パロディ『石泥集』(短歌・エッセイ・対談集)

百人一首や近現代の名歌を本歌どりしながら、パロディ短歌を披露するのが本来のブログ。最近はエッセイと対談が主になっている。

2017年事件簿14 サヨクは生き残れるか?

2017-10-06 15:00:38 | パロディ短歌(2017年)
(元ページのURL : http://toyokeizai.net/articles/-/191560)
            間違った努力=反資本主義

 経済が発展するとき、特に技術革新によって変わり始めると、その変化に適応できる人と、置いてきぼりを食う人が出てくる。つまり勝者と敗者である。経済というのは、世の人に買ってもらえるかどうか、需要と供給が増えるかどうか、国民の財産は増えたのかどうか、失業している人はどのくらいか…などという明確な指標があるので、勝者と敗者ははっきりと分かる。

 1980年代からはっきりしてきた、コンピューターによる省力化、という現象一つをとってみても、いち早く取り入れた企業は発展し、乗り遅れた企業は倒産の憂き目にあった。最近では、伝統産業が軒並み不振にあえぐ中で、新しい文化的な付加価値を創造した業界が次々に復活している。つまり、経済とは工夫をし努力をした者が報われる世界なのだ。単に資本の多寡によるのではない。

 だから、経済発展を実現した政策があったとしても、その推進者は必ずしも良い評判を得られるとは限らない。経済発展には、いち早く流れに乗った者、乗り遅れた者が生まれるからだ。勝者と敗者が生まれ、さらに所得格差まで生じる。敗者からは怨嗟(えんさ)の声が上がるに違いないからである。この怨嗟を声高に叫ぶのがサヨク陣営である。

 サヨク陣営はかつて資本主義に対し、社会主義や共産主義を対比させた。資本主義をもう一段階発展させれば、すべての国で社会主義や共産主義が採用されるだろう、自由に欲望のおもむくまま、生産活動や消費活動をしている資本主義よりも、計画経済で経済をコントロールする社会主義・共産主義の方がうまくいく…彼らはこう信じ、この理想のためには革命という手段を使って、血を流すこともためらわなかった。

 しかし、歴史ははっきりと答えを出した。共産主義の総本山―ソビエト連邦は、弾圧と独裁の中で経済が失速し、1989年に国そのものが解体された。第二の共産主義国―中華人民共和国は、4千万人が餓死した「大躍進」政策、8千万人が迫害された「文化大革命」などの圧政を経て、資本主義の手法を取り入れざるを得なくなり、政治は共産党の一党独裁、経済は資本主義―といういびつな国家運営をしている。

 社会主義や共産主義という夢は、80年という歳月を費やし、多くの犠牲者を出しながら、人類の大いなる誤算であることが証明された。そこから学ばない人たちがいて、社会主義や共産主義という夢がやぶれたにもかかわらず、執拗に「資本主義は悪である」というテーゼを信じている。経済が生み出すさまざまな矛盾(例えば所得格差もそうである)の一面を拡大して伝える。社会主義や共産主義という「理想」を対置することができないので、いきおい、その手法はスキャンダルあばきや、重箱の隅をつつくような神学論争になる。サヨクの諸君の善意と努力は認めよう。しかし、反資本主義という間違った努力をしていても失敗するだけだ。こんな有様では、サヨクがいずれ滅亡していくのは、歴史の必然だと言えよう。

 もっとも、経済的な敗者、弱者を放っておいていいわけではない。行き過ぎた格差は社会の活力を奪い、停滞に追い込むだろう。その意味での手当ては必要だが、資本主義の中で改善していくべき問題である。そもそも、現在の世の中で、(北朝鮮を除けば)資本主義でない経済運営をしている国があるとは寡聞にして聞いたことがない。「資本」とは簡単にいえば「元手」のことであろう。「元手」のない経済活動は一度だってなかった。「元手」の形がいろいろと変わってきただけである。「元手」主義を否定するのは、天に唾する行為であろう。

 ようやく、この国にも光が見えてきた。今度の総選挙である。週刊文春はいち早く予想を出した。自民党74減、希望の党101…と見出しにある。維新や公明、共産が変わらないとすれば、保守で27議席の純増である。この分はサヨクの純減となる。文春の予想より、自民党は健闘すると私は考えている。保守の票はもっと増えるだろう。だから、次の課題は復古右翼をいかに防ぐか、になる。復古右翼も自信のない人たちの集まりで、だからこそ過去にしがみつくのである。資本主義を理解していない点でも、サヨクと似たり寄ったり。その点で、右翼を信じやすい安倍首相は反省してもらわなくてはならない。いや、反省だけでなく、復古右翼との絶縁宣言をしてもらう必要がある。おそらく、しない(出来ない)だろうが。

希望の党から締め出されて立憲民主党をたちあげ
●無理の民進あふれてつひに別れたり君は罪の子我は正義の子
(本歌 むねの清水あふれてつひに濁りたり君も罪の子我も罪の子  与謝野晶子)
(蛇足)前原党首の決断で、希望の党に身売りした民進党。しかし、小池代表から「排除あり」の宣告で、全員の移籍はかなわず。サヨク勢力は別の党を立ち上げなくてはならなくなった。枝野幸男がつくった立憲民主党である。「我こそ正義」というジコチューの政策発表で、いかにもサヨクらしい。

持参金と組織を提供しながら
●「憲法は改正ね!」と君が言ったから十月一日は分裂記念日
(本歌 「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日  俵万智)
(蛇足)「全員を公認することはサラサラない」の一言で、排除の対象が明らかになった民進党。無所属を覚悟する者、あらたに護憲勢力の結集を模索する者など、民進党は一挙に分裂した。小池代表、最大の功績である。

あれよあれよ!という間に、小池代表の新党が…
●夕焼けてゆく速度にて新党が小池の懐で温まりはじめる
(本歌 夕焼けてゆく速度にてコロッケが肉屋の奥で温まり揚がりはじめる  俵万智)
(蛇足)安倍首相が解散に踏み切った理由の一つに、小池都知事の新党はまだ準備が整わないだろう、という推測があった。負けず嫌いの小池知事が、サプライズをしかけたのが今回の民進党との合体(一部だけれど)。スピード感はあったが、やはり日数が足りない。十月十日の告示日までに、どれだけ陣容を整えられるか?

小池代表の排除宣言で無所属立候補を余儀なくされ(元総理)
●民進へ小池のかけたるしがらみは流れもあへぬ無所属なりけり
(本歌 山川へ風のかけたるしがらみは流れもあへぬ紅葉なりけり  春道列樹)
(蛇足)小池陣営から「元総理・元議長は遠慮願う」との声が。菅直人・野田佳彦・横路節雄を名指したものといわれた。格下の発言者(細野豪志)に気を悪くした野田元総理は、直ちに無所属での立候補を宣言。「韓信の股くぐりはしない」とも宣言した。人間模様が透けて見えた一瞬だった。

菅元首相の発言は皆を鼻白ませた
●「メルケルに!」鳴きつるかたを眺めむれば元総理のお世辞ぞ残れる
(本歌 ほととぎす鳴きつるかたを眺めむればただ有明の月ぞ残れる  後徳大寺左大臣)
(蛇足)民進党の全員が希望の党に移れると錯覚していた時、こともあろうに元総理は「小池さんは日本のメルケルだ!」と、精一杯のおベンチャラを並べ立てた。希望の党に移れないと分かると、枝野党首の立憲民主党にしっぽを振って入って行った。政界の鼻つまみ者らしい振舞いだった。落選させたい筆頭の候補者である。

コメント
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