さて、普段読まないんだけどなぁの第557回は、
タイトル:覆面作家は二人いる
著者:北村薫
出版社:角川文庫
であります。
短編連作のシリーズもの……らしいが、私でさえ知っていたミステリ小説。
「推理世界」という雑誌に投稿してきた小説を主人公のひとりである岡部良介。
双子の兄に優介という警視庁の刑事がいる推理世界の編集者のひとりは、登校してきたそのミステリ小説がきっかけで、送られてきた小説の作者……新妻千秋と知り合い、担当となる。
結果的に、ペンネームを覆面作家と名乗ることとなった千秋は、良介曰く、ひとの好みを超越した天国的な美貌を持つお嬢さま。
広大な屋敷に住まう大金持ちで運転手付きの車なんて当然、いまどき執事なんてのがいるくらいの正真正銘のお嬢さま。
しかし、これが一歩家の外に出ると、いまどき天然記念物ものの恥じらいを備えるお嬢さまから良介を「岡部さん」から「リョースケ」と呼び、気っぷもよけりゃ腕っ節も強い女性に早変わり。
そんな二重人格お嬢さまの千秋と、編集者の肩書きを持つダメ助手の良介が事件を解決するミステリ。
短編連作なのでそれぞれを。
「覆面作家のクリスマス」
千秋と良介の出会いから、良介と優介兄弟が暮らす家のすぐ近くの女子校で起きた殺人事件を千秋があっさりと読み解いてしまうもの。
「眠る覆面作家」
ある開業医の娘の誘拐事件を千秋があっさりと読み解いてしまうもの。
「覆面作家は二人いる」
良介が勤める推理世界の編集部で、この編集部をしょって立つ先輩左近雪絵の姉で、デパートの警備員をしている月絵、雪絵の娘の花絵が絡む万引き事件を千秋があっさりと読み解いてしまうもの。
ミステリの紹介って、ネタバレにならないようにするから簡単でいいわぁ(爆)
嘘です。
でもまぁ、ネタバレにならないようには基本なのでこんなもんで容赦してもらおう。
さて、総じて、単純におもしろかった。
ミステリは好きじゃないけど、この作品はミステリがどうこうという以前に、とても軽快な進み方がいい。
二重人格の千秋に双子の良介、優介、編集部の雪絵、月絵、左近姉妹とその娘など、キャラ配置もおもしろい。
加納朋子の「ななつのこ」で、にゅきみさんが「北村薫リスペクトが……」というのがあったので、どんなもんかと読んでみたけれど、私としては、リスペクト云々という以前に、雰囲気が違いすぎる、と言うのが本書を読んだときの思い。
確かにミステリにしては軽快な展開と描写で、くすっとさせられるところが多々あるが、こちらのほうがミステリ色は強い。
また、流れや文章も、ミステリ色が強いからか、謎解きのあたりになると途端に鈍くなるし、流れで読んでると意味不明なところがけっこうある。
裏表紙の「日常世界に潜む謎を~」と言う文句も、より日常で見落としがちなミステリの世界を描くのならば、やはり加納朋子のほうがうまいと思う。
個人的に言うなら……と言うか、これしか読んでないから判断を下すのは早計だが、やはり加納朋子のほうがおもしろい。
……と較べてみれば、好みの問題もあってどうしてもこういう評価になってしまうのだが、客観的に見れば……と言うより、加納朋子よりも先にこの著者の作品を読んでいれば、けっこうはまったかも、と言えるくらい、ミステリにしてはおもしろい。
注文をつけたいところはぼちぼちあるけれど、ミステリが好きではないタイプにもオススメな作品であろう。
他は、……これから読んで決めよう(笑)
……って言いながら、441回のクロスレビューになってんじゃんか……(笑)
と言うわけで、
☆クロスレビュー!☆
この記事はLINNが書いたものです。
SENの書いた同書のレビューはこちら。
タイトル:覆面作家は二人いる
著者:北村薫
出版社:角川文庫
であります。
短編連作のシリーズもの……らしいが、私でさえ知っていたミステリ小説。
「推理世界」という雑誌に投稿してきた小説を主人公のひとりである岡部良介。
双子の兄に優介という警視庁の刑事がいる推理世界の編集者のひとりは、登校してきたそのミステリ小説がきっかけで、送られてきた小説の作者……新妻千秋と知り合い、担当となる。
結果的に、ペンネームを覆面作家と名乗ることとなった千秋は、良介曰く、ひとの好みを超越した天国的な美貌を持つお嬢さま。
広大な屋敷に住まう大金持ちで運転手付きの車なんて当然、いまどき執事なんてのがいるくらいの正真正銘のお嬢さま。
しかし、これが一歩家の外に出ると、いまどき天然記念物ものの恥じらいを備えるお嬢さまから良介を「岡部さん」から「リョースケ」と呼び、気っぷもよけりゃ腕っ節も強い女性に早変わり。
そんな二重人格お嬢さまの千秋と、編集者の肩書きを持つダメ助手の良介が事件を解決するミステリ。
短編連作なのでそれぞれを。
「覆面作家のクリスマス」
