さて、こちらも三夜連続企画な第412回は、
タイトル:マルドゥック・スクランブル The First Compression――圧縮
著者:冲方 丁
文庫名:ハヤカワ文庫
であります。
マルドゥック・スクランブル三部作(というか三冊で一作品)の一冊目。
SFアクション……と言いたいところですが、実は――。
少女娼婦ルーン=バロットは殻の中にいた。
殻(シェル)は言った、失ったものをすべて与えてやろうと。
しかし、彼女には疑問があった――なぜ私なのか?
好奇心が怒りを呼び、バロットは殻であった者に殺害される。
夢の中で誰かが聞いた、生か? それとも死か?
彼女は答えた――生きたい。
全身を覆う人工皮膚とそれに備わる三つの能力を得てバロットは蘇った。
彼女は事件担当官達と協力し、仇である男に法の裁きを下すことを決意する。
相棒はネズミ型にして最強の近接戦闘兵器――ウフコック!
未来都市マルドゥックを舞台にした、一人の少女と一匹のネズミの戦い、です。
何もかも奪われた少女娼婦バロット、自らの有用性を示そうとするウフコック。
二人三脚で自分の存在意義を求めていく物語、といったとこ。
バロットのキャラ造形が素晴らしいです。
絶望に対抗する強さ、優しさを読み取る感受性、ちょっとした可愛い反応等々……非常に魅力的、かつ丁寧に描かれているのは好感が持てます。
最後に罪を犯す(詳細は書けませんが)ところも、それまでの過程から納得がいきました――リバウンドって奴ですね。
相棒であるウフコックもいいキャラクターです。
パートナーとして、保護者として、友人としてバロットを支えつつ、その中では常に、自分が道具であるという葛藤が渦巻いています。
プライドの高さと責任感の強さが災いし、バロットに対して強く出たかと思えばすぐに甘く接してしまうという、煮え切らない男(笑)ですが、そこがまた素敵。
対する敵は、バロットを殺した賭博師シェルとウフコックのかつてのパートナー・ボイルド。
シェルは自分の精神安定のために少女を殺し続ける最低野郎、ボイルドはバロットとウフコックのコンビすら圧倒する戦闘機械のような男、と基本を押さえてます。
冒頭にも書きましたが、このシリーズは飽くまで三冊セットなので、本巻はかなり中途半端なとこで終わってます。
バロット、ウフコック、そしてもう一人の事件担当官であるドクターの三人が互いの理解を深めてゆき、最後に暴力と対決するのが大まかな筋。
戦闘シーンは……好きな人は好きなんだろうけど、個人的には特に印象なし。
本巻はかなりのオススメ。
残り二巻については、明日、明後日に紹介致します。
ところでこれ、物凄く『銃夢』に似てると思うのは私だけ?
タイトル:マルドゥック・スクランブル The First Compression――圧縮
著者:冲方 丁
文庫名:ハヤカワ文庫
であります。
マルドゥック・スクランブル三部作(というか三冊で一作品)の一冊目。
SFアクション……と言いたいところですが、実は――。
少女娼婦ルーン=バロットは殻の中にいた。
殻(シェル)は言った、失ったものをすべて与えてやろうと。
しかし、彼女には疑問があった――なぜ私なのか?
好奇心が怒りを呼び、バロットは殻であった者に殺害される。
夢の中で誰かが聞いた、生か? それとも死か?
彼女は答えた――生きたい。
全身を覆う人工皮膚とそれに備わる三つの能力を得てバロットは蘇った。
彼女は事件担当官達と協力し、仇である男に法の裁きを下すことを決意する。
相棒はネズミ型にして最強の近接戦闘兵器――ウフコック!
未来都市マルドゥックを舞台にした、一人の少女と一匹のネズミの戦い、です。
何もかも奪われた少女娼婦バロット、自らの有用性を示そうとするウフコック。
二人三脚で自分の存在意義を求めていく物語、といったとこ。
バロットのキャラ造形が素晴らしいです。
絶望に対抗する強さ、優しさを読み取る感受性、ちょっとした可愛い反応等々……非常に魅力的、かつ丁寧に描かれているのは好感が持てます。
最後に罪を犯す(詳細は書けませんが)ところも、それまでの過程から納得がいきました――リバウンドって奴ですね。
相棒であるウフコックもいいキャラクターです。
パートナーとして、保護者として、友人としてバロットを支えつつ、その中では常に、自分が道具であるという葛藤が渦巻いています。
プライドの高さと責任感の強さが災いし、バロットに対して強く出たかと思えばすぐに甘く接してしまうという、煮え切らない男(笑)ですが、そこがまた素敵。
対する敵は、バロットを殺した賭博師シェルとウフコックのかつてのパートナー・ボイルド。
シェルは自分の精神安定のために少女を殺し続ける最低野郎、ボイルドはバロットとウフコックのコンビすら圧倒する戦闘機械のような男、と基本を押さえてます。
冒頭にも書きましたが、このシリーズは飽くまで三冊セットなので、本巻はかなり中途半端なとこで終わってます。
バロット、ウフコック、そしてもう一人の事件担当官であるドクターの三人が互いの理解を深めてゆき、最後に暴力と対決するのが大まかな筋。
戦闘シーンは……好きな人は好きなんだろうけど、個人的には特に印象なし。
本巻はかなりのオススメ。
残り二巻については、明日、明後日に紹介致します。
ところでこれ、物凄く『銃夢』に似てると思うのは私だけ?
本を手に取った時のイメージと、読んでみた内容と随分落差があった作品でした。
私はウフコックが好きです。
肝心なところではしっかりしてるし。
なにより、可愛いし。
信用できる相棒です。
(と、思ったら本名は……)
私も最初は、バリバリのガンアクションだと思ってました。
ウフコック、いいですよね。
尻尾のことでムキになるのが可愛いです。
女の子とネズミつながりで、この二人を十二国記
のあのコンビに例える方もいらっしゃいます。
「ヴァーチャル・ガール」の前半的なイメージを
受けた気がします(判り難いって)
ボイルドはなぜか帝王ジャシュガンだったり。(笑)
そう言えば、『ヴァーチャル・ガール』まだ読んでません……。
自分の伴侶にするために美少女ロボット作るって部分
にかなり引き気味です。