は悲恋物といった風情でしたが、こちらは……。
腹英三十四年、帝王が崩御し弱冠十七歳の太子が王位を継ぐことになった。
彼のために宦官達は新たな後宮作りを始め、各地から多くの女性を集める。
後に正妃となる少女・銀河は、後宮の実態を知らぬままそれに志願した。
女大学と呼ばれる教育機関で房中術を学びつつ、後宮入りを待つ宮女候補達。
幸運にも、銀河と相部屋の仲間達は最終試験まで残ることができた。
新帝に選ばれ、正妃となる銀河……しかし、帝国は危機を迎えつつあった。
歴史書を元にした物語という体裁を取ったファンタジーです。
実は本文で紹介されている国や史書はすべて存在しない(!)のですが、見せ方が非常に上手いので本当に中国史を学んでいるような気分になります。
架空の歴史家によるこの物語の時代の評や、ところどころに出てくる豊富な知識、後宮独特の風習などなど、現実の歴史物語より凝っています。
上の粗筋には書きませんでしたが、この話には二人の主人公がいます。
一人はもちろん銀河、もう一人は……反乱軍の首魁の一人・渾沌です。
アニメでは銀河とロマンスを展開した新帝陛下ですが、こちらではほぼ脇役。
性別も年齢も立場も違うのに、銀河と渾沌は非常によく似ています。
銀河は市井の娘であり、当然、後宮の作法や常識などまったく知りません……しかも正妃になってもそれは変わらず、自由奔放な行動を続ける。
渾沌は退屈を紛らわすために反乱を起こしたというとんでもない男……しかも最初から王朝を滅ぼす気などなく、勝てないと解ったらあっさり降伏したりします。
感覚を最優先し、周囲の理解を超える行動を取るトラブルメーカーが主役を張るのは王道中の王道ですが、それが二人も出てくる作品というのは珍しい。
当然の如く、物語はこの二人が出会うところで最大のハイライトを迎えます……しかもかなり納得のいく形で――上手い。
ファンタジー好きのみならず、歴史好きにもオススメ。
漢字が多いので、そこが苦手な人は辛いかも知れませんが。
アニメ版も綺麗な話だったけど、個人的にはこっちの方が好き。
タイトル:後宮小説
著者:酒見賢一
出版社:新潮社
であります。
知る人ぞ知る中国風アニメーション『雲のように 風のように』の原作。
アニメの方は悲恋物といった風情でしたが、こちらは……。
腹英三十四年、帝王が崩御し弱冠十七歳の太子が王位を継ぐことになった。
彼のために宦官達は新たな後宮作りを始め、各地から多くの女性を集める。
後に正妃となる少女・銀河は、後宮の実態を知らぬままそれに志願した。
女大学と呼ばれる教育機関で房中術を学びつつ、後宮入りを待つ宮女候補達。
幸運にも、銀河と相部屋の仲間達は最終試験まで残ることができた。
新帝に選ばれ、正妃となる銀河……しかし、帝国は危機を迎えつつあった。
歴史書を元にした物語という体裁を取ったファンタジーです。
実は本文で紹介されている国や史書はすべて存在しない(!)のですが、見せ方が非常に上手いので本当に中国史を学んでいるような気分になります。
架空の歴史家によるこの物語の時代の評や、ところどころに出てくる豊富な知識、後宮独特の風習などなど、現実の歴史物語より凝っています。
上の粗筋には書きませんでしたが、この話には二人の主人公がいます。
一人はもちろん銀河、もう一人は……反乱軍の首魁の一人・渾沌です。
アニメでは銀河とロマンスを展開した新帝陛下ですが、こちらではほぼ脇役。
性別も年齢も立場も違うのに、銀河と渾沌は非常によく似ています。
銀河は市井の娘であり、当然、後宮の作法や常識などまったく知りません……しかも正妃になってもそれは変わらず、自由奔放な行動を続ける。
渾沌は退屈を紛らわすために反乱を起こしたというとんでもない男……しかも最初から王朝を滅ぼす気などなく、勝てないと解ったらあっさり降伏したりします。
感覚を最優先し、周囲の理解を超える行動を取るトラブルメーカーが主役を張るのは王道中の王道ですが、それが二人も出てくる作品というのは珍しい。
当然の如く、物語はこの二人が出会うところで最大のハイライトを迎えます……しかもかなり納得のいく形で――上手い。
ファンタジー好きのみならず、歴史好きにもオススメ。
漢字が多いので、そこが苦手な人は辛いかも知れませんが。
アニメ版も綺麗な話だったけど、個人的にはこっちの方が好き。
「後宮小説」「墨攻」「陋巷に在り」と
中国伝奇小説らしい良い雰囲気が非常に好みです。
確か大学で中国文学専攻してたんだったかな?
「墨攻」「陋巷に在り」はまだ読んでいませんが、
買ったら買ったでハマりそうなので怖いです。(笑)
あと、お薦めなのが「童貞」。
タイトルがタイトルなので、人に薦めると「えー?」と言われちゃうんですが。
でも中国史好きな方にはウケると思うけど。
方の書き方好きなので、読んでみるべきかな。
『童貞』、確かに物議を醸しそうなタイトルですね。(笑)
母系社会に挑戦する少年、というプロットが面白そうです。