千秋と良介の出会いから、良介と優介兄弟が暮らす家のすぐ近くの女子校で起きた殺人事件を千秋があっさりと読み解いてしまうもの。
「眠る覆面作家」
ある開業医の娘の誘拐事件を千秋があっさりと読み解いてしまうもの。
「覆面作家は二人いる」
良介が勤める推理世界の編集部で、この編集部をしょって立つ先輩左近雪絵の姉で、デパートの警備員をしている月絵、雪絵の娘の花絵が絡む万引き事件を千秋があっさりと読み解いてしまうもの。
ミステリの紹介って、ネタバレにならないようにするから簡単でいいわぁ(爆)
嘘です。
でもまぁ、ネタバレにならないようには基本なのでこんなもんで容赦してもらおう。
さて、総じて、単純におもしろかった。
ミステリは好きじゃないけど、この作品はミステリがどうこうという以前に、とても軽快な進み方がいい。
二重人格の千秋に双子の良介、優介、編集部の雪絵、月絵、左近姉妹とその娘など、キャラ配置もおもしろい。
加納朋子の「ななつのこ」で、にゅきみさんが「北村薫リスペクトが……」というのがあったので、どんなもんかと読んでみたけれど、私としては、リスペクト云々という以前に、雰囲気が違いすぎる、と言うのが本書を読んだときの思い。
確かにミステリにしては軽快な展開と描写で、くすっとさせられるところが多々あるが、こちらのほうがミステリ色は強い。
また、流れや文章も、ミステリ色が強いからか、謎解きのあたりになると途端に鈍くなるし、流れで読んでると意味不明なところがけっこうある。
裏表紙の「日常世界に潜む謎を~」と言う文句も、より日常で見落としがちなミステリの世界を描くのならば、やはり加納朋子のほうがうまいと思う。
個人的に言うなら……と言うか、これしか読んでないから判断を下すのは早計だが、やはり加納朋子のほうがおもしろい。
……と較べてみれば、好みの問題もあってどうしてもこういう評価になってしまうのだが、客観的に見れば……と言うより、加納朋子よりも先にこの著者の作品を読んでいれば、けっこうはまったかも、と言えるくらい、ミステリにしてはおもしろい。
注文をつけたいところはぼちぼちあるけれど、ミステリが好きではないタイプにもオススメな作品であろう。
他は、……これから読んで決めよう(笑)
……って言いながら、441回のクロスレビューになってんじゃんか……(笑)
と言うわけで、
☆クロスレビュー!☆
この記事はLINNが書いたものです。
SENの書いた同書のレビューはこちら。
たぬきです。
北村薫の記事だったので一言失礼します。
SENさんの記事にもコメントしたんですが、これ、3冊続けて読んだほうが面白いんですよ。
一冊だけだとすごく全てが中途半端というか、物足りないというか。
そんな気がしませんでした?
日常的なミステリーという部分では「空飛ぶ馬」からの一連のほうが面白いし上手いです。
ドラマティックなら、「スキップ」「ターン」「リセット」の3部作です。
このシリーズって、北村薫の作品の中では内容的にも長さでも一番軽いんですよ。
他のも手にとってみてください、お願い(笑)。
すみませんでした。
加納朋子と北村薫の違いって、キャラクタの作り方の違いのような気がします。
加納朋子の方が、キャラが立ってるような気が。
でもってこう一括りするのは乱暴なのですが、性別の差かなとも思います。
感覚的な感想ですけどねぇ。
文章なんかは男性女性の違いがわかりやすいでしょうし。
北村薫をこれだけしか読んでいないので、どこがどう違うってのはなかなか言いにくいですが。
日常のミステリという意味では、日常の中から見出すものは違うような気がしますね、加納朋子とは。
北村薫と加納朋子の差は、性別に起因するとは思いますが
何気ない日常に対する優しさでしょうか。
加納さんには「西の魔女」的というか、
ほっとする優しさがありますよね。
北村さんは、あくまで繊細な視点で書かれたミステリ
ってカンジで、優しさは感じないし。
重い話でもそうしたところが常に感じられるのがいいところ。
まぁ、それだけではないのですが。
優しさを感じない……と言うのは私としてはけっこう致命的になる可能性大……(^^;
感覚的にわかる雰囲気に乏しい、と言うこととイコールになるとやばいなぁ。
北村さんの場合は、ある特定の人物に対してのみ愛情を注いでいる感じがしますね。
一方の加納さんは、作品全体を包んでいる優しさというか、癒しの力という感じかな。
女性にとっては加納朋子のほうが好きだという意見が強いかも。
一方、北村薫ファンは、結構カルトっぽい人が好むようです、私の周りでは(^_^;)
まぁ、思い入れがあるのは結構ですが。
女性には確かに受けそうですね。
私もあんまりミステリっぽい感じを受けないまま読んでいたので、そういうジャンルが苦手なひとでもいいですしね。