つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

まるでRPG?

2006-11-12 16:11:42 | SF(国内)
さて、これは1冊完結なのねの第712回は、

タイトル:<柊の僧兵>記
著者:菅浩江
出版社:朝日ソノラマ ソノラマ文庫(初版:H2)

であります。

これも古い作品……と言うか、平成2年ってまだぴちぴちしてたころだもんなぁ……(笑)

さて、ストーリーは、ある惑星での物語。
面積のほとんどを乾いた広大な砂漠である惑星で暮らす人々は、点在するオアシスを聖域として、その聖域の小山を神ニューラと崇めていた。
だが、そこは恵みの水をもたらすと同時に、人々にとって毒となる空気をもたらす場所でもあった。

過酷な環境で生きる人々の中にあって、身体の弱い「白い子供」と呼ばれる少年ミルンは、他の青年たちとおなじように生活が出来ないことに悩んでいた。
ニューラとオアシスの恵みを受けて暮らす中、聖域での儀式の途中、円盤に乗った何者かが襲来し、儀式に集まっていた村人たちを虐殺していく。

それから逃げ延びたミルンと、ふたつ年下でおなじ「白い子供」の少女アジャーナは、ミルンの母の言葉に従い、人々に様々な技術を伝え、長い年月を生きる「柊の僧兵」に助けを求めるため、広大な砂漠へ一歩を踏み出す。

えー、よくも悪くも、ふつうで、何のひねりもない話だぁね。
ありきたりなRPGのストーリー展開をそのまま持ってきたようなもので、酷いハズレと言うこともなければ、当たりと言うわけでもない。

だいたい、

主人公のミルン=勇者
アジャーナ=ヒロイン兼魔法使い(魔法は使わないけど頭脳労働に比重あり)
3人の柊の僧兵=三賢者で協力者

と言う構図で敵である異星人ネフトリアと対決する、と言うこれだけとRPGのキーワードで、おそらく本読みのひとには、どういうストーリー展開をするのか、と言うのが簡単に想像がつくだろう。
総じて言うなら、SFを舞台にしたミルンの成長物語だし。

いちおう、ミルンやアジャーナと言った「白い子供」以外に、砂漠に順応した頑強な人々の動きや、柊の僧兵たちにかかるネタなど、一転二転するところもあるが、意外性があるわけではない。
もっとも、前の「オルディコスの三使徒」のように物語やキャラが軽視されていると言う部分はないし、展開やストーリーがわかりやすいので、安心して読めるとは言える。
……言える、と言うか、それしかなかったりするんだけど……。

それにしても、最近のこのひとの作品は雰囲気のあるよい作品があるが、昔のは……いまいちやな……。